妊娠後期、赤ちゃんはどんな様子?
妊娠8ヶ月目(28週0日~31週9日)の胎児
赤ちゃんは身長約40cm、体重約1500gほどまで成長します。また、羊水の量が一番多い時期で、約800mlです。この羊水を使って、肺の成長を促しています。
おなかの中では赤ちゃんは呼吸をしていませんが、呼吸様運動をいうものを繰り返すことで羊水を吸ったり吐いたりします。
また、生まれた直後に肺をひろげることをサポートする物質(肺サーファクタント)の分泌が増え、さらに肺の成長を促します。外からの音の刺激に反応できるようになってくるので、赤ちゃんの心拍数があがったりします。
妊娠9ヶ月目(32週0日~35週6日)の胎児
赤ちゃんの身長は約45cm、体重は約2000gまで成長します。肺が成熟し、おなかの外でも生活ができるレベルまでからだの機能が整ってきます。
腎臓の機能もほぼ整ってきます。おなかの中の赤ちゃんは眠ったり起きたりを約20分のペースでくりかえすようになってきます。
妊娠10ヶ月目(36週0日~39週6日)の胎児
赤ちゃんの身長は約50cm、体重は3000gまで成長します。すべてのからだの器官が完成します。
お産が近づいてくると、赤ちゃんの頭はママの骨盤内に下りてきます。羊水の量も減り、約500mlになります。
妊娠後期、ママのからだとこころの変化は?
貧血を起こしたり動悸がすることも|無理をせず、家族に協力してもらおう
また、赤ちゃんへの血流を増やしたり、鉄分を送ったりするため、貧血がすすむこともあります。
ちょっとした動作で息が切れてしまったり、疲れを感じることがあるかと思います。無理をせず、パパや家族に協力してもらえることはしてもらいましょう。
お腹の張り|痛みを伴うなら早めに産院を受診
また、おなかの張りを感じることもあります。
妊娠8、9ヶ月の場合は、痛みをともなったり、横になってもおさまらない、1時間に4回以上張る場合は切迫早産の可能性があるので注意が必要です。かかりつけの産婦人科や助産院に受診しましょう。
出産や出産後の生活に対する不安の気持ち|自分だけで抱え込まず産院に相談
妊娠後期になると、赤ちゃんの成長がより感じられてうれしい気持ちとともに、いよいよお産が近づいてきて「無事にお産できるかな」や「お産って怖いな」「うまく育てられるかな」など、不安の気持ちが出てくることも。
特に不安が強い状態になると、マタニティブルーに進行してしまうことがあります。一般的にマタニティブルーは産後に多いですが、お産に対する恐怖感がとても強い場合や、前回のお産でトラウマがある場合、妊娠自体を受け入れられていない場合などは妊娠中でも起こることがあります。
無理をせず、かかりつけの産婦人科医や助産師に相談しましょう。
妊娠後期のからだの不調、注意したいトラブルと対策
【後期つわり、胃の圧迫感】少量ずつ、こまめに食べる
原因と症状は?
妊娠後期には、子宮底の高さは剣状突起といわれる胸骨の先端とおへその間まで大きくなります。そのため、胃が子宮に圧迫され押し上げられてしまいます。すると、妊娠初期にみられるつわりのような症状や胃のむかむか感がおこることがあります。
対策は?
胃が圧迫され、胃の容積も減っています。1回の食事量を減らし、回数を増やすようにしましょう。また、油分の多い食事を避け、消化のよい食事内容に変更するとラクになることがあります。ゆっくりよく噛んで食べることもよいですね。
【動悸・息切れ】貧血がある場合、身体を起こすときはゆっくりと
原因と症状は?
上記項目でもふれましたが、赤ちゃんにより栄養や血液を送るためママの血流量が増えます。そのため、心拍数が上がったり、貧血症状が現れることがあります。すると、少し動いただけでも動悸がしたり、息が切れてしまったりという症状がみられます。
対策は?
からだを動かすと症状が強くなることがあります。ゆっくり動くことを心がけましょう。貧血がある場合は、急に起き上がったりするとめまいが起こることがあるので、ゆっくりと起き上がることを意識しましょう。からだを動かすことが大変なときは無理をせず、パパや家族に協力してもらいましょう。
【腰痛・からだの痛み】姿勢に注意、骨盤ベルトの使用もおすすめ

原因と症状は?
赤ちゃんがぐんぐん大きくなると同時に、子宮の重さもどんどん大きくなっていきます。子宮を支えるために腰に負担がかかったり、からだの筋肉に負担がかかったります。また、腰痛やからだの痛みをかばうため姿勢が悪くなり、さらに症状が悪化してしまう場合があります。
対策は?
腰に負担がかからないように、重いものを持つときはしゃがみ膝を使って立ち上がります。姿勢がみだれると、さらに腰痛を悪化させてしまうので、背骨が反らないような姿勢がおすすめです。
また、骨盤ベルトやさらしを使用すると、腰痛の緩和や予防になります。骨盤ベルトやさらしの使い方はかかりつけの産婦人科や助産師に相談してみましょう。
【頻尿】トイレは我慢しない、腹巻など冷え予防対策も必要
原因と症状は?
子宮が大きくなることで、膀胱が子宮に圧迫され、トイレが近くなります。
対策は?
トイレの我慢は、膀胱炎などのトラブルの原因になります。がまんしないように気をつけます。また、腹巻をしたり冷え予防も大切です。
【むくみ】妊娠高血圧に注意、むくみ予防靴下の使用も◎
原因と症状は?
妊娠後期には赤ちゃんに血液を送るためママの血液量が増えます。そのとき、より赤ちゃんに血液を送りやすくするため、血球の数は増やさず血漿成分のみ増えるので薄い血液になります。そのためむくみが起こりやすくなります。
また、大きくなった子宮に足の付け根の静脈が圧迫されてしまい、足から心臓に戻る血液が滞り、むくみやすくなります。注意してほしいむくみとして、妊娠高血圧症候群の症状の1つがあります。
対策は?
血圧が上がったり、急激に体重が増えむくみがひどくなった場合は、かかりつけの産婦人科や助産院に受診しましょう。
脚のむくみがある場合は、脚を高くして休息したり、レッグウォーマーを使うなどして血流をよくして冷えを防ぎましょう。むくみ予防の靴下やストッキングを使用するのもよいです。また、食事でも塩分控えめにしましょう。
【こむらがえり】ミネラルの多い食事を、マタニティヨガも効果的
原因と症状は?
妊娠後期には大きくなった子宮を支えるために起こった脚の疲労や血流が悪くなることで、こむらがえりが起こりやすくなります。また、カルシウムやビタミンの不足によっても起こることがあります。
対策は?
むくみと同様で、脚の休息や冷えの予防が大切です。ミネラルの多い食事を取り入れましょう。マタニティヨガも症状緩和に効果があります。
【気を付けたいトラブル】切迫早産と常位胎盤早期剥離
以下は気をつけてほしいトラブルです。自己判断せず、早めにかかりつけの産婦人科医や助産師に相談しましょう。
切迫早産:
妊娠後期の終盤には、お産に備えて、子宮頚管が短くなってきたり、おなかの張りが増えたりしていきます。ただ、妊娠8、9ヶ月で、痛みをともなうおなかの張りや、1時間に4回以上おなかが張るなどの場合は、切迫早産になってしまう可能性があります。横になっても休んでもおさまらない場合は、かかりつけの産婦人科や助産院に受診しましょう。
常位胎盤早期剥離:
これは、妊娠中にもかかわらず子宮壁と胎盤がはがれてしまうことです。おなかの痛みが治まらない、おなか全体が硬い、性器出血がみられることがあります。この場合は、ママや赤ちゃんの命にもかかわります。早急にかかりつけの産婦人科や助産院に受診しましょう。
体験談|妊娠後期の不調

妊娠後期の過ごし方
日々の生活|夫婦での外出や家でのアロマなどでストレスのないマタニティライフを

妊娠後期には、さまざまなからだの変化が起こってきます。いままで普通にできていたことが大変になってくることもあります。無理をせず、からだや赤ちゃんの声に耳を傾けながらすごすことが大切になってきます。
また、代謝がよくなるので汗をかきやすくなったり、おりものも増えることがあります。からだの清潔も大切です。
気持ちの面でも、沈みがちになったり、不安も増えることがあるのでリフレッシュも大切です。体調のよいときには近所の散歩をしたり、友人とおしゃべりしたりしてリフレッシュしましょう。
パパとのデートもいいかもしれませんね。マタニティヨガや簡単なストレッチもおすすめです。外出したくないときや体調がすぐれないときは無理をせず、家でアロマを炊いたりや足湯などもよいと思います。
また、妊娠後期になったら、妊娠経過がいままで順調であったママも、切迫早産などのトラブルでいつ入院になるかわかりません。後半ではお産で入院になるかもしれません。
妊娠後期に入ったら入院に必要なものを準備しまとめておいたり、必要な書類の記入なども少しずつすすめておくと安心です。
妊娠後期の運動|体調の変化が大きい時期なので無理なく行うこと
妊娠経過が順調なママは、お産にむけたからだ作りを兼ねて運動をおこなうのもおすすめです。リフレッシュにもなりますね。妊娠後期は体調の変化が著しいので、無理をせずにおこなうのが大切です。
散歩やマタニティヨガ、マタニティスイミング、マタニティエクササイズなど、アクティブなものからゆっくりおこなえるものまでたくさんあります。自分にあった運動をみつけるもの楽しいですよ。
注意点としては、無理をしないこと、おなかが張ったり痛みがあらわれたときはすぐに休憩することが大切です。
ひとりで散歩に行く場合は、外出先でのトラブルにも対応できるよう、携帯電話を忘れないことや母子手帳を持参することが必要です。運動をおこなう際は、かかりつけの産婦人科医や助産師に許可をとってからおこないましょう。
妊娠後期にからだにいい食事|塩分の取りすぎは禁物、バランスよく食べよう
妊娠後期では、赤ちゃんの成長を促すためや栄養を届けるため、妊娠前のエネルギー量より+500kcal必要となってきます。また、必要な蛋白質やビタミン、ミネラルなどの栄養素も妊娠前より多くなります。
どれかにかたよるのではなく、バランスよく食事することが必要です。食物繊維の多いものも積極的に取り入れましょう。
また、塩分の取りすぎはむくみの悪化や、血圧が上がるなどのトラブルの原因となります。薄味の食事とし、香辛料や自然な出汁でうまみを引き出したりと工夫するとおいしく食べられます。
目でもおいしく食べられるように、おしゃれな食器を使ったり、彩りも工夫すると楽しいですね。
体験談|妊娠後期の過ごし方

パパは何をしたらいい?
こんなときはこうしよう!!パパや家族はママの一番の味方です

妊娠後期はママの体調の変化が著しく変わります。ママが大変そうなときは、協力できそうなところは協力してあげましょう。料理を一緒に作ったり、家事を少し手伝ってもらえるだけでもママはとってもうれしいと思います。
また、ママのこころの変化に寄り添えるのもパパや家族の大切な役目です!!ママの気持ちを聞いてあげたり、体調がよさそうなときは一緒に出かけたり、一緒に運動したりとママのリフレッシュにもかかわれるといいですね。
なにより、パパや家族もママと一緒に赤ちゃんと対話しましょう。赤ちゃんへの愛しい気持ちを一緒に共有することが、ママにとって一番安心できることだと思います。
体験談|日々のサポートはもちろんマッサージやお灸も!

まとめ
妊娠後期は、妊娠期間のラストスパートです。そのため、からだやこころの変化もたくさんおこるので、不調が増えてしまうのも現実です。
しかし、赤ちゃんの成長を一番感じることができる楽しい時期でもあります。少しの工夫で、こころもからだもラクにして、妊娠期間のラストスパートをパパや家族と一緒に楽しみながらすごせるといいですね。
・表示価格は、改正前の消費税率で掲載されている場合があります。ご了承ください。