目次
妊娠9ヶ月の胎児の変化と状態
感覚の発達|神経系が完成し、新生児と変わらない姿に
妊娠9ヶ月の頃の赤ちゃんは、神経系も完成し新生児とほぼ変わらない姿をしています。エコー写真でも目・鼻・口といった部位がはっきりと見られることも。
この頃の赤ちゃんは、ママのお腹の中にいても五感はある程度発達しているとされています。では、具体的にどのように発達しているかみていきましょう。
(1)視覚 明暗の区別はさることながら、目の前25cmのものは認識できるようになる
(2)聴覚 骨伝導によりママの声は聴こえやすい
(3)嗅覚 ママの羊水のにおいを嗅ぐことができる
(4)味覚 産後に母乳を飲むことから、甘さは感じとれている
(5)触覚 ママの歩く振動は心地よく感じている
五感の中でも嗅覚は、産まれてからすぐにおっぱいを探せるようにと特に鋭くなっています。
産まれる前の赤ちゃんはこのようにしてママのお腹から出る準備をしているのです。とっても神秘的ですね。
妊娠9ヶ月の母体の変化と状態
胎動の変化|胎動があまりに弱ければ早めに産院で相談を
胎動は、ママパパにとってお腹に赤ちゃんがいることを実感できる証ですね。しかし、妊娠9ヶ月頃から胎動が少なく感じるというママもいらっしゃることと思います。
赤ちゃんが大きくなると子宮内を自由に動き回れなくなるため、胎動が少なくなったり、弱く感じたりする傾向にあります。
胎動は赤ちゃんが元気かどうかのサインでもあります。妊婦健診でも「胎動は感じますか?」という問診を受けることが多くなってきます。あまりに胎動が少ない・弱い場合はお医者さんに相談してみましょう。
ママの身体の変化|ホルモンの影響による体毛の増加など

(1)胸が大きくなる
妊娠9ヶ月になると女性ホルモンの影響により胸が大きくなります。個人差もありますが、妊娠前と比べて2カップほどサイズアップする場合もあります。
窮屈な下着で締めつけるのは母乳の出にも影響することもありますので、マタニティブラジャーなどを活用し快適に過ごせるようにしましょう。
(2)乳首から分泌物が出始める
妊娠9ヶ月になると、乳首から透明や黄色の分泌物液が出てきます。「これが母乳?」と思うママもいらっしゃるでしょう。
しかし、これは母乳とは違います。女性ホルモンの働きで、産後に備えて乳腺が母乳を出す準備のために出るものです。
下着を汚してしまう場合もありますので、母乳パッドを使用するといいですね。母乳パッドは産後にも使えますので、この時期に用意しておいても無駄ではないでしょう。
(3)体毛が濃くなる
特にお腹周りの体毛が濃くなることが多いようです。これも女性ホルモンの影響により、メラニン色素の沈着が原因しています。
産後はいつの間にか薄くなっていることがほとんどです。妊娠中は、肌が敏感になっているので、不必要な除毛・脱毛は控えるようにしましょう。
妊娠9ヶ月に起こりやすいマイナートラブルと対処法
頻尿、尿漏れ
子宮が膀胱を圧迫することによって、トイレが近くなったりお腹に力を入れると尿漏れが起きたりします。
トイレを我慢しないことはもちろん、尿漏れへの対処として専用のナプキン(ライナー)を使用すると安心です。肛門を締める、緩めるを繰り返して、骨盤底筋を鍛えるのもおすすめです。この時、お腹に力が入らないように注意しましょう。
胃痛、胃もたれ
子宮がみぞおちまで大きくなるため、胃が圧迫され、むかつきや吐き気が起きることから、後期つわりと呼ばれることがあります。
食事は数回に分けて、少しずつ食べるようにすると胃への負担が軽減されます。また、消化のよい食事をこころがけましょう。
便秘、痔
女性ホルモンの影響や子宮が腸を圧迫することのより、腸の動きが鈍くなり便秘になります。
また、便秘により肛門周辺がうっ血したり、子宮が肛門を圧迫することで血液循環が悪くなったりすることが原因で痔になることも。
規則正しい食生活をすること、食物繊維が豊富な栄養バランスを考えた食事をとることです。便秘から痔になる可能性が高いので便秘をしないことが大切です。適度な運動も便秘の改善につながります。
お腹の張り、腹痛
妊娠9ヶ月になると、不規則に子宮が収縮するためお腹が張ったり腹痛がおきたりします。
「お腹の張り」とは、個々で感じ方はさまざまですがキューとお腹が固くなる状態を言います。疲れやストレス、冷えも原因になります。
お腹の張りを感じたら横になって休みましょう。座って休むだけでも効果はあります。30分以内で治まる張りや腹痛は心配ないとされています。疲れや冷えは大敵なので、無理をしないでリラックスした生活を送ることも大切ですね。
手足のむくみ
むくみとは、体内に水分が溜まってしまう状態のことです。妊娠後期は、特に血液量の増加が主な原因で、手やふくらはぎなどがむくみやすくなります。塩分の過剰摂取や運動不足、冷えによる血流のめぐりが悪いことも原因になります。
食生活を見直してみましょう。過剰な塩分摂取はむくみを引き起こすだけでなく、妊娠糖尿病などの病気に繋がる危険もあります。
足のむくみは、横になる時は足をやや高くすると緩和されます。手のむくみは手を閉じたり開いたりを繰り返してみましょう。マタニティレギンスやマタニティタイツなどを着用するのもむくみが軽減されるのでおすすめですよ。
腰痛
骨盤周辺を緩める働きをする女性ホルモンの影響や、お腹が大きくなることにより重心が前になるので腰周辺に負担がかかり腰痛になります。
腰痛の対処法は、骨盤ベルトを装着すると痛みが緩和されます。また、マタニティヨガ、マタニティスイミングなどの運動を取り入れて腹筋や背筋を鍛えるのもおすすめです。運動を取り入れる場合は、必ずお医者さんの許可をもらうようにしましょう。
妊娠9ヶ月で注意すべき病気
(1)妊娠糖尿病
妊娠前は糖尿病ではなかったのに、妊娠してからかかる糖代謝異常です。妊娠前から糖尿病の場合や妊娠中に糖尿病と診断された場合は含めません。
原因は、女性ホルモンによって血糖を下げるインスリンがうまく働かなることで、妊娠糖尿病になるとさまざまな合併症が起こります。
・ママ側 妊娠高血圧症候群、羊水過多、腎症など
・赤ちゃん側 流産、形態異常、巨大児、心臓肥大など
治療は主に食事療法ですが、効果が得られない場合は赤ちゃんへの影響がないインスリン注射を行います。妊娠中は、食事・運動・生活習慣に気を付けて予防するようにしましょう。
(2)早産・切迫早産
早産とは、正期産以前の出生をいいます。また切迫早産とは、早産の一歩手前の状態をいいます。妊娠9ヶ月はまだ、正期産ではないので注意が必要です。
正常の分娩時期に近い早産でも、呼吸障害など長期的な障害が残るケースもあるようです。
妊娠高血圧症候群、前置胎盤、常位胎盤早期剥離、胎児機能不全などで人工的に早産にせざるを得ない場合もあります。 早期診断と予防が必要になります。
(3)前期破水
前期破水とは、陣痛がくる前に破水することをいいます。前期破水は、分娩につながらない可能性が高く、赤ちゃんを包む卵膜が破れているため子宮内が細菌感染する危険性があります。
このため、病院への早期受診が必要ですが、卵膜の破れ方が弱いと気づかない場合もあります。尿漏れやおりものとの区別がつきにくいので少しでも異変があれば病院へ相談しましょう。
(4)貧血
妊娠中は、赤ちゃんの分の血液などが増加することなどから貧血になりやすくなります。主な症状は、めまい・倦怠感・頭痛などです。
重度の貧血だと、赤ちゃんが低体重出生の危険性があります。重度の貧血の場合は、鉄剤の処方・点滴などの治療が行われます。貧血もまた、食事で鉄分を摂取するなどによって予防できるものです。
体験談:妊娠9ヶ月の症状
腹痛、腰痛、頻尿、お腹の張り、体重増加

胃が圧迫されることによる胸焼けの症状

妊娠9ヶ月の過ごし方 食事や運動は?出産準備も!
食事|バランス良い食生活が大切…でもたまにはご褒美のお菓子も

妊娠9ヶ月は、マイナートラブルから注意すべき病気までさまざまあり、食生活の面はより気を付けたいものです。体重管理も引き続き大切です。
妊娠糖尿病や貧血、むくみなどを予防するには栄養バランスのとれた食事が大切になってきます。では、食事でのポイントをみてみましょう。
・塩分は控えめに
・炭水化物は減らす
・カロリーを抑える
・手作り中心で薄味の料理をこころがける
・鉄分・食物繊維を摂る (貧血・便秘予防)
・カリウムを摂る (むくみの改善)
しかし、食べたいものを食べられないのは辛いですよね。あまりストレスにならないように、たまにはご褒美として、好きなおやつを適量食べるのもよいでしょう。
運動|出産時の体力作りにも◎、負担なくできるものを

妊娠9ヶ月にもなると、お腹が大きくて動くのも大変になります。横になったり座ったりしたままということも多いでしょう。
妊娠中の運動は、カロリー消費だけでなく、出産時の体力作りや安産に繋がる筋力・体作りにもなります。また、腰痛や便秘といったマイナートラブルも改善できます。
安静と言われていない限りは適度な運動を取り入れてみましょう。妊娠中におすすめとされている運動は次の通りです。
・マタニティヨガ 筋肉をほぐしリラックス効果もあり
・マタニティスイミング お腹の重さをあまり感じずに運動できる
・ウォーキング 1日30分ほどでも効果あり
・ストレッチ あぐらをかき股関節の筋肉をほぐす。産道を柔らかくする効果あり
運動は体に良いだけでなく気分転換にもなります。楽しい気持ちでできることが1番です!
出産準備|里帰り出産、入院時の持ち物、赤ちゃん用品の最終チェック

妊娠9ヶ月には、いつ陣痛が起きてもいいように出産準備の仕上げをしておきましょう。ママの入院準備や赤ちゃん用品を揃えるといったこと以外にどんな準備が必要でしょうか。
里帰り出産を予定しているママは、妊娠9ヶ月の時期に里帰りすることが多いようです。この場合は、パパの生活面や精神面への配慮を忘れずにしましょう。
また、陣痛はいつ起こるかわかりません。パパや家族がそばにいない場合もありうるので、陣痛タクシーなどを予約しておきましょう。
陣痛の予備知識を学ぶことも出産準備として大切です。呼吸法をマスターするのもよいでしょう。練習しておけば出産時の安心感も違いますね。
最後は、妊娠中にやりたいことをやっておくこと。産後は、赤ちゃん中心の生活になりますから、今のうちにできることをしておきましょう。
ママが、有意義に過ごすことが良い出産にもつながります。読書をしてひとりの時間を過ごしてみたり、パパとふたりでおいしい食事を楽しんだりするのもよいですね。
体験談:妊娠9ヶ月の過ごし方
食事を工夫し、マタニティ―ビクスやマタニティ―ヨガでストレス解消

適度な運動と趣味の時間でリラックス

パパは何をしてあげたらいい?
育児の勉強をして頼れるパパに!
出産するのはママの仕事ですが、育児はママパパが協力して行うものです。ですから、この時期から積極的に育児について学びましょう。
父親学級に参加したパパも、おむつ替えや沐浴のさせ方などもう一度確認してみましょう。また、ママと育児について色々話をしておくのもおすすめです。
産まれた後ではなかなか夫婦の時間が取れないので、ママとのコミュニケーションをとっておくにはこの時期がチャンスです。パパの育児への積極的な姿勢は、ママにとって頼りがいがありうれしいものです!
体験談:パパにしてもらってうれしかったこと
2人でのおでかけとお風呂洗いなどの家事

体調を気遣ってくれる言葉

マッサージと2人きりのディナー

まとめ
いかがでしたか?妊娠9ヶ月は、ママやパパだけでなく、お腹の赤ちゃんも産まれた後に向けて着々と準備をしています。
ママはさまざまな不調に悩まされる時期ですが、無理をせず、有意義なマタニティライフを過ごしてください。それにはパパの応援も欠かせませんね!
(文章作成:ひとで)
・表示価格は、改正前の消費税率で掲載されている場合があります。ご了承ください。