陣痛とは
赤ちゃんはどうやって出てくるの?
赤ちゃんは狭い骨盤をくぐりぬけるために、少しずつ回りながら生まれてきます。
最初はママの右側(左側の子もいます)を向いていますが、陣痛が始まると自然に顎を引きます(第1回旋)。
ママの痛みが強くなり、子宮口が開いていくにつれて、赤ちゃんはママの背中側を向くように回りながら、少しずつ下がってきます(第2回旋)。
子宮口が全部開くころには、赤ちゃんはママの背中の方を向きます。そして、ゆっくりと産道を進みます。
いよいよ頭が出る!というときに、引いた顎を戻します(第3回旋)。
頭が出た後、肩が出てくる時には、もともと向いていた方向を向き直し、横を向いた状態で生まれてきます(第4回旋)。
陣痛の痛みの性質
本陣痛を迎える前に、多くの人が前駆陣痛やお腹の張りの増加を感じます。子宮が収縮することで、赤ちゃんの頭が子宮口を押し、軟らかくしてくれると考えられています。
本陣痛は赤ちゃんを産むための痛みなので、前駆陣痛より痛みが強いです。
しかしエンドルフィン(あだ名は脳内麻薬!)が分泌されるため、陣痛で失神することはありません。
陣痛の起こりやすい時間帯
陣痛が始まる時間についていくつか研究が行われています。
その結果では、真夜中の1~3時ごろに起こることが多いとされていますが、いずれも対象となる分娩の数が少ないため、本当にそう言えるかどうかは分かりません。
もちろん、他の時間に陣痛が来る人もたくさんいます。
陣痛と間違えないで!常位胎盤早期剥離
陣痛と間違えやすい痛みに、常位胎盤早期剥離による腹痛があります。
赤ちゃんが生まれていないのに胎盤が剥がれて子宮の中で出血し、突然激しい腹痛が起こります。
陣痛のように痛みと休憩を繰り返す痛みではなく、ずーっと痛いです。おなかがカチカチに硬くなるのも特徴の一つです。
胎盤が剥がれると赤ちゃんは酸欠になるため、常位胎盤早期剥離の胎児死亡率は50%にものぼります。ママが亡くなることすらあります。
予防する方法はありませんが、もし起こった場合は、赤ちゃんそしてママ自身を助けるために急いで早く病院へ行ってください。
微弱陣痛
陣痛が来ても、微弱陣痛といって何らかの原因で陣痛が弱くなり、お産が進まなくなることがあります。
お産を進ませるために、アクティブチェアという椅子に座ったり、体勢をいろいろ変えてみたり、陣痛促進剤を使ったりします。
原因のひとつはママの疲労です。陣痛が来ると緊張するかもしれませんが、痛みと痛みの間にうとうとしたりして体力を温存しましょう。
陣痛の兆候
前駆陣痛
本格的な陣痛が来る前に、前駆陣痛といっておなかが張ります。痛みはありますが、本陣痛と違って間隔が不規則で、張りの強さに強弱があります。
たいていはいったん落ち着き、何日か経ってから陣痛がきます。
破水
陣痛が始まる前の破水を、前期破水といい、全分娩の10%で起こります。
通常は破水すると、しばらくして陣痛が来ます。陣痛が来ない場合は、薬を使って陣痛誘発をします。
完全破水の場合は羊水がバシャバシャと出てくるので気づきますが、高位破水と呼ばれる、子宮の奥の方の卵膜が破れた場合は、チョロチョロとしか出てこないので、尿漏れかどうか迷うこともあります。
尿漏れではなく破水と気づくポイントは
・独特のにおいがある(少し生臭い感じです)
・自分の意思で止められない
です。
赤ちゃんの頭が十分に下がっていないときに破水すると、臍帯脱出といって赤ちゃんの頭より先にへその緒が出てくることもあり、危険です。
「破水かもしれない」と思ったら、必ずかかりつけの産婦人科へ行きましょう。
腹痛・下痢
陣痛の最初の頃の痛みを「おなかをこわす時のような痛み」に感じる人がいます。
もっとも、そう感じるのも一瞬のことで、次第におなかが規則的にきゅーっと張るようになります。
胎動の減少
お産が近づくと「胎動が減る」と言われますが、実際は赤ちゃんは動いています。
赤ちゃんの頭が下がると、少しおなかも下がって楽に感じるため、または陣痛で胎動を感じるどころではなくて、そういわれているのかもしれません。
まったく胎動がないときは、赤ちゃんがきつがっているサインかもしれないので、すぐに病院へ。
番外編・陣痛のときの吐き気
時々、陣痛の最中に吐く方がいます。実際は世間で言われているほど多くなく、体感的には20人にひとりもいないような気がします。
なぜ吐き気がするのかは、はっきりわかっていません。
陣痛の間隔
分娩第2期の陣痛
子宮口が10cmになってから、赤ちゃんが生まれるまでを分娩第2期といいます。子宮口9cmから分娩第2期では、陣痛の間隔は2分、一回の痛む時間は約60秒です。
赤ちゃんの位置によっては、早くからいきみ始めると疲れ、いよいよの時に力が出なくなります。
いつからどれくらいいきむかは、お産の進み具合を見ながら、助産師がアドバイスしてくれます。
なるべくその通りにやってみましょう。
分娩第3期の陣痛
赤ちゃんが出てから、胎盤が出るまでを分娩第3期といいます。
これまでの陣痛と異なり、胎盤を剥がして排出し、出血を止めるために、子宮がギューッと収縮します。
生理痛のような痛みと言った方が近いかもしれません。
初産婦と経産婦ではどう違う?
通常、初産婦さんのお産にかかる時間は、分娩第1期が12時間以内、分娩第2期が2時間以内、分娩第3期が30分以内です。
初産婦さんは、子宮口が10cmになってから分娩室に移ります。ここで、ご本人やご家族から「あと何分で生まれますか?」と聞かれることがよくあります。
2時間以内に生まれたら安産です、と答えるとがっかりされますが、それが正常なのです。経産婦さんは、かかる時間はそれぞれ初産婦さんの半分です。
痛みも初めてのお産より軽いことが多く、いやいやこんなもんじゃないと思っているうちに一気にお産が進むことも。
経産婦さんはだいたい子宮口5~6cmくらいから分娩室に移ります。
病院に連絡するタイミング
家から病院までの距離にもよりますが、陣痛の間隔が10分以内になったら病院に連絡しましょう。
助産師か産科医が、痛みの強さや間隔を聞いて、来るタイミングを指示します。しゃべれるときは、なるべく本人から連絡するのが良いです。
会話の途中で、痛みでしゃべれなくなるかどうかも、お産の進み具合を推測するのに役立つからです。
胎動がわからなかったり、破水したりした場合もなるだけ早く病院へ連絡しましょう。
陣痛の対策、乗り切り方
トイレに行くタイミングは?
トイレには自力で行ける限り、行きましょう!
産道は膀胱と直腸の間にあるので、尿や便が溜まっていると産道が圧迫されて、お産の進みが悪くなります。
ただ、助産師などがいつでもトイレの中に駆けつけられるように、トイレに行くときは声をかけること、鍵をかけずに用を足すことはお願いしています。
陣痛が来やすくなるジンクス
まずは体を動かすことでしょうか。歩いたり、スクワットなどでしゃがんだり。雑巾がけがいい、という説もありますね。
また、足湯に浸かったり、次にお話しする三陰交というツボを押す/温めるという方法を試す方もいます。
筆者の友人であるベテランの助産師によると「三陰交が冷えてるとお産がすすまない」んだそうです。
陣痛の痛みをうまく逃すためのツボ
先ほども出てきた「三陰交」が良いとされています。三陰交とは、内くるぶしから指4本上、骨の内側で押すと痛いところです。
また「次膠」といって、仙骨のくぼみのうち上から2番目にあるツボも良いといわれています。
パパはどうやって手伝うべき?
まず、パパは隣にいて、ママを支えたいという意思表示をすることが何よりも大事です。ママはこれまでの人生最大の痛みに耐えています。
パパの腕をつかんだり、「違う!」と怒られたりしても、とにかく我慢です!
人によっては、痛みが強くなってきたころに強く腰の下の方をさすったり、テニスボールで肛門あたりを圧迫したりすると痛みを逃しやすいことがあります。
テニスボールは消毒する必要はありませんが、新品を使いましょう。また直接当てるのは不衛生なので、パッドや服の上から当てましょう。
痛みが引いたときにタオルで汗を拭いてあげたり、食べ物や飲み物を差し出すのも良いでしょう。
食べ物は、おにぎりやウィダーインゼリーがおすすめです。飲み物はお茶やイオン飲料など、クリアなものを。ストローボトルなら寝ていても飲みやすいです。
ホットなコーンスープの缶を差し出して、キレられた旦那さんを見たことがあります、ご注意を!(笑)
まとめ
いかがでしたか?なかなか難しいことではありますが、体力の温存のためには、なるべく落ち着いて陣痛に向き合いたいですね。
安産をお祈りしています!
・表示価格は、改正前の消費税率で掲載されている場合があります。ご了承ください。