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かこさとしさんってどんな人?
工学博士であり児童文学研究者でもある絵本作家

かこさとしさんは1926年に福井県で生まれました。「加古里子」と漢字で表記されることもあるこの名前は本名ではなく、ペンネームなんですよ。
東京大学工学部を卒業し、工学博士として民間の研究所に勤務するかたわらで、人形劇や紙芝居などを通して子どもの文化活動に参加するようになりました。その後1959年に「だむのおじさんたち」で絵本作家としてデビューしています。
子どもたちへの教育に対する情熱を持ち続け、日本はもちろん海外でも幼児教育について講演しています。こういった活動と同時進行で代表作の「だるまちゃん」シリーズを筆頭に、これまで600冊以上の絵本や児童書を執筆していて、90歳を超えた今でも新作を発表し続けています。
かこさとしさんの代表作は?
1967年の発売以来愛され続ける、だるまちゃんシリーズ

かこさとしさんはこれまで本当にたくさんの作品を執筆していますが、その中での代表作のひとつに、だるまちゃんシリーズが挙げられます。
このシリーズは1967年にシリーズ最初の「だるまちゃんとてんぐちゃん」が発売されて以来、ずっと子どもたちに親しまれ続けています。だるまちゃんと毎回変わるてんぐちゃんやかみなりちゃんといったお友達によって、楽しい物語が展開されていきます。
手足のついているだるまちゃんの絵はインパクト大ですよね。つい気になって手に取る子どもたちも多いのではないでしょうか。
見ていて楽しくなるたくさんのパンが登場!からすのパンやさん
1973年に発表された「からすのパンやさん」も、ママパパが子どもだった時から現在まで長く愛されている絵本です。パン屋さんのおうちに生まれたカラフルな4人の子どもたちのかわいさと作品の中に出てくるワクワクするようなたくさんのパン、それにどんどん広がるストーリーの展開がとても楽しいです。
2013年に4冊発売された続編も注目ですよ。かこさんは児童教育の分野での熱心な研究家ですが、だるまちゃんシリーズ、からすのパンやさんは子どもたちに教訓になるような固い作品ではありません。
素直にストーリーを楽しめるところが子どもたちが夢中になる秘密なのではないでしょうか。レトロでやさしいイラストも魅力ですよね。
かこさとしさんの絵本をご紹介します
【1】だるまちゃんとてんぐちゃん|加古 里子
てんぐちゃんがうらやましいだるまちゃん

だるまちゃんシリーズの記念すべき第1弾で、1967年の発売以来50年以上も愛され続ける名作です。てんぐちゃんの持ち物や長い鼻がうらやましくてたまらないだるまちゃんは、お父さんのだるまどんに協力してもらいながら、似たような持ち物を探していきます。
だるまちゃんの機転を利かせたアイデアに感心したり、だるまどんの勘違いにくすっと笑ったりと、楽しみどころがいっぱいの微笑ましいストーリーになっています。各ページにずらりと並ぶ物のイラストを見ているだけでも楽しいですよ。
口コミ
・内容がわかりやすく楽しく読めるので、ごっこ遊びが好きな3歳の子どものお気に入りの絵本です。
・だるまどんがせっせと物を探して頑張る姿や、てんぐちゃんの優しい態度にほのぼのとします。
・手足の生えただるまのイラストが、味があって素敵です。
【2】だるまちゃんとかみなりちゃん|加古 里子
雷の国はまるで未来の世界みたい!

だるまちゃんシリーズの第2弾で、今度はだるまちゃんがみなりちゃんに出会うことから物語がはじまります。木に引っかかった何か不思議なものを取ることができずに泣き出してしまったかみなりちゃんと、そんなかみなりちゃんのために奮闘するだるまちゃんの姿がとてもかわいいですよ。
かみなりちゃんのお父さんが登場すると木に引っかかっているものの正体がわかります。そしてだるまちゃんはなんと雷の国へ招待され、物語はワクワクする展開へ…!友達と遊ぶ楽しさが溢れる楽しい作品です。
口コミ
・ほのぼのとした登場人物に癒されます。雷の国に行きたくなりました。
・イラストも内容もとてもかわいらしくて、子どものお気に入りの一冊になりました。
・だるまちゃんのシリーズの中では読みやすくわかりやすい内容で、読み聞かせにもぴったりです。
【3】だるまちゃんとキジムナちゃん|加古 里子
だるまちゃんシリーズ最新作

2018年1月に発売されただるまちゃんシリーズの最新刊です。この本でのだるまちゃんの遊び相手は沖縄の離島に住むキジムナちゃん。沖縄には、古くから言い伝えられているキジムナーというかわいい妖怪がいて、ガジュマルの木の精霊とされているそうです。
最初は無邪気に遊んでいた二人でしたが、だるまどんといしみね先生をハブから助けるという大活躍を見せてくれます。「だるまちゃんとてんぐちゃん」から50年以上経っても全く色あせない、だるまちゃんのかわいさと楽しさを堪能できる1冊です。
口コミ
・加古里子さんの絵本作家としての情熱を感じることのできる絵本です。沖縄の文化などにも興味を持ちました。イラストも細部までこだわっていて素敵です。
・子ども達が沖縄の文化や生活に興味を持つようになりました。
【4】からすのパンやさん|かこ さとし
楽しいパンがいっぱい登場!

からすが暮らすいずみがもりのパン屋さんに、カラフルな4人の子どもが生まれるところから物語がはじまります。子どもたちのお世話に手が取られてパン屋さんは全く繁盛していなかったのですが、あることがきっかけで森中を巻き込む大騒動が巻き起こります。
ドミノ倒しのように進んで行くストーリーにはどんどん引き込まれていってしまうこと間違いなしですよ。色々な物の形をしたかわいいパン達が見開きいっぱいに広がるページは、子どもたちの心をワクワクさせてくれます。
しまうまパンにきのこパン、テレビパンやえんぴつパンまで…!読み終わったらパンが食べたくなる一冊です。
口コミ
・子どもの頃に良く読んだ絵本でお気に入りです。子どももたくさんのパンが見開きになったページを開いては、色々なパンを指さして楽しそうに読んでいます。
・おいしそうなパンがたくさん出てくるので、食べるまねをして遊ぶことができます。
【5】どろぼう がっこう|かこ さとし
どろぼうがっこうの遠足の行方は?

なんだか気になるタイトルのこの作品は、みみずくが教えてくれたお話という設定で語られます。山奥にある立派な泥棒になるためのどろぼうがっこうは、歌舞伎役者のような校長先生と強面の生徒たちが日々悪いことをする勉強に励んでいました。
ここでは授業も宿題も遠足も泥棒学校ならではのへんてこなものです。そして夜中に遠足に出かけた校長先生と生徒たちを待ち受けるオチは、時代を超えて痛快ですよ!ありえない設定のお話が真面目に語られていくところも面白いです。学芸会などでもよく演じられる定番の作品です。
口コミ
・テンポ良く展開していくので、読む方も聞く方も楽しめます。
・子ども達がどろぼうがっこうの真似をして遊んでいます。
・ついつい口ずさみたくなるようなリズム感のある楽しい言い回しが親子で気に入っています。
【6】おたまじゃくしの 101ちゃん|かこ さとし
母子の絆に感動

いちべえぬまのかえるのお母さんと、101匹のこどもおたまじゃくしとの心温まるお話です。ある日迷子になったおたまじゃくしの101ちゃんを探しに行ったお母さんですが、そこでみずかまきりとザリガニの争いに巻き込まれて大ピンチになってしまいました。
お母さんと101ちゃんは無事にこの危険を乗り越えることができるのでしょうか。ママはかえるのお母さんに、子どもは101ちゃんに思わず感情移入してしまいますよ。母と子の絆にあったかい気持ちになる、ハラハラドキドキとやさしさがつまった物語です。
口コミ
・くすっと笑える場面もハラハラドキドキする場面もあり、何度読んでも楽しめる絵本です。
・小さい頃に親が読んでくれた懐かしい絵本です。今では子どもに読み聞かせしています。
・あたたかいイラストも優しい文章も、心がほのぼのとします。
【7】にんじんばたけの パピプペポ|かこ さとし
怠け者でもみんなで力を合わせれば…!

なまけもののぶたさんたちが20匹集まって、荒れ放題の畑を耕してにんじんづくりをするというお話です。にんじんをたくさん収穫したことでどんどんたくましく成長していき、町の建物の建設までするようになるぶたさんの姿には、子どもの心にも響くものがあるのではないでしょうか。
ところどころについ口ずさみたくなるような楽しい歌が出てきたり、パ行、バ行で始まるぶたさんたちの名前がかわいかったりして、声に出して読むのが楽しい絵本です。苦手な野菜でもこのお話を聞いた後なら食べられそうな気がしてきそうです。
口コミ
・この絵本のおかげで、子どもがにんじんを食べられるようになりました。
・ぶたの兄弟の名前が面白くて子どもが気に入ったようです。
・細かい部分まで丁寧に描かれた絵がとても素敵です。
【8】宇宙|加古 里子
本格的な内容をわかりやすく描いた科学絵本

壮大な宇宙の広がりを感じてそれについて知ることができる、福音館書店の科学絵本です。絵本でありながら重力と飛距離、虹の角度、さらに宇宙有限論といったかなり本格的な内容になっていますが、それを子どもが読んでも理解できるようにやさしく丁寧に解説されています。
かこさとしさんのレトロなイラストも、宇宙への憧れや興味をより一層引き立ててくれますよ。宇宙のことを知るきっかけの入門書としてずっと支持され続けているのにもうなずける、夢の詰まった1冊です。
口コミ
・宇宙のスケールの大きさを感じることができ、わくわくする科学絵本です。
・自分と自然とのつながりを教えてくれる絵本です。身近なものを題材にして、わかりやすく解説してくれています。
・子どもにはもちろん、大人でも楽しんで読めます。
【9】むしばミュータンスのぼうけん|かこ さとし
歯みがきが嫌いな子におすすめ

かこさとしからだの本シリーズの1冊であるこちらは、むしばミュータンスが子どもたちに虫歯になることをおすすめしてくれるという、ちょっとびっくりする設定になっています。
しかしミュータンスの説明を聞いていると虫歯になる仕組みや虫歯の怖さがわかり、おすすめされている側の子どもたちは自然と歯みがきをしっかりしてくれるようになるという逆説的な効果があるようです。
いくら言ってもなかなか歯みがきをしてくれない子どもには、このような押しつけがましくない説得の仕方が効くのかもしれませんね。
口コミ
・この絵本を読み聞かせしたら、普段歯磨きを嫌がる子どもが自ら磨いてくれるようになりました。
・ミュータンスの視点でお話が進んでいくのが、子どもにとって興味深いようです。
・虫歯の恐ろしさ、歯磨きの大切さを知ることができる絵本です。
【10】コウノトリのコウちゃん|かこ さとし
著者の故郷、越前市ゆかりのコウノトリのお話

福井県越前市生まれのかこさとしさんが、子ども時代を過ごしたこの土地にゆかりのあるコウノトリを題材にして描いた物語です。この絵本では人間が便利さを求めるがゆえに進める自然破壊、その影響を受けて絶滅の危機に陥るコウノトリという、現代にはびこる問題がクローズアップされています。
コウノトリの兄弟と彼らを見守る村人達のあたたかな心から、人間が自然の中に生きる他の動物たちと共存していくヒントを知ることができる気がします。2017年、91歳になったかこさとしさんが発表した、心温まる作品ですよ。
まとめ
かこさとしさんの絵本はどれも押しつけがましいところがなく、子どもたちが心からストーリーを楽しめるものばかりです。それでも物語の中には随所に子どもたちへのメッセージが隠れていて、自然に心にしみ込んでいきます。
かこさんはどんな風に伝えたら子どもに伝わるのかを、長い子どもたちとの触れ合いから知り尽くしているんだろうなと思わずにはいられません。どれここれも名作揃いのかこさとしさんの素敵な物語を、お子さんと一緒に楽しんでみてくださいね。
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