子どもにかかる費用、ざっといくら?

子どもにかかる費用ってどんなものがある?

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「子どもにかかる費用」と聞いて、どんなものを思い浮かべますか?

やっぱり教育費がかかりそう……と思う人が多いでしょうが、子育て費用はそればかりではありません。毎日の食費も、子どもが一人生まれたことで、夫婦二人のときよりは増えるのです。

七五三などの行事に関するものや、子どもにあげるおこづかい、子連れで出かけるレジャー・旅行の費用など、子どもが生まれたことで必要になる費用はたくさんあります。

教育費のほかに、ざっと挙げただけでも、

・食費
・衣類・服飾雑貨費
・生活用品費
・医療費
・保育費
・子どもの携帯電話料金
・おこづかい
・お祝い行事関係費
・レジャー・旅行費
・子どものための預貯金・保険

などが考えられるでしょう。

1年間に100万円くらいはかかる

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内閣府の「インターネットによる子育て費用に関する調査」(平成21年度)によると、子ども一人あたりにかかる年間の費用は次のようになっています。

・未就園児:約84万円
・保育園・幼稚園児:約122万円
・小学生:約115万円
・中学生:約156万円

時期によって差はありますが、年間100万円程度はかかるのが平均だということがわかります。

あくまで平均ですから、個人差はありますし、こちらは幼児教育無償化などの制度がない頃のデータのため、今は少し違っているかもしれません。しかし、子どもがいることで、相応の出費が長期に渡ってあることは間違いないと言えます。

内訳は?

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費用の内訳を見てみましょう。

大きく、教育費にあたるもの(通園・通学、習い事の費用も含む)と、生活費、その他の費用で分けて考えると、やはり入園後は教育費の割合が多数を占めるようになります。

園児から小学生になった段階で、いったん割合が下がるのですが、中学生になるとグンと上がり、全体の3分の1以上が教育費になります。

小学生から中学生になるとき、生活費は2割程度の増加なのに対して、教育費は8割近く増えているのです。

12歳までにいくらかかるんだろう

妊娠・出産ステージ

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子ども年齢(ステージ)によって、かかる費用には違いがあることがわかりました。順を追って、ステージごとにどんな費用がかかるのか、特徴を見ていきましょう。

そこで、まず忘れてはならないのは、生まれる前から、子どもの費用はかかりはじめるという点です。

財団法人こども未来財団の「子育てコストに関する調査研究」によると、妊娠・出産に関連して、平均約50万4,000円の費用がかかっているといいます。

妊娠・出産の費用には、分娩・入院にかかる医療費に加えて、定期健診の費用やそのための交通費、妊娠期間中の妊婦用品、衣料品、運動や学習の費用、家事サポートの費用、里帰り出産する場合の費用などがあります。

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未就園児ステージ

生まれてから幼稚園に入るまでの未就園児は、平均すると一人あたり年間約84万円の費用がかかります(内閣府「インターネットによる子育て費用に関する調査」から。以下も同じ)。

この時期は、おむつなど消耗品の消費が多く、さまざまなベビー用品を中心とした生活用品費の支出割合が高くなっています。0歳は出産祝い(内祝い、宮参り等)に関する支出があるため、「お祝い行事関係費」の割合も高いです。

また、子どもが生まれてお金を貯め始めたり、保険に加入する家庭も多く、「子どものための預貯金・保険」の支出割合が高いのも特徴です。

保育園・幼稚園ステージ

保育所・幼稚園児になると、平均子育て費用は一人あたり年間約122万円

もっとも多くを占める支出は「保育費」で、次いで「食費」、「子どものための預貯金・保険」という順で支出割合が多くなっています。

保育費は全年齢を通じてこの時期にいちばんかかる費用です。特に3~4歳は「保育所・幼稚園等の入園初期費用」と「保育所・幼稚園等の入園準備費」の支出額が多くなっています。

ただし、現在は幼児教育無償化の制度があるため、この統計の調査時点よりは負担が軽減されていると思われます。

小学生ステージ

小学生は一人あたり約115万円が平均となり、保育所・幼稚園児よりも費用が下がって、やや負担が軽くなる時期と言えます。「学校教育費」がかかるようになりますが、未就学児の「保育費」に比べるとまだ支出額は少ないのです。

支出のトップ3は、「食費」「レジャー・旅行費」「 子どものための預貯金・保険」。

食費はこの後も年齢が上がるに連れて増加していく傾向がありますが、教育費がさらに増大していくため、割合としては安定しています。

私立の学校を選ぶ選ばないでどうかわる?

教育費は私立に行くか、公立に行くかで大きく変わります

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中学校以降は、教育費が支出の中心になっていきます。教育費には学校に支払う学校教育費のほか、塾や習い事、スポーツ活動などの学校外活動費、給食費なども含んで考えます。

教育費は、公立と私立で大きな差があるため、子どもの進路によってかかる費用は異なってくると言えます。ここからは、進路別に費用を見ていきましょう。

※高校までの教育費については、文部科学省の「平成30年度子どもの学習費調査」をもとにしました。
※大学の費用(医歯系除く)については、日本政策金融公庫「教育費に関する調査結果」2020年3月発表分をもとにしました。
※医歯系学部の費用については、文部科学省の「平成30年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」をもとにしました。
※高校までの生活費(養育費)については、内閣府「インターネットによる子育て費用に関する調査」(平成21年度)の各ステージの費用から、同調査における教育費を差し引いたものとしました。便宜上、高校生については、中学生と同じとしています。
※大学生の生活費については、日本学生支援機構「平成30年度学生生活調査結果」をもとにしました。

ずっと国公立タイプ

すべて国公立に進んだ場合を考えてみましょう。この進路が、もっとも費用がかかりません。大学の費用も、国公立は学部の差があまりないので、ここでは、医歯系学部に進んで6年間通う場合のみ別に考えます。なお、大学時代の生活費は、自宅から通学する場合を想定しています(以下同じ)。

●中学~高校の教育費(公立)+国公立大学(医歯系以外の学部)の費用+10年間の生活費
総額:2,054万721円


●中学~高校の教育費(公立)+国公立大学(医歯系学部)の費用+12年間の生活費
総額:2,610万8,721円

大学から私立タイプ

高校までは公立に通い、大学のみ私立へ進学するパターンです。私立大学は文系・理系で学費に差が出てくるので、それを加味して考えます。

●中学~高校の教育費(公立)+私立大学(文系学部)の費用+10年間の生活費
総額:2,271万6,721円

●中学~高校の教育費(公立)+私立大学(理系学部)の費用+10年間の生活費
総額:2,376万3,721円

●中学~高校の教育費(公立)+私立大学(医歯系学部)の費用+12年間の生活費
総額:4,254万3,670円

高校から私立タイプ

中学までは公立ですが、高校から私立に進んだ場合です。

●中学(公立)~高校(私立)の教育費+私立大学(文系学部)の費用+10年間の生活費
総額:2,425万4,314円

●中学(公立)~高校(私立)の教育費+私立大学(理系学部)の費用+10年間の生活費
総額:2,530万1,314円

●中学(公立)~高校(私立)の教育費+私立大学(医歯系学部)の費用+12年間の生活費
総額:4,408万1,263円

中学から私立タイプ

中学から私立に進んだ場合です。このパターンが中学以降の費用がもっとも高くなります。

●中学~高校(私立)の教育費+私立大学(文系学部)の費用+10年間の生活費
総額:2,700万8,422円

●中学~高校(私立)の教育費+私立大学(理系学部)の費用+10年間の生活費
総額:2,805万5,422円

●中学~高校(私立)の教育費+私立大学(医歯系学部)の費用+12年間の生活費
総額:4,683万5,371円

ずっと私立タイプ

公立と私立で、かなりの幅があることがわかると思います。東京都では4人に1人が私立中学に進学すると言われていますが、ここで、もしも小学校から私立に通ったらどうなるか考えてみましょう。

公立小学校の教育費と6年間の生活費を合計すると、6年間で総額701万1,036円。
これが私立小学校ですと、6年間で総額1,467万5,496円に。そのため、大学までの総額は次のようになります。

●小学校~高校(私立)の教育費+私立大学(文系学部)の費用+16年間の生活費
総額:4,168万3,918円

●小学校~高校(私立)の教育費+私立大学(理系学部)の費用+16年間の生活費
総額:4,273万918円

●小学校~高校(私立)の教育費+私立大学(医歯系学部)の費用+18年間の生活費
総額:6,151万867円

大学で一人暮らしをするならプラスで…

以上の費用は、自宅から大学に通った場合で考えています。日本学生支援機構「平成30年度学生生活調査結果」によると、自宅生の生活費は、年間171万4,000円。親元を離れて生活している学生の場合は年間222万1,000円が平均です。

その差は50万7,000円ですから、自宅外から通学する場合、4年間で202万8,000円(6年間では304万2,000円)がプラスアルファでかかると考えられます。

実は全額を払わなくてもいいんです

自治体や国の補助、児童手当がある!

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莫大な金額に驚いた人も多いのではないでしょうか。しかし、子育て費用については、国や自治体から補助や助成が受けられることもあります。

代表的なものが児童手当です。3歳未満は月額1万5,000円、3歳以降は月額1万円が支給されます(子どもの数によって異なる場合があります)。生まれてから中学まで、もらえる児童手当をすべて貯めれば総額は約200万円になります。

ほかにも、ひとり親家庭であるなどの条件に応じて受けられる助成制度や、民間企業や教育機関が給付型の奨学金(返還しなくてよいもの)を実施していることもあります。

また、妊娠・出産にあたっては、公的保険から、出産一時金として原則50万円が受け取れることも覚えておきましょう。

我が家の子育てにかかる費用を計算してみよう

ハナコさんの場合

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例として、ひとつの家族の場合で、考えてみましょう。

ハナコさんの家では、今年、初めての子どもが生まれます。どんな進路を進むかはわかりませんが、仮に、3歳から認可保育園に入り、その後は公立の小学校・中学校へ。高校から私立に進み、大学は私立文系に入学して自宅から通うとしておきましょう。

いくらのお金がかかるのでしょうか。

・生まれてから小学校に入るまで
妊娠・出産費用:約50万円
子育て費用※:84万円×6年間=252万円
※幼児教育無償化のため保育費用は考慮していません

・小学校時代
子育て費用(教育費含む):115万円×6年間=690万円

・中学~大学
子育て費用(教育費含む):約2,400万円(10年間)

支出総額:3,392万円

・もらえるお金
児童手当:約200万円
出産一時金:原則50万円

差し引き:3,150万円


ざっくり3,000万円程度が、貯蓄や保険などで用意すべき額となります。高額に思えますが、一度に3,000万円出すわけではないのです。

生活費などは普段の家計から出ていくものですので、22年間に渡って少しずつ必要なお金という意味になります。

困ったらFPに相談してみよう

ここまで紹介してきたのは、あくまでも統計にもとづいた平均的なお金です。そのため、参考にはしていただけますが、できれば、ご自身の家庭の場合はどうなのか、というプランを立ててもらいたいと思います。

それぞれの収入や支出、税金、現在持っている資産なども加味して考えれば、より細かい計画を立てられます。そんなの難しい……という場合は、ファイナンシャルプランナー(FP)に相談されてはいかがでしょうか。

前の項目でハナコさんの家の例で考えたような

まとめ

教育費を含め、子育てにはどれくらいのお金がかかるのか、統計を参考にシミュレーションをしてみました。総額ではかなり大きなお金になり、進路によってかなりの幅が出てしまいます。

「これだけのお金、出せるかな?」「自分の家の場合はどうなんだろう?」と思った人も多いのではないでしょうか。

そういう方はぜひ、FPに相談をして、自分の家のシミュレーションを作成してもらうことをおすすめします。子育て費用捻出の第一歩は、まず「わが家の場合はいくらかかる?」を知ることです。シミュレーションをもとに、ムリのない資金計画を立てていきましょう。(執筆:ファイナンシャルプランナーリキオ)

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