【1】出産育児一時金てなに? いくら支払われるの? 申請はどこに?

【1-1】出産育児一時金は

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出産育児一時金は健康保険の加入者とその被扶養者を対象に、出産費用の負担を軽くする目的で支払われています。

出産は一般的には、病気とみなされないため、健康保険が使えず、すべての費用が自費となります。しかし、出産費用は出産する人やその家族にとって、大きな負担となるため、健康保険組合から出産育児一時金ということで、負担を軽減するための費用が支払われるのです。

【1-2】出産育児一時金の申請と支給額は?

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出産育児一時金の申請は、本人か、出産した人を扶養している人の健康保険組合にしましょう。当然、赤ちゃんが生まれれば扶養家族としての申請や、新しい家族の健康保険証の請求などもありますので、どのような手続きが必要になるのか、保険組合の担当者に問い合わせてみましょう。

また、出産育児一時金の支給額は平成18年度から徐々に金額が上昇しています。

この金額は国立病院の平均出産費用などをもとに算出されており、平成18年度の10月に30万円から35万円に増額されました。平成21年には産科医療補償制度の導入に伴って、さらに3万円が増額され、その年の10月には全国的な病院出張所の平均出産費用を参考に42万円となりました。令和5年4月には50万円まで引き上げられています。

この10年ほどでかなりの増額となっていますので、「最初の子どもの時と違う!」という方も多いかもしれません。

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【1-3】出産育児一時金はどんな場合に支払われるの?

出産育児一時金は健康保険に加入している人や加入している人の被扶養者が対象で、妊娠4カ月以上の出産に対して支払われます。

通常の出産はもちろんのこと、残念なことではありますが、対象期間内の流産や死産に対しても支払われることになっています。

【1-4】出産育児一時金は誰にいくら払われるの?

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出産育児一時金は、子ども一人につき50万円が支払われることになっています。当然、双子の方は
2倍、三つ子の方は3倍が支払われます。

多胎の方の場合は、申請書が違ったりすることもあるので、出産育児一時金を請求する保険組合に確認しておくと良いでしょう。

【1-5】出産育児一時金の直接支払制度とは。

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出産育児一時金は、基本的には出産後、健康保険組合に申請するともらえる仕組みになっています。しかし、その場合、出産した人や家族が一時的に分娩費用を立て替えなければならないので、経済的には大きな負担となります。

その負担を軽減するのが、出産育児一時金の直接支払制度です。この制度は、出産育児一時金の請求と受け取りを出産を行った施設が産婦に代わって行うものです。

この制度を利用できるかどうかは、分娩施設が決めることになっています。分娩施設がその制度を行っている場合でも、申し込みが必要となりますので、希望する場合は出産する病院で尋ねてみてください。

また、出産育児一時金の額を分娩費用が超過した場合は、その差額を病院の窓口で支払うことになりますので、あらかじめ、その額を知らせてもらっておくと安心です。

【1-6】出産育児一時金と産科医療補償制度

出産育児一時金の中に掛け金が含まれる、とされている産科医療補償制度とはどのようなものでしょうか。

日本の医療技術は世界でもトップクラスにありますが、産科医療の過失の有無を巡る裁判の多さや出産がいつ始まるかわからないことから医師や助産師の労働環境が苛酷になりやすいこと、また、出産の件数自体が少なくなっていることから、出産を取り扱う施設が減る一方になっています。こうした中、医療者と妊産婦双方の不安を軽減する制度として発足したのが、産科医療補償制度です。

この制度は、出産に関連した原因で脳性麻痺になった子どもと保護者を対象に、総額3千万円に及ぶ補償を行う制度です。補償の内容は、看護介護の基盤を築くための準備一時金と看護介護費用として子どもが19歳になるまで毎年支払われる保障分割金に分かれています。

この補償を受けるためには、補償対象のの基準が細かく設けられています。在胎週数や出生体重、先天性や新生児期等の要因によらない脳性麻痺であること、身体障害者手帳1・2級相当の脳性麻痺であること、などが定められています。

平成27年度現在、全国で99.9%の医療機関がこの制度に加入していますが、まれに加入していない医療機関がありますので、受診の際に確認してみてはいかがでしょうか。

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【2】出産育児一時金、こんな場合はどうする?

【2-1】出産育児一時金と出産費用に差額が出た場合

出産育児一時金が分娩施設でかかった出産費用よりも多く、直接支払制度を利用した場合は、出産後に、健康保険組合に請求すると、その差額を受け取ることができます。

逆に、出産育児一時金が分娩施設でかかった出産費用よりも少ない場合は、足りなかった金額を分娩施設の窓口で支払うことになります。この費用は、保険は適用されませんが、年末の医療控除などには使えますので、領収書も必ず取っておきましょう。

【2-2】出産育児一時金の直接支払制度を利用しなかった場合の裏技とは。

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出産育児一時金の直接支払制度はを分娩施設が導入していない場合や、海外での出産などの場合は、出産後に健康保険組合に請求することになります。

最近、大きな医療施設では、クレジットカードによる医療費の決済が可能な病院があります。出産費用は大きな額になりますので、出産育児一時金の直接支払制度を使わず、クレジットカード決済を行えば、クレジットカードのポイントやマイルがたまりますし、支払いもクレジットカード決済日まで猶予ができることになります。

この場合、クレジットカードの限度額を超えてしまうことがありますので、その点は注意するようにしましょう。

出産育児一時金、制度を上手に使って

出産育児一時金の基礎知識、いかがだったでしょうか。申請や手続きなどが多く、面倒くさい印象を受けるかもしれませんが、何かと物入りになる出産前後の大事な制度です。うっかりすると、一時金の支払いが遅れたりすることもありますので、疑問な点は小さなことでも各保険組合の担当者にきくようにしましょう。

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