出産入院費用って?

相場はどのくらい?

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出産入院費用とは、出産時にかかる分娩費や産後の入院にかかる費用のことです。分娩方法だけでなく、分娩施設や入院する部屋のタイプ、地域などで金額は変わります。

国民健康保険中央会が公開している資料によると、平成28年度の正常分娩における出産入院費用の全国平均は、505,759円 です。地域別で見ると東京都が最も高く、平均で621,814円となっています。相場は50万円前後となります。

分娩施設のタイプ別にみると、平均費用が1番高いのは病院、続いて診療所(クリニック)、助産所の順になっています。あくまでも、平均値ですので、詳細は出産予定の施設に問い合わせてみてくださいね。

出産時の入院費用の内訳は?

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入院料

入院料は診察、看護、寝具、食事の値段など、入院している間にかかる一般的な費用になります。

体調や分娩状況によって変わりますが、出産での入院は約6日になります。入院日数が長くなるほど、入院費用も高くなる計算になります。

国民健康保険中央会の資料によると、平成28年度の正常分娩における入院料の全国平均は、112,726円となっています。

入院料は、看護師さんの配置人数や病棟の種類によっても違いますし、特定機能病院などの病棟かどうかでも異なります。

また、地域によって医療機関運営の経費が異なることから、加算点数が違っており、都市部になればなるほど加算される傾向になっています。

食事療養費

医療機関で出される食事の料金で、入院費用に含まれることが多いです。以前は1日単位での換算になっていましたが、現在では1食当たりの負担額が決められています。

室料差額

個室や2人部屋などに入院した場合に発生する、大部屋室料との差額です。

大部屋を希望していても、空きがない場合は個室になることもあります。また、個室を希望していても空きがない場合もあります。いずれの場合も入院の際に希望をしっかりと伝えておくようにしておきましょう。

分娩料、分娩介助料

分娩料と分娩介助料は、分娩や分娩にかかわる母子への手当てを含む費用です。

分娩はもちろん、医師や助産師が分娩前に妊婦さんの様子を見たり、産後の赤ちゃんのお顔を拭いたり、へその緒を処理したりする、といった行為の費用になっています。

正常分娩の場合は分娩料、異常分娩では分娩介助料と記載された費用が発生します。(異常分娩:分娩にかかわる異常が発生し、鉗子、吸引、帝王切開等の産科手術又は処置等が行われた場合や、出産は正常でも、その後異常が発生した場合)

手術料

帝王切開などの手術を受けた場合にかかる費用になります。手術する部位、方法、使われる医療器材の種類などによっても異なります。

手術は保険適用される場合が多く、その場合は負担額に応じた請求になります。

新生児管理保育料

新生児管理保育料は、生まれた赤ちゃんの健康管理や保育に関する費用になります。

黄疸治療など、この新生児管理保育料とは別に治療費がある場合には、保険証を取得した時点で申請すると保険分が返還されます。

検査・薬剤料

検査や投薬に関する請求です。出産直前直後は、超音波で赤ちゃんの様子を調べる検査や、陣痛がどういった間隔で起こっているかを調べる検査など多くの検査が行われます。

また、感染予防の抗生物質が投与されることなどもありますので、そうした薬剤にかかわる金額もこちらに入ってきます。

処置・手当料

出産前後の処置全般を含む料金です。出産後の子宮の出血止血や乳房指導管理料、骨盤のケア、悪露の交換などさまざまな処置がこの中に入ってきます。

産科医療補償制度掛金

こちらは出産時のトラブルによって、赤ちゃんに重度の脳性まひが残った場合に、赤ちゃんと家族を支えるための補償制度の掛け金です。

産科医療補償制度に加入している医療機関での出産が対象になりますが、今はほぼ100%に近い医療機関が加入しています。

*2022年1月1日以降に出生した場合、補償対象基準が異なります。

出産時の入院費用の支払いついて

出産の入院費用は保険が適用される?出産育児一時金とは

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正常分娩による出産の入院費用は、自費となります。出産は病気ではないので、健康保険は使えないようになっています。

しかし、出産費用の一部を出産育児一時金として、健康保険組合から受け取ることが可能です。

受け取れる人

健康保険の加入者、または健康保険の扶養者で、妊娠4ヶ月(85日)以上で出産した人。

受け取れる金額

出産育児一時金は赤ちゃん1人につき42万円(産科医療補償制度に加入していない医療機関での平成27年1月1日以降の出産は40.4万円)が支給されます。

双子の場合は84万円。多胎児を出産した際は、胎児数分の金額を受け取れます。

直接支払制度を利用する方法

直接支払制度とは、健康保険組合から医療機関へ、出産育児一時金を直接支払う制度のこと。

以前は、出産費用を自分で立て替え払いし、その後健康保険組合から出産育児一時金を受け取る仕組みとなっていました。

しかし、出産費用の立て替えは高額で出産前後の大きな負担となるため、この制度が取り入れられました。

出産入院費用の総額が、出産育児一時金の42万円を超えた場合は、差額を医療機関の窓口で支払います。

この制度は、あらかじめ届け出を出している医療機関で使える方法です。利用したい場合は、申請時期や書類などを含め、出産予定の医療機関へ確認してみましょう。

後から健康保険組合に請求する方法

自分で出産費用を支払い、後から健康保険組合に請求する場合は、出産後に出産育児一時金請求書に必要書類を添えて、健康保険組合に申請します。

申請先は、加入している健康保険組合の窓口や、国民健康保険の加入者は自治体の窓口など、健康保険組合の種類によっても異なるので、まずは問い合わせてみましょう。

高額医療費、医療費控除の申請はできる?医療保険は?

医療費控除は使える?対象となるものは?

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妊婦健診の費用や出産の入院費用、及びそれに伴う交通費などは、医療費控除の対象となります

ただし、出産育児一時金の額を差し引いた分が対象となります。

入院中の医療機関で出された食事の費用は医療費に含まれますが、持ち込んだ食品の代金などは医療費控除の対象外です。

また、入院準備のためのパジャマや洗面用品を含む、身の回り品の購入費用も医療費控除の対象外です。

高額医療費に関して

妊娠・出産に関しても、妊娠出産の経過に陣痛促進剤の使用、吸引・鉗子分娩、帝王切開などのトラブルがあり、保険適用となる医療費が高額になる場合は、高額療養費制度を利用できる場合があります

収入によって1ヶ月に決められた自己負担限度額以上の医療費がかかった場合は、超えた金額を高額療養費制度でまかなってもらうことができます。

あらかじめ、高額療養費の規定額を超えることが分かっている場合には、事前に申請することで、医療機関での支払いも規定額までにすることができます。

自分の健康保険組合の担当窓口(国民保険の場合は役所の担当部署)に申請すると、「限度額適用認定書」が発行されます。こちらを入院費用の精算時に病院窓口で提示すると、規定額以内の支払いになります。

医療保険は使える?

民間の医療保険は、加入している保険の種類によって規定が異なるので、保障内容は保険会社へ問い合わせてみるのがおすすめです。

出産時の帝王切開など、普通分娩以外の入院費用を負担してくれる保険もあります。

また、妊娠してからの医療保険加入は認められないか、認められても妊娠を理由とした事例は除外されることが多いので、事前に確認しておきましょう。

最近では、普通分娩の入院費用を規定日数以内で負担してくれる保険もあるようなので、妊娠を計画されている方はチェックしてみてくださいね。

出産時の入院費用は診療時間外だと高い?

土日祝日、深夜・早朝は加算されることも

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医療機関によっても異なりますが、土日祝日、深夜・早朝の分娩など、診療時間外の加算料金を取られる場合も多いようです。

自然分娩だったのに高額!という場合は、こうした料金が入っている可能性もあるので、事前に病院に問い合わせてみましょう。

また、入院費用は24時間単位ではなく、入院した日付で1日分ずつ加算されます。極端な例ですが、23時50分に入院しても、翌0時までの10分で1日分加算、ということもあるようです。

出産時の入院費用はいつ払う?前払い金が必要?入院費用は分割できる?

入院予約時に予約金が必要な医療機関も

分娩を取り扱う医療機関の中には、入院予約時に予約金が必要な場合もあります。その額は1万~3万円程度から30万~40万円というところも。

多くの医療機関は、出産にかかわる出産入院費用の中から、この予約金を差し引いた金額を、退院時に請求する形になっているので、この予約金が返金されることは少ないです。

出産費用の分割は個別相談かクレジットカード利用を

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出産費用は高額になることも多いので、支払いを分割にしたい、という方もいらっしゃるでしょう。

もし、クレジットカード払いが可能な医療機関でしたら、クレジットカードの支払いを分割にすることで、入院費用を分割支払いすることができます。

クレジットカードが利用できない場合は、病院の窓口で個別に相談してみましょう。

どうしても出産費用が足りないという場合には、自治体や健康保険組合が出産費用を一時的に貸し付けする制度(出産費貸付制度)が使えることもあるので、お住いの地方自治体や健康保険組合の窓口に相談してみると良いでしょう。

まとめ

いかがでしたか?赤ちゃんが生まれるのは楽しみなことですが、正直出産前後にかかる費用も気になりますね。

なんとなく…ではなく、具体的な計画を立て、受けられる助成や制度は上手に利用して、安心して出産を迎えたいですね。

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