目次
急性中耳炎とは|流行時期・年齢・気付くきっかけなど
急性中耳炎とは
中耳炎の中でも「急性中耳炎」とは初期の段階の中耳炎のことをいいます。
耳は、耳管というもので鼻とつながっています。耳管は普段閉じていますが、咳やくしゃみをしたり食べ物を食べたりすると開きます。そうすることで、耳管は気圧の調節・細菌やウイルスの排出・中耳の換気といったことをしています。
その耳管が、鼻からの細菌やウイルスによって炎症を起こすことで、急性中耳炎になります。
流行する時期
中耳炎は風邪との関連性があるので、風邪が流行する時期と重なることがあります。冬は空気が乾燥し、細菌やウイルスが活発に活動しやすくなります。そのため、風邪やインフルエンザが流行するのです。
したがって、季節の変わり目の寒暖差が激しい時期や冬は、風邪にもかかりやすいですが、急性中耳炎にもなりやすい季節と言えます。
かかりやすい年齢
急性中耳炎は、乳幼児などの子どもがかかりやすいと言われています。大人も急性中耳炎になりますが、子どもに比べると少なくなります。
赤ちゃんや子どもの耳管は、大人に比べて傾きがなく短いので、鼻を通じて細菌やウイルスが入ってきやすいことがその原因と考えられます。
中耳炎に気付くきっかけ

赤ちゃんは痛みや違和感を言葉で伝えることができません。そのため、赤ちゃんのちょっとしたしぐさなどで急性中耳炎を疑う必要があります。
・風邪を引いた時
急性中耳炎は、鼻水に混じった細菌やウイルスによって中耳に炎症を起こす可能性が高いので、緑や黄色っぽい鼻水が出ている時は要注意です。透明の鼻水より、緑や黄色っぽい鼻水の方が、細菌やウイルスが混ざっている可能性がより高いからです。
・赤ちゃんのしぐさ
赤ちゃんは痛みなどを伝えることができないので、知らないうちに違和感のある耳を触ったり引っ張ったりする傾向にあります。赤ちゃんが頭や首を左右に振ったり、耳を触ったり、気にする様子があるのもこれと同じです。
また、ぐずりが長引いたり夜泣きがひどい場合も、急性中耳炎の可能性があります。ただ、これらは他の病気が原因となっている場合もあるので、鼻水があるか耳を触ったりしているかなども見てみるといいかもしれません。
・熱が3日以上続いている
風邪を引いて病院に行ったのにも関わらず3日以上熱が下がらないという場合は、急性中耳炎の疑いもあるので、医師に相談してみてください。
・耳だれが出てきた
耳だれとは、耳の周りに黄色い液体のようなものがつくことです。耳の周りについていることもあれば、シーツについていることもあるので、よく観察してみてください。耳だれが出ているということは、急性中耳炎である可能性がかなり高いので、すぐに病院に連れて行きましょう。
急性中耳炎|発熱などの症状、鼓膜の状態は?
耳の痛み
急性中耳炎による耳の痛みは、耳管に細菌などが入って炎症が起こることで発症します。
何かを飲み込んだり咳をすることで、耳管が開いたり閉じたりするので、その結果、炎症した箇所に圧力がかかります。そのため耳に痛みが出るのです。
急性中耳炎の痛みは1~3日ほどですが、体の血行がよくなるとより痛くなる傾向にあります。
発熱
急性中耳炎によって熱が出た場合、そのほとんどが2、3日でおさまります。高熱に加えて微熱が長く続く場合もあるので、赤ちゃんの場合は熱のチェックもしておいた方がよいでしょう。
急性中耳炎でも、熱であれば人に感染することもないので、医師の指導のもとゆっくり休ませてあげてください。
鼓膜の状態
中耳には鼓膜があります。その鼓膜が炎症を起こし腫れることを中耳炎というので、急性中耳炎になった場合、鼓膜の状態によって治療方法が変わってきます。
症状がまだ軽い場合は、鼓膜が赤く腫れます。その後、鼓膜の奥で膿がたまり始め鼓膜がどんどん腫れ始めます。
症状が悪化すると、鼓膜が破れて鼓膜の奥にたまっていた膿が流れ出します。それが耳だれです。鼓膜は破れたとしても治療すれば自然と元通りになりますので心配はいりません。
赤ちゃんだと気づきにくく、また、連休中に中耳炎になってしまった場合などにはどうしても対処できない場合がありますが、鼓膜の破裂を避けるためにも早めに病院に行くことをおすすめします。
鼓膜を切開する場合
鼓膜を切開して治療をおこなう場合がありますが、それは症状がかなり悪化している場合がほとんどです。耳だれが出ていて、鼓膜が膿でふくらんでいたりすると鼓膜切開する場合があります。
鼓膜切開をすることで、膿の痛みが減り、夜眠れるようになったという話がよくあります。しかし、かなり症状が悪化しない限り、薬による治療を行うことが多いです。
急性中耳炎の原因
予防接種が大切

急性中耳炎の原因菌は、肺炎球菌・黄色ブドウ球菌・インフルエンザ菌などです。3歳未満の赤ちゃんがかかる中耳炎の原因菌のほとんどが、肺炎球菌と言われています。
肺炎球菌と聞いて気づく方もいると思いますが、赤ちゃんは生後2ヶ月から予防接種が始まります。その時に打つ予防接種が、肺炎球菌とヒブワクチンです。
これらの予防接種は細菌性髄膜炎や敗血症を予防するためですが、肺炎球菌の予防接種をすることで、急性中耳炎も予防することができるということになります。
欧米では、この予防接種で急性中耳炎にかかる赤ちゃんが減った、という報告もあります。生後2ヶ月を経過したら、できるだけ早く予防接種を受けさせましょう。
急性中耳炎の治療法
通院の頻度
完治するまでに2~3週間かかるので、少なくともその程度の期間、通院が必要です。また、中耳炎の状態にもよるので、それよりも長くかかる場合もあります。
毎日通院する必要はありませんが、急性中耳炎のなり初めや鼓膜切開をした後などは、耳管、鼻やのどを清潔に保つ必要があるので、頻回通院してくださいと言われる場合があります。
急性中耳炎は完全に治す必要があるので、自己判断で通院するのをやめるのではなく、必ず医師の指導にしたがってください。
完治しないままだと症状が悪化し、慢性中耳炎になったり滲出性中耳炎になったりするので、注意が必要です。
こんな時どうする?夜泣き、外出、飛行機
外出の予定がある場合
どうしても外出しないといけない場合は、赤ちゃん用の座薬タイプの解熱鎮痛剤を使っても良いでしょう。体が温まると痛みが出やすくなるので、冷たいおしぼりやタオルで巻いた保冷剤などで冷やしてください。ただし、自己判断での投薬は避け、できるだけ早く病院に連れて行きましょう。
ホームケアでできること
急性中耳炎は、赤ちゃんや子どもがなりやすい病気なので、毎日のケアで予防していきましょう。一番大切なことは風邪を引かせないということです。
万が一風邪を引いた場合は、鼻水吸引器などで鼻水をこまめにとりましょう。耳だれが出てしまっている場合は、きれいに拭き取って清潔に保ってください。気になる症状があったら、症状がひどくなる前に病院に行くことが大切です。
専門機関へのご相談はこちら
※夜間休日、お子さまの健康状態に心配なことがある場合や受診の目安に迷った場合は子ども医療電話相談♯8000に相談をおすすめします。
厚生労働省・子ども医療電話相談事業
https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/10/tp1010-3.html
まとめ
言葉を話せない赤ちゃんの病気は、ママパパなど周りの大人が何らかの変化を察知してあげることが、とても大切です。
赤ちゃんが耳をよく触る、頭を振っているなど、なんらか変わった様子があったり、高熱が下がらない、鼻水の色が変わっている、などの症状があったら、医師に相談してみてください。
くれぐれも自己判断はしないようにしてくださいね。早めに診察を受けて、症状を悪化させないようにしましょう。
(文章作成:nobii)
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