膀胱炎とは
症状

膀胱炎とは、菌などが膀胱に入り膀胱の粘膜が炎症を起こすことです。膀胱炎には、急性膀胱炎のほかに、慢性膀胱炎や出血性膀胱炎、間質性膀胱炎などがあります。
一般的に、膀胱炎というと急性膀胱炎のことを指します。急性膀胱炎になると、以下のような症状があらわれます。
・残尿感や頻尿
トイレを済ませたのに尿が残っているような、すっきりしない感じがします。またトイレの回数も増え、数分おきにトイレに行きたくなることもあります。
・排尿痛や腹痛、お腹の張り
トイレが終わるころに、ひりひりした焼けるような痛みやツーンとしみるような痛み、じんじんとしたうずくような痛みなどを感じます。痛みを感じる場所は尿がでるところ(尿道口)やお腹の下の方(膀胱)です。お腹の張りを感じることもあります。
・尿が濁る
尿が白く濁ったり、膿が混ざったりすることがあります。膿が混ざると、尿がどろっとした感じになります。なお、尿が濁ると匂いが強くなることが多いと言われています。
・血尿
血が混ざった尿が出たり、ピンク色(薄いものから濃いものまで)の尿が出たりします。また、色はいつも通りであっても、検査の結果、尿に血が混ざっているとわかることもあります。
なお、生理予定日とは違う時期に血尿がみられると不正出血を疑ったり、排卵日前後に血尿がでると排卵出血かな?と思ったりすることがあります。もちろんそうした可能性もありますが、膀胱炎が原因となっていることもあります。
原因
特に女性がかかりやすいと言われている膀胱炎ですが、それは女性の身体のつくりや生活習慣が関係しています。
女性は尿道口が膣や肛門に近い場所にあるため、不衛生な性交渉をしたり、生理用品をこまめに交換できなかったりした場合などに、菌が尿道口に入ってしまうことがあります。排便後の拭き方によっても菌が入ってしまうことがあります。
このように、尿道口から菌などが入りやすいのですが、女性の尿道は約4cmしかないため、膣や肛門から入ってきた菌が膀胱に入りやすく、膀胱炎になりやすいというわけです。
また、「なんとなくトイレに行きづらい」「何度もトイレに行くのは恥ずかしい」などの理由から、女性はトイレを我慢する傾向があります。トイレを我慢していると、膀胱の中で菌が繁殖し、膀胱炎にかかりやすくなってしまいます。
その他、ダイエットによる栄養不足や身体の冷えで免疫力が落ちたり、更年期におけるホルモンバランスの変化で膀胱粘膜が薄くなったりすることでも、膀胱炎になりやすくなります。
さらに、女性特有の膀胱炎になる原因として、“妊娠”があります。なぜ妊娠すると膀胱炎になりやすいのでしょうか?詳しく説明していきます。
なぜ妊娠中に膀胱炎になりやすいの?
免疫力低下と子宮増大による圧迫

膀胱炎は、妊娠期にかかわらず妊娠中にかかりやすい病気です。その原因は、妊娠中は免疫力が低下していることと子宮増大による膀胱への圧迫です。
免疫力の低下は、赤ちゃんを異物とみなして攻撃しないために大切なことですが、その分菌などにも感染しやすくなっています。そのため、尿道口から入ってきた菌によって膀胱炎にかかりやすくなるのです。
また、大きくなった子宮によって膀胱が圧迫されると、尿を出し切ることが難しくなります。そうなるとやはり膀胱の中で菌が繁殖してしまい、膀胱炎になりやすくなります。
個人差はありますが、妊娠中は頻尿になったり残尿感があったりします。トイレを我慢してしまうことも膀胱炎につながります。
トイレが近くて苦痛
tombgさんからの体験談:
とくにトイレが近くなりました!胎動が激しくなっている分膀胱も刺激していたようで、散歩がてらスーパーに行って帰ってくるだけのたった30分のトイレが我慢できなくて途中のコンビニでトイレを借りるなんてことは結構よくありました。
夜も残尿感がすごくてなかなか寝付けず、1~2時間に1回は必ず尿意を感じて目を覚ましていました。しまいには、膀胱炎にもなっていたようでトイレをする時にツーンとした感じの痛みも感じるようになり、トイレが苦痛でした。あわせて便秘にも悩まされていました。
治療は?薬は使えるの?
妊娠中は早めに病院で診察を!

膀胱炎になったら、水をたくさん飲んでこまめにトイレに行けば大丈夫、と考えるかもしれません。ただ、妊娠中は免疫力が低下していますので、自然治癒を待っている間に腎盂腎炎に悪化してしまう可能性があり、注意が必要です。
膀胱炎の症状に気づいたら、すぐにかかりつけの産婦人科で相談しましょう。その際には、「いつから、どんな症状が出ているのか」を伝えると診察がスムーズにすすみます。
妊娠中の場合には、セフェム系という種類の抗生物質を処方されることが多いです。胎児に対する安全性は高いですが、下痢やカンジダ腟炎などの副反応やアレルギー症状が出てしまうこともあるため、主治医とよく相談しましょう。
なお、場合によっては抗生物質の他に漢方薬や塗り薬が処方されることもあります。いずれも妊娠中でも安心して使えるお薬ですので、症状が軽くなったと思っても完治するまでは服用を続けましょう。
自己判断で薬を服用しなかったり、服用途中でやめてしまったりすると、悪化や症状がぶりかえしてしまったりする危険性があります。
市販薬は使える?

病院が閉まっているときや病院へ行く時間がないときに症状が出た場合、使えると助かるのが市販薬ですよね。市販薬にも、膀胱炎に効くお薬がいくつか出ています。
菌の排出を促すだけのものもありますが、ボーコレンのように炎症も抑えてくれるお薬もあります。こうした市販薬の多くは漢方薬ですので身体への作用はゆるやかですが、やはりお薬ですので副作用はあります。
前述のボーコレンも公式HPで、妊娠中は服用を控えるようにとしています。妊娠中は安易に市販薬を服用せず、病院へ行くようにしましょう。すぐには病院に行けないときに症状が出てしまった場合は、
・水分補給を心がける(1日2リットル以上が目安です)
・トイレは我慢せずにこまめに行く
・おりものシートはこまめに交換する
・性交渉の前後にはシャワーを浴びる
・身体を冷やさないようにする
・睡眠をしっかりとる
・栄養バランスの良い食事を摂る
などを行いましょう。なお、これらの方法は膀胱炎の予防法でもありますので、普段から心がけておくと良いですよ。
赤ちゃんへの影響について
胎児への影響はある?

膀胱炎になっても、すぐに赤ちゃんに影響が出ることはありません。ただ、膀胱炎が長引いたり放置したりすると、腎盂腎炎になってしまうことがあります。
腎盂腎炎とは、菌が原因で腎臓が炎症を起こしている状態です。頻尿や血尿、尿の白濁といった膀胱炎のような症状の他、腰痛や発熱がみられるのが特徴です。
通常、膀胱炎は熱が出ませんので、発熱がみられたら腎盂腎炎に悪化している可能性があります。なお、熱は微熱が出たと思ったらいきなり高熱が出るなど、かなり変則的な出方をすることが多いようです。
また、排尿時の痛みも激痛となることがあります。こうした症状が出た場合も、まずはかかりつけの産婦人科に連絡しましょう。
腎盂腎炎は放置すると腎機能低下の原因にもなりますので、速やかな治療が必要ですが、腎盂腎炎そのものは赤ちゃんに影響を与えるものではありません。しかし、症状が悪化すると流産や早産の原因となってしまうこともあります。
流産との関係
腎盂腎炎は、菌が腎臓に入ったことで炎症が起きている状態です。この菌が子宮内にまで入って卵膜が感染すると子宮が収縮し、流産につながったり破水して早産になったりすることがあります。
繰り返しになりますが、妊娠中は免疫力が落ちていますので、あっという間に症状が悪化してしまうことがあります。膀胱炎になってもすぐに赤ちゃんに影響はでないからと軽く考えずに、膀胱炎のうちに治療してしまいましょうね。
まとめ
膀胱炎は多くの女性がかかりやすい病気です。妊娠する前にかかったことのある方もいらっしゃるでしょう。それだけに、妊娠中に膀胱炎になっても大したことはないと放置してしまうケースも少なくありません。
しかし、悪化してしまうと赤ちゃんにまで影響が出かねません。妊娠中のストレスを減らすという意味でも、症状に気づいたら早めに病院で診てもらい、しっかり治療して不快な症状はなくしてしまいましょうね。
(文書作成:米奉行)
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