流産の定義とは?
初期流産
妊娠12週未満での流産を、初期流産といいます。流産の80%は初期流産です。
この時期の流産は、ほとんどが赤ちゃんに原因があると考えられています。
後期流産
妊娠12週以降、22週未満の流産を後期流産といいます。初期流産に比べるとずっと数は少ないですが、一般的に「安定期」と呼ばれる時期でも流産する可能性があることは知っておいてください。
流産の主な原因は?
感染症
子宮は無菌ですが、腟にはたくさんの菌がいます。普段は自浄作用のある菌が腟を守ってくれているのですが、何らかの原因で悪い菌が子宮の中へ上がっていくことがあります。
子宮の中に感染を起こすと、体は自分を守るために、赤ちゃんを含めた子宮の中身を排出しようとして、流産に至ります。放置すると母体が敗血症といって危険な状態になることがありますので、しっかり治療をします。
頸管無力症
子宮の出口のことを頸管といいます。通常は、頸管は硬く閉じています。しかしまれに妊娠20週前後ごろになって、陣痛でもないのに子宮の出口が開いてきてしまう体質の人がいます。
これを頸管無力症といいますが、正確に診断するのは難しいです。例えば「前回妊娠19週で突然赤ちゃんがでてきてしまった」というような人が妊娠したら、妊娠13週頃に子宮の出口をテフロン製のかなり硬い糸でしばることがあります。
「冷え」はウソ
「子宮を冷やすと流産する」という説を唱える人がいますが、真っ赤なウソです。子宮は体の奥にある臓器で、温かい血液が流れる大きな血管も近くにありますし、冷えるなんてことはないのです。
子宮が冷えるくらいなら、隣り合っていて体の表面側にある膀胱なんてもっと簡単に冷え、つめたいおしっこが出るでしょうが、そんな体験をした人はいないと思います。
死んでしまうほど体温が下がらない限り、子宮は冷えません。むやみに厚着する必要はありませんよ。
流産の種類
進行流産・完全流産・不全流産
子宮の中身が体の外に排出されつつある状態を進行流産といいます。ほとんどの場合、赤黒い出血と、下腹の痛みを伴います。
中身が全部出たものを完全流産と呼びます。出切ってしまうと出血や腹痛は治まります。とくに処置を必要とせず、経過観察することがほとんどです。
一方で、様子をみていても中身が残ることもあります。これを不全流産といいます。だらだらと出血や下腹の痛みが続きますので、麻酔をかけて子宮の中を掻き出す手術を行います。
習慣流産
習慣流産とは、流産が3回連続することを言います。流産自体は、上でお話ししたとおり誰にでも起こり得ます。しかし、それが3回も続くということは、母体に何らかの問題がある可能性があるため、専門の病院で検査をします。
例えば「抗リン脂質抗体症候群」という、小さな血栓ができやすい体質の人は、妊娠すると胎盤にも同じように小さな血栓がたくさんできてしまい、血流が悪くなって流産に至ります。
他には、子宮筋腫や甲状腺の病気、夫婦いずれかの染色体異常などが原因になることもあります。
化学的流産
妊娠反応は陽性になったけれども、エコーで妊娠を確認できるようになる前に流産し、生理が来るものを化学流産といいます。
妊娠検査薬の精度が上がり、なおかつ簡単に行えるようになったためにできた考え方です。医学的には妊娠や流産にはカウントしません。
切迫流産
流産、という名前がついていますが、他のものと違って「流産しかけている状態」を指しています。したがって、切迫流産だけは妊娠が継続できる可能性があります。
妊娠16週までは有効な薬がありませんので、基本的に安静にしてもらい様子をみます。
「安静ってどれくらいですか?」とよく聞かれますが、医師が安静といっているときは「ほとんど寝ている状態」を指していると思ってもらったらいいと思います。仕事も家事もしない感じです。
流産の兆候は?
下腹の痛み
中身を出そうと、子宮が収縮する痛みです。生理痛と同じような痛みがします。痛みが強くなり、出血が増えた、というときは進行流産を主に疑います。
ただ、子宮の中に胎嚢が見えていない段階でひどくお腹が痛い時は、子宮外妊娠の可能性がありますのですぐに病院に連絡し、受診しましょう。
つわりの消失
流産した人の中には「急につわりがなくなった」という人もいます。そのため、ふとつわりが楽になると、赤ちゃんは生きているのかと不安になることもあるでしょう。
しかし、これは参考程度に考えておいてください。医学的にはつわりと妊娠がうまくいっているかどうかには何の関係もないのです。
順調にいっていてもまったくつわりのない人もいますし、赤ちゃんが子宮の中で亡くなった後もつわりがあるという人もいます。
流産にならないようにするための対策
安静
流産の原因のほとんどは赤ちゃんにあります。ですから安静にしておいたからといって防げるとは限りません。
ただ何も有効な手立てがない中で、もしできるとしたら安静にしておくことくらい、と思っておいてください。
医学的な処置
切迫流産については、妊娠16週を過ぎると塩酸リトドリンという張り止めの薬が使えるようになります。
また、習慣流産の人の中には妊娠初期から薬を処方してもらうこともあります。
前回の流産から頸管無力症が疑われる人については、子宮の出口を丈夫な糸でしばる手術をすることもあります。
ビタミンEをとる
ビタミンEを摂取することで、血行促進とホルモンを分泌する効果があるといわれています。
この2つの効果からビタミンEを摂取すると胎盤を形成しやすい体質になるのではと言われています。
ビタミンEはキウイフルーツやほうれん草やモロヘイヤに多く含まれています。摂取することで流産を確実に予防するということではありませんが、食事の中に取り入れるだけなので気軽に試すことができますね。
葉酸のサプリメントを摂取する
葉酸はママの血液を増やし、子宮内膜を厚くし、さらには先天性異常を軽減する効果があると言われています。
葉酸は食品から摂る事ができますが、それだけでは足りないといわれており、サプリメントで摂取することがおすすめです。
過剰摂取には注意しなければならないため、容量を守って摂取してくださいね。
まとめ
今回は流産の原因や症状をご紹介いたしましたが、妊娠中少しでも様子がおかしいと思ったら必ず産婦人科に受診するようにしてください。
また、現在では予防法や対応策も確定的なものはないので、今回記事内でご紹介したことを参考にしつつ、心配であれば必ず医師に相談するようにしてください。
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