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妊娠中に風邪にかかったら?
気をつけていたのに風邪を引いた!免疫力低下は妊婦の宿命!?

妊娠すると、どんなに健康な人でも免疫力が下がります。なぜならそれは、母体が胎児という新しい生命をからだの中に受け入れるために必要なプロセスだからです。
動物のからだは、自分以外の生命体(細菌やウィルスなど)が入り込むと、それを異物とみなして攻撃します。これが免疫力です。
でも、妊娠すると、自ら免疫力を低下させて、「赤ちゃん」という最も大きな異物を体内に育んでいくわけです。まさに母の愛は、こんな目に見えないところから始まっているのですね。
ですから、風邪を引くのは妊婦の宿命ともいえます。ここでは、具体的にどんな症状が出たら病院に行った方がいいのか(発熱、咳、お腹のゆるみなど)、また、そのタイミングをご紹介していきます。
風邪を引いたときの赤ちゃんへの影響は?高熱や咳の場合は大丈夫?
高熱や微熱…発熱した場合

人のからだはその中に細菌やウィルスが入り込むと、熱を出してそれらの異物を退治しようとします。ですから、発熱自体は悪いことではありません。むしろ風邪が治るための1つのプロセスともいえます。
ただし、母体の体温が上がると、それに連動しておなかの赤ちゃんの体温も上がるため、赤ちゃんもお母さんと同じように熱が出ることで体力を消耗しています。まだ全ての器官が未発達な分だけ、高熱による消耗は激しいとも言えます。
37度前後の微熱や、38度前後でも1日で治まった場合などは心配いりませんが、38度以上の熱が2日以上続く、または40度近い高熱が出た場合は、解熱剤を処方してもらった方が安心です。
また、微熱であっても何週間も続いている場合は、他の病気も考えられますので、医師に相談しましょう。
咳がひどい場合
咳もまた発熱と同様に、からだが不必要なものを排除しようとする大切なプロセスです。咳をすることで痰を出し、それによって肺に悪いものがたまるのを防いでいるからです。
ですから、睡眠に影響のない程度の咳で、数日たって治まってくるものなら、特に心配はありません。自然に治るのを待っても大丈夫です。ただし、咳が辛くて眠れないようなら、咳止め薬を処方してもらって睡眠をとりましょう。
また、妊娠後期(おなかが張る時期)に、発作のような咳が出る場合、さらにお腹の張りを強めてしまうこともあるので、その場合は産科医に相談しましょう。
咳も微熱と同様に、長引く場合は別の病気の可能性もありますから、診察を受けることをおすすめします。
下痢をしている場合
胃腸風邪といわれる、おなかに症状が出る風邪を引いた場合には下痢や嘔吐が見られることがあります。この場合、食べたものを吐いてしまっても、水分補給ができていれば赤ちゃんへの影響は心配ありません。
たとえ母体が栄養不足でも、赤ちゃんに必要な栄養分は最優先されて胎盤から胎児に送られるので、数日間食べられなくても、赤ちゃんが栄養不足になることはないからです。
ただし、吐いてしまって水も飲めない、または飲んでもすぐに下痢をしてしまう、こんな場合は要注意です。母体が脱水に陥ると、血液循環が悪くなり、胎盤への血流も少なくなってしまうからです。病院で脱水の有無を検査してもらい、適切な処置(点滴など)を受けるとよいでしょう。
更にもう1つ、胃腸風邪だと思っていたのに下痢や腹痛が実は流産の徴候だった、という場合がごくまれに見受けられます。
激しい下腹部痛や下痢が何度も続く場合は、産科医に相談して念のため超音波検査をしてもらうと安心です。
妊娠中の風邪の時はどこの病院に行くべき?まずは産婦人科へ!
胎児への影響を考えて産婦人科で受診を

妊娠している場合、咳や痰が出る、鼻水が出るなど普段なら内科や耳鼻科へかかるような症状でも、まずはかかりつけの産科に行きましょう。妊娠している時とそうでない時では飲んでも良い薬が違いますし、産科なら胎児への影響もチェックできます。
妊娠初期でまだ産婦人科にかかっていない場合、もし信頼できるかかりつけ医がいれば、そちらに行って妊娠していることを伝えた上で診察を受けましょう。
特にそういった心あたりがない場合には、近隣の産婦人科に電話をして、妊娠初期で風邪症状があることを伝えてから受診するのがベストでしょう。
まずはそちらで風邪症状を治療してから、後日改めてどこの病院で出産するのかを考えても遅くはありません。
病院を受診する際に気をつけたいこと
まずは電話で症状を伝えましょう

風邪症状で産科を受診する場合、まずは電話をしてどのような症状があるのか説明しましょう。事前に電話を入れることで、病院によっては待合室を分けてくれたり、順番を早めてくれるなどの配慮があるかもしれません。
また、自分では風邪だと思っていても、はしかや水疱瘡、インフルエンザなど、非常に感染力の強い病気であることもあります。
その場合、他の妊婦さんたちと一緒に待合室にいることで、集団感染という事態をも招きかねません。事前に電話することで、他の妊婦さんへの感染を予防し、早く適切な処置を受けることが可能になります。
咳が出ている場合、忘れずにマスクを着用していきましょう。もちろん感染予防のためですが、他の妊婦さんを不快にさせないための配慮とも言えるでしょう。
かかりつけの産科医にかかる場合は、今までの妊娠経過などの情報はすべて病院が把握しているので心配はいりませんが、初めてかかる病院の場合は、妊娠何週なのか、もともとの持病はあるのかなどを、しっかり医師に伝えましょう。
万が一、具合が悪すぎて病院まで行くのが困難な場合や、逆に病院に行くほどでもないが心配だという場合は、とにかくかかりつけの産科に電話をしましょう。医師や助産師さんから適切なアドバイスがあるはずです。
市販の薬の服用は大丈夫?
ちょっと待った!市販の薬は自己判断で服用しないで!

病院に行く時間がない場合、痛み止めや咳止めなど、市販の薬を飲んでしまいたくなるかもしれませんが、妊婦さんにはおすすめできません。ほとんどの薬は妊娠中に服用しても影響はありませんが、中には胎児に影響が出るものもあるからです。
特に気をつけたいのは、痛み止めの成分であるイブプロフェンです。この成分は、胎児に心臓の奇形をもたらす可能性があることで知られています。たとえ薬品名が違っていても、よく見るとイブプロフェンが混ざっている場合もありますから、注意が必要です。
市販の薬を飲む場合は、必ずかかりつけの産科医に相談してからにして下さい。医師が飲んでも大丈夫と言った薬以外は、自己判断では飲まないで下さい。
たとえ薬が原因ではなかったとしても、万が一生まれて来た赤ちゃんに異常があった場合、母親は「あの時飲んだ薬のせいかもしれない」と自分を責めてしまいがちです。
何の根拠もなくても、そう思ってしまうのが母親というものなのです。それはとても辛いことです。ですから、薬の服用には細心の注意を払って、自己判断はしないように心がけて下さいね。
まとめ
風邪といえば誰もが経験のある一般的な病気ですが、実は風邪を治す薬というものは未だに開発されていません。風邪による症状を和らげる薬に頼るしかないのが現状です。
栄養と休養を十分にとって、できれば薬に頼らずに治したいものですね。健やかな赤ちゃんの成長のために、体力維持を心がけたいものです。
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