目次
陣痛促進剤の効果
どれくらいの時間で効くの?
どれくらいの時間でうまく陣痛がついてくれるかは人それぞれです。
出産の経験がある人の方が早い傾向にあり、開始後2時間~3時間で赤ちゃんが生まれることもめずらしくありません。逆に2日以上かかってやっと陣痛が出てくるという方もいます。
パパはいつから立ち会えばいい?
ママの気持ちをいちばん尊重してください。ただ、赤ちゃんが生まれるときだけ立ち会いたいということであれば、陣痛促進剤を始めてしばらくは痛みも変わらないことが多いので、必ずしも最初からいていただく必要はないと思います。
個人差がありますが、初めての出産なら子宮口が8cm~10cmになってから、2回目以上なら5cmごろから一緒にいてくださると良いかと思います。
陣痛促進剤を使うタイミング
陣痛を誘発する場合

陣痛が来ていないけれども赤ちゃんを産む必要がある場合です。具体的には以下のような例があります。
【予定日超過】
妊娠42週になると胎盤の機能がぐっと落ち、赤ちゃんが危険な状態になります。なので42週が近づいているけれど陣痛が来ないときは誘発分娩をします。
【破水したが待っても陣痛が来ないとき】
赤ちゃんが包まれている膜が破れるので、赤ちゃんが菌に感染しやすくなります。これをなるだけ防ぐためには、破水後48時間以内に生まれるほうが良いとされています。このため破水したあと1日は自然に陣痛が来るのを待ちますが、陣痛が来ない場合は誘発します。
【子宮内に感染がある、ママの妊娠高血圧症候群など、医学的に出産が推奨される場合】
子宮内に菌が感染すると赤ちゃんに影響が出ることがあります。また、ママが妊娠高血圧症候群で状態が悪化した、などの場合は、お産をしなければママも赤ちゃんも命の危険にさらされます。このような時は、陣痛がきていなかったり週数が早かったりしてもお産をすることがあります。
【ママや赤ちゃんの健康上の問題で管理分娩をする場合】
ママや赤ちゃんに病気があることがわかっている場合、自然な陣痛を待って夜中にお産になるよりは、管理分娩といって昼間に分娩した方がいいことがあります。
それを病院側の勝手な都合だという人もいますが、病院も会社と同じで、昼間のほうが医師も看護師もたくさんいます。産科医がたくさんいればあなたの危険に対処できます。新生児科医がたくさんいれば複数の医師があなたの赤ちゃんの命を助けるためにつきっきりになれます。麻酔科医や手術室のスタッフがたくさんいれば緊急で帝王切開になった時もすぐに対応できます。
これが夜だったら?緊急帝王切開までに時間がかかります。新生児科医がひとりしかいない時間に他の赤ちゃんの具合が悪くなったら、あなたの赤ちゃんへの対応が遅れるかもしれません。もちろん他の医師を緊急で呼び出しますが、時間がかかればそれだけママや赤ちゃんに負担がかかるのです。
陣痛を促進する場合
陣痛は始まったけれどもお産が進まない場合です。具体的には以下があります。
【微弱陣痛】
理由はいろいろありますが、陣痛が弱いときはお産が進まないので陣痛促進剤を使う必要があります。なお微弱陣痛といっても、寝られないくらいの痛みはあります。
【回旋異常】
赤ちゃんは普通、ママの骨盤の中を上手に回りながら生まれてきます。しかし中には顎を引きそこなったり、逆を向いてしまったりする赤ちゃんがいます。すると骨盤の形と赤ちゃんの頭の形が合わず、お産が進みにくくなります。陣痛が弱い時に起こりやすいので、陣痛促進剤で陣痛を強めることで、赤ちゃんが軌道修正して上手に回れることがあります。
【母体の疲労】
お産はゆっくりとは進んではいるものの、ママの体力がなくなってきていてこの先進まなくなることが予想される場合、どうにもならなくなる前に陣痛促進剤で少しアシストをしてあげた方が良いです。
【和痛分娩】
麻酔をかけていますので、陣痛が弱くなりがちです。そのため陣痛促進剤を使います。
個人的な理由で使うのはNG
クリスマスや、自分と同じ誕生日に産みたいなどの理由で陣痛促進剤を使うことはできません。早生まれにしたい、あるいは4月2日以降に産みたいというのも同様です。
陣痛促進剤は、必要に迫られていて「使わざるをえない」ときに使用するものです。ママと赤ちゃんの命にとって有益な場合にしか使いません。
陣痛促進剤の種類
プロスタグランジンF2α、プロスタグランジンE
陣痛が始まった後に体から分泌される物質の一種です。プロスタグランジンE2には子宮の出口を軟らかくする効果もあります。
しかしオキシトシンと違い、プロスタグランジンは喘息や緑内障などがある方は使用できないお薬です。
内服薬と点滴の違い
プロスタグランジンのみ、内服薬と点滴があります。内服薬は1時間に1錠ずつ飲んでいきます。
内服薬の方が手軽だし効果がマイルドで良さそうに思えるかもしれませんが、もし効きすぎたときに血中濃度を調節できない点が怖いところです。それを防ぐために、3錠くらい飲んだところで、血中濃度を調節しやすい点滴に切り替えることが多いです。
陣痛促進剤のリスク
どんな対処をする?
過強陣痛や胎児機能不全を防ぐために、陣痛促進剤は必ずごく少量から始め、少しずつ量を増やして調整していきます。
また必ず分娩監視装置をつけ、子宮収縮が強くなりすぎないか、収縮の間隔は適切か、赤ちゃんの心拍は落ちていないかを産科医と助産師がチェックし続けています。
まとめ
陣痛促進剤を使わざるを得ないお産があることをご理解いただけたでしょうか。自然な陣痛でも、陣痛促進剤を使っても、ママが命がけで赤ちゃんを産んだことに変わりありません。
もし陣痛促進剤を使うことになったら、疑問点は担当医にしっかり聞いて、解決してからお産に臨みましょう!
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