妊娠29週の母体の状態
圧迫されてお腹が苦しい時も

この頃になると子宮のてっぺんである子宮底は、おへそとみぞおちの間くらいにまで達します。お腹が前にせり出すことで、だんだん足元が見えづらくなります。
体重増加も気になる頃ですね。29週を含めた妊娠後期では、摂取カロリーの目安は2200~2400kcal。これは非妊娠時に比べるとプラス400~500kcalほど。
この時期には赤ちゃんの脳が完成に近づくため、ブドウ糖を大量に消費します。ママは甘いものが恋しくなり、体重が増加しやすいのです。
子宮の増大に伴い、胃腸が圧迫されます。胃が押し上げられて後期つわりになったり、腸が圧迫されて便秘になるママも。
血流の変化に伴い、妊娠高血圧症候群のリスクや、甘いものを欲するために妊娠糖尿病のリスクも高まります。
むくみが起こりやすいのもこの頃。血流をよくするため母体は水分量を増やします。血液から水分がしみ出しやすくなり、むくみとなるのです。
また、妊娠29週ではおりものが増加します。おりものには膣内の乾燥や細菌侵入を防ぐ役割があります。サラサラしたものは破水と間違えやすいので普段から注意してみるといいですよ。
おりものの量が増える

おりものはママと赤ちゃんを守る、大切な体のシステム。とは言え、妊娠前では考えられないほど大量に分泌されると不快感を覚えることもありますね。
妊娠期間中でも状態が変化し、粘りがある状態やサラサラした状態になる場合も。特にサラサラしたおりものは破水と間違えやすいです。
他には、細菌に感染するなどのトラブルに見舞われると、においがしたり色が変わったりします。日ごろからおりものの状態を観察し、異常がある場合は産院に相談しましょう。
おりものが増えてつらい時、状態をよく観察したい時はライナーをつけておくと安心です。こまめに交換しながら観察しておくといいですね。
体重増加に注意

妊娠29週は赤ちゃんの成長やホルモンの急な増量で体重増加をしやすい時期。後期つわりもあるので食事の摂り方には注意が必要です。
濃い味付けは妊娠高血圧症候群にかかりやすくなります。おすすめは薄味の和食。野菜をたっぷり摂るとヘルシーながら満腹感を得られやすいですよ。
赤ちゃんへブドウ糖が大量に送られるため甘いものが無性に欲しくなりますが、お菓子の食べ過ぎには注意して。対策としては以下のような方法があります。
1.おやつに小さなおにぎりやサツマイモなどを食べる
ブドウ糖は白米などの炭水化物にも含まれています。お菓子よりもカロリーを抑えられますよ。
2.砂糖の代わりにハチミツを使う
ハチミツは砂糖よりカロリーが低いので、甘みが欲しい時はハチミツを活用しても。産まれた後の赤ちゃんにハチミツを与えるのはNGですが、母体を通じてなら大丈夫。
3.小分けにして食べる
1日の食事の総量は増やさずに回数を分けて食べると、少量でも満腹感を得られやすいですよ。後期つわりも起きにくくなります。
たくさん食べたいママにとってはつらい時期かもしれません。ストレスがたまらない程度にコントロールできるといいですね。
気持ちが不安定になることも

女性ホルモンの急激な変化の他にも、お腹が大きくなり動きづらくなることや、出産への意識が強くなることでイライラし、気持ちが不安定になりやすい時期です。
イライラして自己嫌悪になり、ますます不安定になる…そんなママもいるかもしれませんね。次のような方法をためしてみてはいかがでしょうか?
1.「つらい」と正直に話す
夫や家族などの身近な人でも、意外とママが苦しんでいることに気付いていないかもしれません。「ホルモンのせいで気持ちが不安定」と話しておけばママも気が楽になりますし、周りも混乱せずに済みますよ。児童館の妊婦サークルや友人などと悩みを共有するのもいいですね。
2.休養を取る
疲れていると人はイライラしやすいもの。お腹が大きくマイナートラブルに見舞われて思うように動けない時は、ますますその傾向が強くなります。家事や仕事などはなるべく他の人を頼り、ママはゆったりと過ごすようにして。可能であればすぐ横になれるようにしておくと安心ですね。
3.何かに没頭する
「他のことに没頭していたらイライラを忘れてしまった」というのは、先輩ママからの体験談でよく出てきます。エコー写真でアルバム作り、食べられそうなおやつを手作り、カラオケで思いっきり歌う…。
お腹の張りを感じたらすぐ休めるようにし、自分のペースでできるように調節しながらやると、よい気分転換になりますよ。
体験談:逆子が直らず不安に

妊娠29週の赤ちゃんの状態
胎児・胎盤の状態

妊娠29週を含む妊娠8ヶ月の赤ちゃんは大きさが40cm前後、推定体重は1000~1500gほど。成長が目覚ましく、ほとんどの器官が完成する時期です。
具体的には、
● 脳などの中枢神経、心臓や肺や腎臓などの内臓器官の機能が充実する
● それに伴い、記憶や感情が芽生えてくる
● 聴覚がほぼ完成し、外からの音に反応することも
● 目の開閉ができるようになり、ものを見る練習をする
● 骨髄の働きもほぼ完全に整い、赤血球が作られはじめる
● モロー反射や吸い付き反射がはじまる
● 呼吸器はまだ完成しませんが、肺呼吸に似た動き(呼吸様運動)をし始める
● 足の爪が完成する
早産になった場合に生存できるかどうかの基準は、推定体重が1000gに達していることと考える病院が多いようです。また、内蔵の機能が整っていることも重要。
そのため、この時期までお腹にいれば、もし早産になっても生き延びられる可能性が高いとされています。でも、無理は禁物。母体に負担がかからないように生活したいですね。
妊娠29週は羊水量が最大になる時期。加えて赤ちゃんも体の機能ができるため、動きが活発になります。体の向きを大きく変えて頭を下にする赤ちゃんが多いですが、中には逆子になる子もいます。
羊水のトラブル
妊娠28~36週には、羊水過多と羊水過少という羊水のトラブルが起きやすいです。
● 羊水過多
通常500mlほどの羊水が800mlを超えると羊水過多と診断されます。赤ちゃんの機能の異常、ママの妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などが原因で起きます。
週数に対してお腹が大きいのでお腹が張りやすくなり、場合によっては早産や前期破水などを引き起こします。羊水が多くて赤ちゃんが動きやすいため、逆子になりやすい面も。
お腹から羊水を抜くという治療ができますが、数日で羊水過多に戻ることが多いようです。赤ちゃんやママの様子を見ながら、早めのお産にもっていくケースもあります。
●羊水過少
羊水過多と反対に、羊水量が100ml以下と少なすぎる状態です。週数に対して子宮が小さいので胎動が強く感じることもあります。
原因としては赤ちゃんや胎盤の機能の異常、前期破水などが考えられます。治療としては人工羊水を注入する方法がありますが、赤ちゃんがトラブルを抱えているケースが多いです。
赤ちゃんが発育不全にならないように慎重に経過をみて、こちらも早めのお産を計画する場合もあります。
しておくべきこと・気を付けることは何がある?
体調管理をしっかりと

この時期のママはお腹も大きく重心が取りづらい上、動悸や息切れなどもしやすいです。行動する時は休憩を取れるようなペース配分が大事。
ワーキングママは産休に向けてお仕事を頑張りたい頃かもしれませんが、無理をせずになるべく周りを頼りましょう。
妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病になりやすい時期でもあります。塩分の濃い食事や糖分の高いおやつの摂りすぎに気を付けましょう。野菜に含まれるカリウムは余分な塩分を排出し、適度な有酸素運動は糖質の消費を促します。
食事量が減らせないというママは、野菜もたっぷり食べて運動を取り入れるといいですよ。おすすめの運動はウォーキングやマタニティヨガなど。呼吸を整えながら行うと出産の時にも役立ちますよ。運動しても大丈夫かどうかは、かかりつけの産院に相談しましょうね。
そして、この時期におすすめなのはマタニティフォトの撮影。丸みを帯びたお腹はきれいに撮れることが多く、妊娠後期からの撮影を勧めているマタニティフォトスタジオもあります。
今はいろいろな写真スタジオで撮れるようになっていますので、旅行などの遠出はしんどいけれど思い出を作りたい、というパパママにちょうどいいかもしれません。
体験談:旅行などでリラックス

用意すると良い道具・アイテム

そろそろ入院や出産の準備を始めてもよい時期です。パパと一緒に赤ちゃんが過ごす生活に向けて環境を整えましょう。
日中はどの部屋でお世話をするのか、ベビーベッドやバウンサーなどはそろえるのか、お風呂は誰がどう入れるか、おむつ替えはどこで行うか…。
自家用車で退院するご家庭はチャイルドシートの準備も必要です。里帰り出産の場合は、いつまで過ごすかによってそろえるアイテムが変わってくるでしょう。
それぞれのアイテムについても、新品、レンタル、お下がり、リサイクルショップなどどれを利用するかも考えておきたいですね。
リーズナブルなのはお下がりやリサイクルショップ、場所を取らないのはレンタル、気持ちが盛り上がるのは新品を買うなど、どの方法にもメリットがあります。それぞれご家庭に合う形でそろえられるといいですね。
意外と見落としがちなのがママの服装。手持ちの服でも上手く活用すれば妊娠期~授乳期まで過ごせます。しかし、最近のマタニティウェアは機能性とデザイン性を兼ね備えているものが多く、締め付けがない、肌触りがよい、それでいて体のラインをきれいに見せてくれるものもあります。
特にマイナートラブルに悩まされているママは、インナーやウェアをマタニティのものに変えたら軽減する場合もあります。今までマタニティウェアを購入していなかったママも取り入れてみてもいいかもしれません。
マタニティウェア初心者も挑戦しやすいのが、マタニティパジャマ。お腹周りだけでなく袖ぐりや股下にも余裕があるので、むくみに悩むママも楽に着られます。授乳口がついていれば、産後の授乳もしやすいですよ。
こちらのパジャマはおしゃれでありながら授乳口も付いていてとても便利。パジャマとしてもホームウェアとしても活用できるので、取り入れてみてはいかがでしょうか?
体験談:マタニティヨガで友達も

酒・タバコ・カフェイン・薬・レントゲンの影響

酒やタバコやカフェイン、薬やレントゲンは、特に妊娠初期に知らず知らずのうちに摂取または浴びていて、妊娠が判明した後に慌ててしまうケースが多いと思います。
では妊娠初期だけ気を付ければいいかと言えば、そういう訳ではありません。ここでは一つ一つ詳しくみていきたいと思います。
1.酒
妊娠中にママが飲酒すると、胎盤を通じて赤ちゃんにアルコールが届いてしまい「胎児性アルコール症候群」を引き起こす可能性があります。
「胎児性アルコール症候群」の症状には、体の器官や内蔵、神経の成長の遅れなどがあります。特に妊娠初期の飲酒が大きく影響すると言われていますが、中期、後期でも注意が必要です。
妊娠29週頃は器官の成長が目覚ましく、特に神経系が大きく成長する時期です。この時期のアルコール摂取は中枢神経に悪い影響を及ぼす可能性があるのです。
2.タバコ
タバコも赤ちゃんに悪い影響を与えます。ママが喫煙または副流煙を吸った場合、血液内にニコチンと一酸化炭素が取り込まれ、胎盤を通じて赤ちゃんに送られます。
ニコチンは血管を収縮させ、一酸化炭素は酸素を奪ってしまうため、赤ちゃんが低酸素、低栄養状態に陥ります。低酸素、低栄養の赤ちゃんは流産や早産、低体重で産まれる、産まれた後も乳幼児突然死症候群にかかるなどのリスクが高まります。
お酒とタバコに関しては、パパママともに妊娠しにくい体を作るという説もあります。妊娠を考え始めたら止められると望ましいですね。
3.カフェイン
カフェインは赤ちゃんの成長を阻害し、死産のリスクを高めるという報告があります。しかし酒やタバコに比べれば影響は少ない方で、1日1~2杯なら大丈夫とのデータも。
ただしママの体質によっては、長期のカフェイン摂取が高血圧や骨粗しょう症を招く場合もあるとの報告もあり、飲み過ぎには注意が必要です。
最近は味や風味は変わらずにカフェインだけを抜いたノンカフェインの飲み物も増えていますので、取り入れてみてはいかがでしょうか。
4.薬
薬は赤ちゃんへ2つの影響を及ぼします。1つは奇形を発生させる「催奇性」、もう1つは成長に悪影響を及ぼす「胎児毒性」です。このうち、妊娠29週頃に注意をしたいのは「胎児毒性」の方です。神経系が大きく発達する時期ですので、赤ちゃんの感覚などに影響がでることも。
しかし、ママも風邪を引くこともあるでしょうし、頭痛や胃もたれなどのマイナートラブルに見舞われることも多いでしょう。持病のあるママは常用している薬があるかもしれないですね。
我慢して薬を飲まないとかえって事態が悪くなる場合もあるので、かかりつけの産院に妊娠中でも飲める薬を相談してみるといいでしょう。
5.レントゲン
放射線については大量に浴びた場合、「妊娠10週までの赤ちゃんには奇形を、妊娠10~27週までの赤ちゃんには中枢神経障害を発生させる可能性がある」と言われています。
妊娠29週はこの時期から外れていますし、レントゲンの放射線量はそれほど多くないとされています。しかし全く影響がないとも言い切れないのが現状です。妊娠中に歯科を受診したり、バランスを崩し手足をケガして整形外科での診察を受けるという可能性もあります。
そんな時にレントゲンを撮るかどうかの判断をする場合、あらかじめかかりつけの産院に相談するとよいでしょう。
パパはなにをしてあげたらいい?
力仕事や悩み相談はパパにおまかせ!

お腹が大きくなって動きづらくなり、マイナートラブルに悩みながら出産への不安が募るママ。この時期のママにパパができることをご紹介します。
何といっても、お腹がつかえてやりづらいことを代わりにやるととても喜ばれますよ。特にお風呂掃除は姿勢がつらいだけでなく、床が滑るのでぜひ代わってあげてくださいね。他には、布団や掃除機を運ぶなどもママにはしんどいこと。
特に掃除機を持って階段を上り下りするのは疲れるだけでなく、バランスも崩しやすいのでママも危険です。日常のことで手伝えることや代わりにできることがないか聞いてみましょう。
上の子がいる場合は、率先してお世話をしましょう。ママは思うように動けないので、上の子は思い切り遊びたいと思っているかも。この時期に上の子と思いっきり交流すると、上の子がさらにパパ好きになる場合が多いですよ。子どもと積極的に関わる姿を見てとても安心したというママもいます。
精神面では、出産への不安が大きいこの時期のママには、とにかく話を聞いて共感することが大事。マッサージなどでママの不安が軽減する場合もありますから、スキンシップを大切にしましょう。
夜中ママにつられて起こされたら、今の時期に眠りの浅いママもやむを得ず目が覚めてしまうことを理解してあげるといいですね。
もしパパが今まで健診に行ったことがないなら、この時期に一度は健診に行ってみては?ママの気持ちに近づけるかもしれません。成長が著しい時期でもあるので、赤ちゃんの様子にパパもうれしくなるかもしれませんね。あるいはパパからお医者さんに気になることを質問してみてもいいでしょう。
思い出づくりを提案するのもいいかもしれません。近場のおでかけや記念ディナー、マタニティフォトなど妊娠中の思い出づくりをパパから提案してもらえるとうれしいもの。
ママも全ての要望に完璧に応えてくれることを望んでいるわけではありません。ささいなことにも耳を傾け共感し、ママの希望はできる範囲で叶えてあげましょう。
体験談:家族のことを気遣ってくれた

まとめ
妊娠後期に入って2週目にあたる29週。赤ちゃんはいよいよ誕生に向けて急成長します。その姿に喜びを感じるパパママも多いでしょう。
一方で、ママは体の変化とマイナートラブルに戸惑う頃かもしれませんね。出産を意識して精神的にも不安定になりやすい時です。
それはママが一生懸命赤ちゃんをお腹で育てているからこそ。不安はため込まずに上手に解消しながら過ごしましょう。
またパパにとっては、お腹の赤ちゃんの成長した姿や、出産を控えての環境づくりを通してパパとしての自覚が高まる頃かもしれません。
ママはパパや周りを頼り、パパはパパとして活躍できるチャンスの時期です。上手に乗り切って、赤ちゃんを迎える準備を進めて下さいね。
(文書作成:さこまーま)
・表示価格は、改正前の消費税率で掲載されている場合があります。ご了承ください。