化学流産とは

化学流産とは?症状は?

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化学流産(化学的流産)とは、着床が成立し検査薬等で妊娠反応が陽性と判明した後、超音波検査で胎嚢(たいのう)が子宮内に確認されないまま、生理のような出血が起こることを指します。

からだに感じられる症状は出血以外は特にありません。一般的な妊娠初期症状である、つわりや頻尿などが起きるのはもっと後のことですし、流産の症状である腹痛が起きるには、あまりにも受精卵が小さいからです。

以前は、生理の出血と認識されることが多かったのですが、妊娠検査薬の性能が上がり早期に検査しても陽性反応がでるようになったことで、化学流産に気づく女性が増えてきているという背景があります。

一度は陽性になったので「流産」という名前はついていますが、実際には流産の症状もありませんし、流産として妊娠出産歴に残ることもありません。

化学流産はいつ起きる?

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化学流産は、妊娠3週目~5週目の間に起きます。ここで、妊娠週数の数え方を整理しておきましょう。妊娠週数は、前回の生理開始日を妊娠0週1日として計算します。

つまり、28日周期の人の場合、排卵した時点が妊娠2週0日、生理予定日にはすでに妊娠4週0日に達していることになります。

少し不思議な感じがしますが、生理が始まった時点で次に排卵する卵子が育ち始めていることを考えると、何となく納得がいきます。

受精卵は排卵後9日程度で子宮内に到着しますから、早い人では妊娠3週目の段階で妊娠検査薬が陽性になることがあります。そのまま順調に行けば、妊娠6週目には、エコーで胎嚢(小さな袋のようなもの)を見ることができます。

胎嚢確認後の流産は、化学流産ではなく妊娠初期流産となります。通常は、生理が普段より一週間ほど遅れる程度の感覚で、それ以上遅れることはあまりありません。

ただし、もしその月の排卵が通常よりかなり遅れていたとすれば、その分生理開始日も遅れることになり、結果的にいつもの生理より一週間以上遅れてしまうこともあります。

原因は?

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では、化学流産はなぜ起きるのでしょうか。ここで少し、妊娠の機序について確認しておきましょう。妊娠検査薬は、尿中のhCGという物質に反応し、通常このhCGが50mIU/mLに達すると陽性になります。
(妊娠3~4週の尿中hCGの量は50~500mIU/mLとされています)

hCGは「受精卵が子宮内膜に接した段階で、受精卵の外側の、今後胎盤として成長する部分から分泌されるホルモン」です。

「着床」というと、受精卵がすでにしっかりと子宮内膜に貼り付いているような印象を受けますが、実際には「子宮内膜に触れた」程度で、hCGの産生は始まります。つまり、着床前の段階で妊娠検査薬は陽性反応を示すことがある、ということです。

受精卵からhCGが分泌され始めると、それに反応してプロゲステロンというホルモンの分泌が活発になります。このプロゲステロンが子宮内膜の肥厚を助け、生理が来るのを抑えます。

プロゲステロンは、排卵後に卵巣内に発生する黄体という物質から分泌されますが、この黄体を成長させるためのホルモン(LH)は、視床下部という脳内の器官から分泌されています。

生理が始まると、女性のからだは次の妊娠に向けて準備を始めます。卵胞刺激ホルモン(FSH)が卵胞を排卵可能な大きさまで育てる一方で、LHが排卵後に活躍する予定の黄体を大きく育てる準備をしているのです。

すなわち、受精卵が着床して順調に育つためには、これらのホルモンがバランスよく十分に分泌されていなければならないのです。

なんらかの原因でホルモンバランスが崩れ、黄体の機能が十分でなかったり、黄体から出るホルモン(プロゲステロン)の量が足りなかったりすれば、せっかく受精卵からhCGが分泌されても、着床できずに生理が始まってしまいます。これが化学流産です。

また、中には、受精卵そのものに異常があり、正常な細胞分裂を繰り返すことができず、結果的に着床できない場合もあるでしょう。これも化学流産とみなされます。

起きる確率は?高齢だと起きやすい?

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化学流産が起こる確率についてはよくわかっていません。少し遅めの生理として認識されることも多いので、化学流産の数自体を把握することが難しいからです。

ただし、受精と着床の成り立ちを理論的に考えると、受精はしたけれども着床はできなかったという例は、ごく普通に起こっていると考えてもよいでしょう。

では、化学流産は高齢になるほど起きやすいのでしょうか。この答えは、残念ながら「はい」と言わざるを得ません。女性のからだが最も妊娠出産に適している時期は、22歳頃~30歳頃と推定されます。

30歳を過ぎると、妊娠出産に関わる女性機能は徐々に低下していきます。ですから、妊娠そのものの確率が下がって来ると同時に、流産の確率は上がってきてしまうのです。

医学的には流産としてカウントされない

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化学流産は、医学的には流産としてカウントされません。また、化学流産は、着床後の流産と違って母体に負担をかけませんし、特別な処置や様子観察も必要ありませんから、医学的にカウントする必要性がないとも言えます。

妊娠検査薬の性能向上でクローズアップ

化学流産という現象は、妊娠検査薬の性能が今よりも低かった頃や、妊娠検査薬が一般的にはあまり普及していなかった頃には、耳にすることがありませんでした。

だからといって化学流産自体が新しい現象というわけではなく、ただ単に発見されなかったというだけで、一定の割合で起こっていたと考えられます。

妊娠検査薬の性能が向上したことと、妊娠検査薬が身近になったことで、化学流産という現象がクローズアップされたと言っていいでしょう。

化学流産後の妊娠

化学流産後の生理について

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化学流産は、流産と言うよりは通常の生理に近いものです。流産の場合は、既に受精卵が着床しているので、子宮内膜も普通より厚くなっているために、生理の時よりも出血が多くなります。

しかし化学流産の場合は、子宮内膜の厚さは普通の生理のときと変わらないので、出血量にも変わりはありません。生理の開始日が多少遅れることはあっても、長引いたり、量が多くなったりという変化はほとんどありません。

従って、月経周期にもほとんど影響はなく、もともと安定している人の場合は、次の生理もいつも通りの時期に来ると考えて良いでしょう。

化学流産後は妊娠しやすい?

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よく、流産すると妊娠しやすくなると言いますが、これには科学的な根拠はありません。しかし、一度は妊娠し、その継続に向けてからだの変化が起きていたということは事実ですから、今までよりも妊娠しやすくなるということはあるかもしれません。

ただし、化学流産の場合は着床にはいたっていませんから、ホルモン変化も起きておらず、からだにも妊娠特有の変化は起きていません。

それでも、少なくとも受精まではできたのですから、排卵障害がないことは確認できたことになり、不妊に悩む方の場合は、一歩前進と考えて良いでしょう。

化学流産は繰り返しやすい?

通常、流産を三度以上繰り返した場合は習慣性流産とみなされますが、化学流産の場合は流産にカウントされませんので、これには当てはまりません。

習慣性流産の場合は何らかの原因が考えられ、それを改善しなければ、次の妊娠も流産になる可能性が高いと言えます。しかし、化学流産の場合は、繰り返しやすいといえるような根拠は今のところありません。

化学流産の不安を乗り越えよう

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一度化学流産を体験してしまうと、次もまた化学流産になってしまうのではないかと不安になることも多いでしょう。しかし、前にも述べたように、化学流産は繰り返しやすいという根拠はありません。

むしろ、「受精まではできたのだからあと一歩だ」と前向きに捉え、不安を抱え込まないようにすることが大事です。化学流産自体は珍しくない現象なのですから、悲観的になる必要はありません。

次の妊娠に向けて注意すべきこと

化学流産は、妊娠検査薬を使う時期を少し遅くすることで防げる(気が付かなくなる)現象です。もちろん、知らないうちに起きているかもしれないので、防げるわけではありません。

それでも化学流産の発見による悲しみは防ぐことができます。フライング検査はしないことを心がけ、心穏やかに生理予定日を迎えられるようにしましょう。ストレスの軽減が妊娠にはとても大切です。

まとめ

妊娠を待ち望んでいる女性にとって、生理予定日前後を落ち着いて過ごすことは大変難しいことです。待ちきれずに毎月のようにフライング検査をしてしまう女性も少なくないでしょう。

その結果、化学流産ということになっても、どうか悲観的にならないで下さい。気づかぬうちに起こっている現象ですから心配する必要はありません。化学流産後は、ストレスや不安を抱えずにリラックスして過ごすようにしましょう。

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