産後頭痛の種類|吐き気や肩こりを併発するものも

【1】偏頭痛

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産後の頭痛には2種類のタイプがあります。それぞれ症状の表れ方や痛み方が異なるので、自分の症状がどのようなタイプなのか確認してみましょう。

まず一つは偏頭痛です。偏頭痛はストレスから開放されたり、寝不足、天候(気圧)の変化などによって頭の血管が拡張したことが原因でおこります。

急に血流がよくなり、血管の周囲の組織や神経が刺激されるためにおこると考えられています。20~40代の女性に多く、緊張型頭痛と偏頭痛の両方を発症する人も少なくありません。

偏頭痛には以下の様な特徴があります。

• 頭の一ヶ所が痛くなる
• 堪え難い痛みがある
• ズキズキと脈を打って痛む
• 吐き気や肩こりを催し、光や音に対して神経質になる
• 歩いたり階段を昇ったりなどの運動で悪化する

体験談:蛍光灯やスマホの光が頭痛の原因に

yuiko22さんからの体験談:
ものすごく目がつかれはじめます。夜、家の蛍光灯で目が痛くなってしまい、ひどい頭痛が起きるほどでした。電気の量を調節したり、スマホをなるべく見ないように気をつけました。車の運転もなるべく控えるようにしました。

【2】緊張型頭痛

そして、もう一つが緊張型頭痛です。痛みは短いと1時間ほど、長いと何日も続くという特徴があります。ストレスが原因で肩や首の筋肉がこり、血流が悪くなることが原因でおこります。

血流が悪いことで、血流が滞り頭の血管に老廃物がたまったり、皮膚や筋肉の組織を栄養することができなくなることでおこると考えられています。もともとの頭痛持ちは、このタイプが多いです。

その他にも以下の様な症状があると緊張型頭痛に当てはまります。

・頭部から首筋にかけて頭の両辺が痛くなる
・偏頭痛に比べて痛みが柔らかい
・ズキズキ痛むというより締め付けられるように痛む
・吐き気などの頭痛に伴う症状は特にない
・歩行など身体運動に伴う痛みはほとんどない

体験談:育児のストレスとプレッシャーから続く頭痛

こっちゃさんからの体験談:
里帰り出産が長引き、産後三ヶ月の時に夫のいる自宅に帰りました。それ以前は実家で両親も娘の世話の協力をしてくれていましたが、平日朝から晩まで娘と2人っきりの生活が始まりました。

全て1人で世話をしなければいけないプレッシャーから頭痛が抑まらないのと、おやつの時間でもないのにお菓子を食べる回数が1日に6回はあり肌荒れと体重増加でストレスが溜まっていました。産前は毎日のように外に出かけていましたが、身体が重いので部屋に引きこもっていました。

原因は?|ホルモンバランスの崩れや骨盤の歪み、ストレスも原因に

ホルモンバランスの変化

産後の頭痛は、女性ホルモンの影響が大きいと言われています。そのホルモンがエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)です。

妊娠によって増加したこれらのホルモンは出産を終えると役目を果たし、赤ちゃんと胎盤が体外に出るとほとんどなくなってしまいます。ママの体の中では急激なホルモンバランスの変化が起きます。

これらのホルモンのうち、エストロゲンは血管の収縮をコントロールするセロトニンという物質を増やす働きがあります。このエストロゲンが減少するとセロトニンも同時に減少します。

すると、脳内の血管の収縮と拡張のバランスが崩れてしまうため偏頭痛が起こるのです。月経前後に偏頭痛に悩まされる場合も同じ仕組みで、女性ホルモンのバランスが原因となっています。

骨盤・姿勢のゆがみ

妊娠中の骨盤はただ開くだけでなく、閉じたり開いたりを繰り返し不安定になります。また出産直前はホルモンバランスの変化のため、骨盤を固定している靭帯が不安定になります。

これは骨盤を広げ赤ちゃんを通りやすくするために起こるのですが、出産後の骨盤はさらに内側から広げられるのでグラグラの状態になってしまいます。そのため骨盤がゆがんでしまうことも。

妊娠・出産で不安定になった骨盤を筋肉が支えようとし、それに赤ちゃんの重みも重なってくるため姿勢が崩れやくなります。赤ちゃんの抱っこや授乳で慣れない姿勢が続いたりすると肩も凝ります。骨盤の歪みや長時間の同じ体勢などで血流が悪くなり、緊張型頭痛を引き起こしてしまいます。

育児や生活の変化によるストレス

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育児や環境変化によるストレスが頭痛の原因にもなりえます。また育児から開放された就寝時間や緊張から開放される休日などに頭痛を感じる人もいる様です。

忙しいからといって、食事や水分補給をしていないことにより発症する方もいます。何かを飲食した後、6時間以内に起こる頭痛はその食べ物や飲み物が原因になっている可能性もあります。

また、妊娠前に好んでコーヒーを飲んでいて妊娠中にコーヒーを断っている方が体が慣れるまで頭痛を経験することもあります。

妊娠すると頭痛は悪化する?

普段から偏頭痛や緊張型頭痛に悩まされていた方が妊娠中に悪化するという事はないようです。妊娠中は、先でも説明した通り女性ホルモンが多く分泌される影響で偏頭痛はおきにくくなります。

特に妊娠中期から妊娠後期は、胎盤が完成しそれまで卵巣から分泌されていたホルモンが胎盤からも分泌されるため、女性ホルモンで満たされます。これにより脳内のセロトニンも増加し偏頭痛が治まります。

そのため妊娠前まで月経期に偏頭痛に悩まされてきた方は、この頃から偏頭痛が全くなくなる可能性もあります。しかし妊娠後期を迎えても頭痛が続く場合もあります。

その一方で授乳期間中は頭痛に悩まされる事が減ったという報告もあり、妊娠後はじめて月経がくるまでこの効果は続くとも考えられています。女性ホルモンの影響が大きいことがよくわかります。

ただし、妊娠することによるホルモンバランスの変化の影響や、貧血が原因でつわりと同時期に頭痛が生じる妊婦さんもいるので個人差があります。

対策|緊張型頭痛には血行促進が重要!ストレッチも効果的

体を温める

緊張型頭痛は頭全体に鈍い痛みがおこります。これはストレスによって肩や首の筋肉がこって血流が悪いことで、血流が滞り頭の血管に老廃物がたまったり、皮膚や筋肉の組織を栄養することができなくなることでおこるとされています。

この緊張型頭痛の場合は、血行を促進させてあげることが頭痛に対する一番簡単な対処法です。ただ長湯をすると急に血流が良くなってしまい、逆に頭痛が悪化する場合があります。

38℃前後のぬるま湯に下半身浴をするくらいにしましょう。おすすめなのは温めたタオルなどで肩やこめかみを温める方法です。

ストレッチ・適度な運動

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運動することでストレスが発散され、血行も良くなり呼吸も整えられるので頭痛には最適な対処法です。しかし運動のし過ぎは逆効果に繋がるので無理は禁物です。

また、肩こりも併発している頭痛の場合、ストレッチも効果的です。顎から肩の筋肉や、顎から喉にかけての筋肉、首の後ろの筋肉を伸ばしてみましょう。この時、勢いをつけて伸ばすのではなく手で頭などを抑えながらゆっくり伸ばしましょう。呼吸を整えて行い、息を吐く時に合わせ伸ばすと良いでしょう。

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質の良い睡眠を取る

短かすぎる睡眠や質の悪い睡眠は頭痛を悪化させます。出来るだけ規則正しい生活を守り、いつもより少し長い時間睡眠をとるように心がけましょう。

赤ちゃんの夜泣きや、夜間の授乳など産後はどうしても睡眠不足になりがちです。夜間にまとめて睡眠がどうしても取れない場合は、赤ちゃんの昼寝の時に一緒に寝るのも1つの方法です。

また、パパが休みの時や家族に協力が頼める時は少し赤ちゃんのお世話をお願いして、1人で静かに眠る時間を取ってみてはいかがでしょうか。

リラックスする

赤ちゃんが生まれたばかりの忙しい時期はついリラックスを忘れてしまいがちですが、リラックスできる時間をなるべく作りましょう。ヨガやピラティス、アロマなどを取り入れても良いですね。

頭痛の原因は、ストレスも大きいです。慣れない育児や自分の思う通りにできなくなるストレスはママの体に大きな影響を与えます。少しの間、まわりの家族に赤ちゃんをお願いして1人の時間をとったり、それが難しければ1日10分でもリラックスできる時間を作ってみましょう。

自分の頭痛を知る・分析する

いろいろ試したけれど頭痛が治まらない時は頭痛の記録を付けてみましょう。記録するのは以下の事項です。

・頭痛の起きた時間
・ 痛みの強さ、場所、長さ
・ 何を食べたか
・ 運動の有無
・ ストレスの有無
・ 睡眠時間
・ 薬の服用の有無

これらの事項を記録する事により何をしたときに頭痛が起きるのかパターンを解析でき、頭痛を事前に回避することができます。また普段から頭痛の記録を付けていることによって、通院する時も医師に相談しやすくなります。

体験談:睡眠不足による頭痛と貧血症状

かななのかさんからの体験談:
産後1ヶ月がすぎ育児に少しずつ慣れてきたなと思った頃ですが、もともと睡眠がちゃんととれないとダメなタイプだったのもあったのと、うちの子はあまり寝ないタイプだったので睡眠不足による高血圧にかなり悩まされました。

朝起きると頭が痛く、手足のむくみや疲れで産後1ヶ月がすぎ2ヶ月になっても睡眠不足のストレスが一番でした。それによる頭痛もきつく、貧血もあったため立ち上がる時などはフラつくので、いつも気をつけていました。

薬は飲んでもいいの?|市販薬はOK?

授乳中の場合は、まず医師に相談を

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産婦人科でも処方されることもあり、授乳中でも赤ちゃんへ影響がないと言われている頭痛薬もあります。アセトアミノフェンという成分からできている頭痛薬で、病院から処方される事の多い薬です。

ただ、薬を飲むことで母乳から赤ちゃんへ影響がでる可能性があるため、授乳中の服用は十分注意が必要です。薬の副作用やその他のリスクについて考えるようにするのがベストです。

妊娠前から偏頭痛のための薬を常用している場合でも、妊娠後の服用については医師に相談してからにしましょう。市販薬についても自己判断で安易に飲むことはやめましょう。

どうしても頭痛が治らない時

受診をして薬を服用しても頭痛が治らない場合は、他の事が関係している可能性もあります。母体にあまり負担のかからない解決策を見つけましょう。

鍼灸治療も効果的かもしれません。また、もし運動や姿勢が原因で頭痛が悪化している場合は整形外科などで理学療法士に相談するのもいいでしょう。理学療法士は筋肉をマッサージや運動でリラックスさせる方法をアドバイスしてくれます。

専門機関へのご相談はこちら

※健康状態に心配なことがある場合や受診の目安に迷った場合は専門機関へのご相談をおすすめします。以下のような窓口もご活用ください。

助産師会 相談窓口 
https://www.midwife.or.jp/general/supportcenter.html

まとめ

産後は体の変化に向き合いながら赤ちゃんを育てていかなければならない大変な時期です。そんな大切なときに頭痛に悩まされたくないですよね。

頭痛への対応策はこちらで紹介した通りいろいろな方法がありますが、大切なのは自分の頭痛の特徴にあった対処法を見つける事です。辛い頭痛を決して我慢せず、しっかりケアをしていきましょう。
(文章作成:ヴァネ)

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