【1】保育園と幼稚園はどこが違うの?
保育園と幼稚園は、そもそも施設の目的が違います

保育園は、「子どもの親が働いていたり、病気などの理由で子どもを十分に保育できないという理由で、家庭に代わって子どもを保育する場所」、と位置付けられています。
施設としては、「児童福祉法」という法律に基づいたもので、適切な保育が行われるよう、厳しい基準が定められています。国の管轄は厚生労働省が担当しています。
一方、幼稚園は文部科学省が定めるところの学校、という位置づけになっています。こちらは、「満3歳以上未就学の希望する幼児が、1日に4時間程度教育を受けるところ」、という定義になっています。保育時間は基本的に1日4時間程度の活動を基準としています。
保育園は家庭に代わって昼間子どもが生活する場所、幼稚園は教育を受ける機関、という考えの違いがあるようです。
こども園って?
最近では、保育園と幼稚園の機能をあわせ持った「こども園」という施設もあります。こども園には以下のような違いがあります。
〇幼保連携型
認定こども園として教育と保育を一体化した施設
〇幼稚園型
認可の幼稚園が保育所的な機能を備えたこども園
〇保育所型
認可保育所が、幼稚園的な機能を備えたこども園
〇地方裁量型
認可以外の保育所、幼稚園が認定こども園として機能する施設(地方自治体が定める)
現在は幼保連携型こども園が多くなっています。こども園への入園方法は子どもの「区分」によって異なり、幼稚園児に該当する「1号認定」は入園希望の園に直接申し込みとなりますが、保育園児となる「2号認定」「3号認定」はお住まいの市区町村への申請が必要です。
もし短時間勤務などで1号認定と2号認定のどちらが良いのか悩まれる場合は、一度、お住まいの自治体の担当窓口で相談されると良いでしょう。
【2】保育園と幼稚園の費用の違いはどれくらい?
保育園の費用は?

保育園と幼稚園、費用がどのくらい違うのかも気になるところです。
保育園は認可保育園、認証保育所、無認可保育所など、どこに預けるかによっても金額が違ってきます。
認可・認証保育所の入園は住所のある自治体との契約になり、保育料も自治体が定めるところによります。多くの自治体では、保育を受ける子どもの年齢と世帯収入に応じて、保育料を決めています。
厚生労働省の「地域児童福祉事業等調査結果の概況」という統計によれば、月に2~3万円の保育料を支払っている人が一番多いようです。
また、無認可の場合は、世帯収入などは関係ありません。保育を受ける子どもの年齢、また時間数や時間帯によって保育料を定めているところが多いようです。
幼稚園の費用は?
幼稚園の保育料も、公立幼稚園と私立幼稚園では、保育料が大きく違います。
文部科学省の「子どもの学習費調査」では、公立幼稚園では平均年額22万2264円(月額保育料だけでなく、給食費なども含む)、私立幼稚園では平均年額49万8008円(同)となっています。
私立幼稚園の方が、公立幼稚園の2.2倍となっています。月額にすると、公立幼稚園で平均2万円弱、私立幼稚園では平均4万円を支払っている人が多いようです。
3歳以上になると幼稚園と保育園の保育料の差はさほどはないようですが、3歳未満の保育園の子どもの保育料は、この平均よりもだいぶ高く設定されています。
幼稚園は一般的には3歳以上からですが、保育園になると早くから入園させることもあるでしょう。こうした費用を考慮すると、保育園の方が少し高くなってくるかもしれません。
保育園も幼稚園も、保育料は子どもの生まれた順番や自治体の基準などの条件によっても変わってきます。詳しくは自治体の窓口に尋ねるようにしましょう。
幼児教育・保育の無償化って?
令和元年10月よりスタートした「幼児教育・保育の無償化」。実際のところはどうなのでしょうか。
現在のところ、幼稚園、保育園、認定こども園等を利用する3歳児クラスから5歳児クラスの子どもと、住民税非課税世帯の0歳児クラスから2歳児クラスの子どもの利用料が無料となっています。
なお、新制度の対象とならない幼稚園や保育の必要性のある預かり保育、認可外保育施設の利用料については一定額を上限とした無償化となります。
また子どもの「区分」によって無償化の対象や自治体ごとに異なる場合もありますので、詳しいことはお住まいの自治体の窓口で確認するとよいでしょう。
【3】保育園と幼稚園、園生活はどう違うの?
保育園と幼稚園、学力差は出る?

保育園は子どもを親に代わって生活させるところ、幼稚園は教育するところ、と定義されてはいますが、子どものうちは生活自体が学びの場。特に小学生になってから学力の差が大きく出るということは無いようです。
保育園、幼稚園の差ではなく、最近では様々な園があります。例えば、ネイティブの先生による早期の英語教育を行う保育園があったり、学習塾が運営する保育園があったり。
幼稚園でも英語などの学習カリキュラムを取り入れているところもあれば、のびのびと遊ばせることを主眼にしている園もあります。
しかし、学習をさせてくれる園に入れたからと言って、子どもが思い通りに学力を身に着けるというわけではないこともまた覚えておきましょう。子どもの個性や日ごろの親の働きかけによって、その子なりの能力が伸びていくことになるようです。
保育園と幼稚園、どちらに通う子が多いの?
幼稚園と保育園、どちらに通っている子どもが多いのでしょうか?内閣府が平成30年に調査した結果によれば、3~4歳児は幼稚園児が約36~40%に対して保育園児が約43%とやや保育園児が多く、5歳児になると幼稚園児が43%、保育園児が40%と幼稚園児がやや多いという結果でした。
こども園に通う子も約14%いますので、地域差はあるかもしれませんが、小学校入学時にはどちらかの出身の子どもで偏るといったことはないようです。
また入学してから子どもたちは幼稚園、保育園を気にすることなく仲良くなるので、出身の違いを気にすることはないですよ。
幼稚園の行事は保護者参加が多い
幼稚園は行事の数がとても多いです。季節の行事に保護者が参加することも多いですし、親子遠足の回数も多く設定されているのが一般的です。毎月のお誕生日会にも保護者が出席したり、お芋ほりや七夕会などにも一緒に参加することもあります。
園児だけの行事にも有志の保護者が参加を求められたり、PTA活動も平日の昼間に会合があったりします。面談も午後の早い時間に行われることが多く、保護者会なども平日の昼間が多そうです。
大体決まった時間に登園、降園するので保護者同士の顔を合わせる機会も多く、親睦を図る機会も増えます。主に、行事全般に母親が参加することが多いのも、幼稚園の特徴と言えるでしょう。
【参考】
・幼稚園ってなぁに ~学校教育のはじまり~(文部科学省)https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/youchien/1218094.htm
・認定こども園概要(内閣府)
https://www8.cao.go.jp/shoushi/kodomoen/gaiyou.html
・平成27年 地域児童福祉事業等調査の概況(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jidou/15/index.html
・幼児教育、保育の無償化(内閣府)
https://www.youhomushouka.go.jp/
・令和元年版 少子化社会対策白書(内閣府)
https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2019/r01pdfhonpen/pdf/s2-2-2.pdf#search='%E5%B9%BC%E7%A8%9A%E5%9C%92+%E4%BF%9D%E8%82%B2%E5%9C%92+%E4%BA%BA%E6%95%B0+%E7%B5%B1%E8%A8%88'
まとめ
幼稚園と保育園の違い、いかがでしたか? 幼保一体化事業(認定こども園など)や幼稚園の保育時間の延長など、さまざまな取り組みが行われていることで、昔ほど幼稚園と保育園の違いがなくなってきたように見えます。
小さい頃は保育園、3歳からは幼稚園に転園するという選択肢もあるでしょう。しかし、やはり保育時間の長さや、給食なのかお弁当なのか、など迷う点は多いですよね。
まず、ご家族で相談してみて、さらに子どもにその園が合うかどうかも含め、よく考えて決めることが必要ですね。
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