バターはどうやってできるの?
生クリームの脂肪分が集まってできる

市販されている動物性の生クリームには乳脂肪分が45%前後あります。泡立てる前の生クリームは、この脂肪分がたんぱく質の膜に包まれて水分の中に均一に浮いている状態です。
これを振って振動を加えると、乳脂肪を包んでいた膜が破れ、脂肪分同士がくっつこうとします。さらに振り続けることで固くなり、脂肪分(バター)と水分(バターミルク)に分かれます。
このバター作りの基本となる製法は、何千年も昔から変わりません。昔の人々は木の桶やカメ、皮袋などに入れてゆすったり、棒でかき混ぜたりしてバターを作っていたんですよ。
生クリームは真っ白ですが、できたバターはクリーム色になります。これは、脂肪が集まることによって、脂肪に含まれているビタミンAのカロテンの色が目立つようになるからです。
牛乳ではできないの?
実は、私たちが普段飲んでいる牛乳はどれだけ振ってもバターに変化することはありません。
生クリームや絞りたての牛乳、ノンホモジナイズド牛乳(ノンホモ牛乳)として売られている牛乳は、牛乳に含まれている脂肪球の大きさが様々で、結合しやすいことからバターに変化します。
しかし、一般的な牛乳は乳脂肪も少なく、脂肪球を安定化させるために、脂肪分を砕いて大きさを調整する「ホモジナイズ(均質化)」という加工がされています。
この均質化された牛乳は脂肪球が小さく、脂肪球同士が結合することができないため、バターに変化しないのです。
家でバターを作ってみよう
特別な道具は不要!
バター作りに必要な材料は4点です。
●きれいな500mlのペットボトル
(蓋つき容器でもOKですが、ペットボトルが振りやすいです)
●生クリーム
●塩
●キッチンバサミ
指定の生クリームさえ手に入れば、家にあるもので簡単に作ることができますよ。
【生クリーム選びのポイント】
・使用するクリームは、必ず「種類別 クリーム」と記載のあるものを購入しましょう。
・できるだけ脂肪分42%以上の高脂肪のクリームを選んでください。
・「乳又は乳製品を主要原料とする食品」や「植物性脂肪」のものではバターを作ることができません。
「フリフリ!手作りバター」の作り方

【材料】
生クリーム 200cc
塩 小さじ1
【作り方】
①清潔なペットボトルに塩を入れ、生クリームをこぼさないように注ぐ
②蓋をしっかり締め、音がしなくなるまで上下に振る
③脂肪分と水分が分離してきたら中の水分をコップに移すなどして、さらに振る(中の水分はバターミルクといって飲むことができます)
④③の作業を何度か繰り返し、ペットボトルの下の部分を切りとって中からバターを取り出す
⑤水分が気になるようなら、キッチンペーパーなどで軽く水分を絞る
【ポイント】
・生クリームはよく冷やしておきましょう。
・5~10分程度で完成しますが、お子さんが疲れてきたら交代で振ってあげてくださいね。
・バターは2.3日で食べきるようにしてください。
手作りバターを楽しむおすすめレシピ
喫茶店モーニング風バタートースト

【材料】1人分
食パン(お好みの厚さのものを) 1枚
手作りバター 10g
【作り方】
①食パンは、厚さ1/3の深さまで9分割にして切り込みをいれてから、トーストする
②残り1分になったら、トーストにバターを塗り、全体になじませてから再度焼く
【ポイント】
・切り込みを入れることで、食パンの中までバターが染み込んで、おいしくいただけます。
・包丁を使った切り込みを入れる作業とトーストにバターを塗る作業は大人が手を添えてあげるか、しっかり見守ってあげましょう。
・4枚切り食パンだと、ふんわりした食感を楽しめます。イギリス食パンだとサクサク香ばしく仕上がりますよ。
甘党!クリームチーズディップ

【材料】
手作りバター 10g
クリームチーズ 50g
粉砂糖 50g
バニラエッセンス 少々
クラッカー 15枚
【作り方】
①バター、クリームチーズは室温に戻しておく。硬くて混ざりにくいようなら、電子レンジで加熱して柔らかくする
②スプーンなどを使ってよく混ぜ、粉砂糖を加える
③仕上げにバニラエッセンスを加える
④クラッカーにディップして食べる
【ポイント】
・簡単クッキングなので、お子さんと一緒に楽しむことができます。
・クラッカーに挟んで食べてもおいしいですよ。挟むお手伝いをお子さんにしてもらっても良いですね。
ブロッコリーとじゃがいもの温野菜サラダ

【材料】3~4人分
ブロッコリー 1株
じゃがいも 2個
ハム 2枚
手作りバター 大さじ2
塩 少々
【作り方】
①ブロッコリーは食べやすい大きさに切る。
②じゃがいもは3cm角に切る
③ハムは半分に切って5mm幅に切る
④鍋に水を1/2カップ入れ、ブロッコリー、じゃがいもを入れて火にかける
⑤沸騰したら火を中火にして5分程度蒸らす
⑥蓋を開け、ブロッコリーやじゃがいもに火が通っていたら、バター、ハム、塩を加えてざっくり混ぜ合わせる
【ポイント】
・お子さんにお手伝いしてもらう場合、ブロッコリーは包丁ではなく手でちぎってもいいですね。
・じゃがいもやハムを切るときには大人が手を添えて一緒に切ると安心です。
たらのバターぽん酢ソテー

【材料】2人分
タラ 2切れ
手作りバター 10g
コショウ 少々
酒 大さじ2
ポン酢 大さじ2
【作り方】
①タラの身にコショウを振りかける
②フライパンにバターを溶かし、タラを入れて片面に焦げ目がつくまで焼く
③焦げ目が付いたらひっくり返して日本酒とポン酢を加えて蓋をする
④中火にし、2分くらい加熱して、火が通ったら完成
【ポイント】
・タラは身離れも良く、小さなお子さんでも食べやすい魚です。
・バターとポン酢が合うので箸が進みますよ。お好みでレモンやすだちを添えてもおいしくいただけます。
まとめ
いかがだったでしょうか?手作りバターは小さなお子さんと一緒に楽しんで作ることができます。
そして、トースト以外にもそのバターを使ったおいしい料理も楽しむことができます。市販のバターやマーガリンと食べ比べをしてみても良いですね。
ペットボトルを振り続けることは、小さなお子さんには少し大変かもしれませんが、実験をして学びながら、おいしい食育につながりますね。
このバターに、ガーリックやハーブ、砂糖を加えるとさらにアレンジが広がりますね。(執筆:栄養士)
・表示価格は、改正前の消費税率で掲載されている場合があります。ご了承ください。