妊娠中のインフルエンザ予防接種Q&A
Q.いつ予防接種を受ければいいの?
インフルエンザ流行期の前までには、接種を済ませることが望ましいと考えられています。
日本では、インフルエンザは例年12月~4月頃に流行し、例年1月末~3月上旬に流行のピークを迎えますので、12月中旬までにワクチン接種を終えるとよいでしょう。
インフルエンザワクチンは妊娠週数にかかわらず接種が可能です。
13歳以上の方は通常1回接種となっていますが、基礎疾患があり免疫が著しく低下している場合は医師の判断により2回接種となる場合があります。
妊娠初期に接種した場合でも抗体は出産まで持続します。
しかし、出産へ向けて徐々に抗体価は低下しますので、妊娠初期に接種された方で出産時に流行が予測される場合には、後期での再接種を考慮してもよいかもしれません。
Q.どこで予防接種を受けるの?
まずはかかりつけの産婦人科に問い合わせてみましょう。
またはお住まいの自治体、市町村のHPに掲載されている「予防接種取扱医療機関」の中で、インフルエンザ予防接種の取り扱いのある医院に問い合わせましょう。
インフルエンザワクチンには防腐剤使用と不使用のものがあります。産婦人科ガイドラインによると、防腐剤の量はごくごく微量なため胎児への影響はないとされています。
防腐剤不使用のものは保存期間が短く、価格も高価で製造数も少なく取り寄せが必要です。希望される場合は事前に確認をしてください。
Q.胎児に影響はないの?
どの妊娠期の接種でも胎児への安全性には問題はないと考えられています。
妊娠初期でも流産や奇形のリスクはないとされていますが、大事をとって避ける方が多いようです。
また、抗体は胎盤を介して胎児へ移行しますので、出産予定の3−4週間前までに接種を済ませると生まれてくる赤ちゃんにも予防接種の効果が期待できます。
Q.妊娠中にインフルエンザ予防接種を受けられない人はいる?
重篤な卵アレルギーや、過去にインフルエンザ予防接種でアナフィラキシーショックを起こした既往がある方はインフルエンザワクチン接種ができません。
妊婦自身が接種できない場合はマスクや手洗いの徹底や、同居家族のワクチン接種を行い感染予防・拡大防止に努めましょう。
Q.接種に必要なものは?
インフルエンザワクチン接種を行っている医院で事前予約をし、接種予定日には通常の診察に必要なもの(診察券や保険証)と母子手帳を必ず持参してください。
Q.新型コロナウイルスで外出が怖いけど、それでもインフルエンザ予防接種はしたほうがいいの?
新型コロナウイルスもインフルエンザも「咳、倦怠感、発熱」と、初期の自覚症状は似ています。
これまでの自粛期間中、体調不良や発熱などあれば、新型コロナウイルスに感染したのか風邪なのか、どこに相談すればいいのか例年とは違う緊張感を覚えた方も多いでしょう。
新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行が起こってしまったら、医療崩壊に至るリスクが大いにあります。
そうなった場合インフルエンザが重症化しても、適切な治療を受けられないかもしれません。
しかし、インフルエンザは予防や治療法が確立しています。医療崩壊を起こさせない、自身と赤ちゃんの命を守るためにもインフルエンザワクチンの接種は重要です。
Q.妊娠中にインフルエンザになったらどうする?
ワクチン接種をしていても、インフルエンザを発症することがあります。
妊娠中にインフルエンザのような症状が出た場合は自治体や市町村の発熱相談に連絡したり、かかりつけの医院に連絡し指示に従って適切な受診行動をとってください。
同時に切迫早産やお産の兆候がある場合は、産婦人科に連絡して指示を仰いでください。インフルエンザに有効な抗インフルエンザ薬はタミフル®︎やリレンザ®︎イナビル®︎があります。どれも妊婦への使用は問題ないとされています。
インフルエンザにかからないためにできること
Q.インフルエンザにかからないためにできることはある?

インフルエンザ予防のポイントは5つです。
①流行前のワクチン接種
ワクチン接種はインフルエンザを発症するリスクを低減させ、発症した場合の重症化防止に有効です。
②外出後の手洗い等
インフルエンザに限らず接触や飛沫感染などを感染経路とする感染症の対策の基本です。インフルエンザウイルスにはアルコール製剤による手指衛生も有効です。
③適度な湿度の保持
空気が乾燥するとインフルエンザにかかりやすくなります。加湿器などを使って適切な湿度(50~60%)を保ちましょう。
④十分な休養とバランスのとれた栄養摂取
体の抵抗力を高めるために、日ごろから心がけましょう。
⑤人混みや繁華街への外出を控える
妊婦自身だけでなく、同居する家族も同様に予防に努めましょう。
うがいの効果については様々な意見がありますが、タイミングと方法に注意して行いましょう。外出後や食事の前後、のどに違和感がある際に行うと予防効果があるといわれています。
妊娠中や授乳中の場合、ヨウ素(ヨード)入りのうがい薬で頻回にうがいを行うと赤ちゃんに影響がでる場合がありますので注意が必要です。
まとめ
新型コロナウイルスの影響で例年とは違う冬を迎えます。
インフルエンザや新型コロナウイルスに限らず、感染や重症化のリスクを軽減するためには、正しい知識を得ることが大切です。必要以上に恐れず、一人一人ができる限りの予防策を行いましょう。
困ったことがあれば自己判断せずかかりつけ医や看護師、助産師に相談してください。
執筆:助産師、看護師、保健師免許あり。助産師・看護師としての臨床経験豊富なママ
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