停留睾丸の症状
停留睾丸(停留精巣)とは

停留睾丸とは、精巣が陰嚢の中におさまっていない病気です。片側のこともあれば、両側のこともあります。
通常は胎児の間に、お腹から陰嚢に精巣が降りるはずなのですが、精巣が降りない状態のまま生まれてくる先天性疾患です。
お腹の中に精巣が留まってしまうと、陰嚢内よりも2~3℃高い温度環境にさらされることになります。陰嚢は体外に出ているので、体温よりも低い温度環境なのです。
精子の形成において涼しい環境が適しているので、体内にある状態のままだと精巣の機能が失われたり、精子の数が減少したりする恐れがあります。
日本泌尿器科学会によると、新生児期には5%前後の男児に症状が見られますが、生後6ヶ月頃までに自然治癒することもあり、生後1歳頃には約1.5%まで減少します。
停留睾丸とは別に、移動性精巣と呼ばれるものがあります。これは陰嚢にある精巣が空のような状態に見える時がありますが、入浴中などリラックスした時には陰嚢にあるもので、手術は必要ないと言われています。
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体験談:本人の感じる症状はなく…
まぽさまさんからの体験談:
症状は何もありませんでした。本人が痛がる事もありませんし親の私も気がつかなかったくらいです。
後から思えば玉のふくらみがないような気がしますがその頃は病名も知らないくらいで全く思いもしてない病気でした。
合併症について
鼠径ヘルニア、精索捻転症(せいさくねんてんしょう)などの合併症を起こすことがあります。停留睾丸の男児は、鼠径ヘルニアを併発していることがほとんど。
鼠径ヘルニアは、お腹におさまっているはずの腹膜や小腸などが、足の付け根部分にある鼠径から飛び出してしまう病気です。鼠径ヘルニアは手術が必要になります。
精索捻転症は腹部と精巣をつないでいる細い管である精索が、なにかの拍子にねじれてしまう病気です。放置していると精巣が壊死してしまうため、早急な対処が必要になります。
治療法
手術するの?費用は?
生後6ヶ月になっても精巣が陰嚢に降りてこない場合、自然に治癒する可能性は見込めなくなるので、手術を検討する必要があります。
生後6ヶ月~2歳までに手術することが多いようです。手術は入院となることがほとんどですが、早ければ1泊で退院することができます。
手術は乳幼児医療費控除の対象となるため、地自体によっては無料、または低料金で受けることができます。入院した際の部屋代、食事代などは対象外となるため費用が必要になります。
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手術方法
精巣が足の付け根部分にある場合には、足の付け根部分と陰嚢を数センチ切開し、精巣を陰嚢に降ろして糸で固定します。
精巣が足の付け根部分にあるかどうか触っても分からない場合には、おへそ部分を切開して腹腔鏡を入れ、どこに精巣があるのかを探します。
精巣が見つかったら、精巣を陰嚢に降ろして糸で固定します。精巣があっても小さく機能が期待できない場合には、摘出手術となる場合もあります。鼠径ヘルニアの合併症があれば合わせて手術を行います。
体験談:生後11ヶ月頃に手術
mikumoさんからの体験談:
全身麻酔での手術で、陰嚢の近くやおなかのあたりを少し切って睾丸を陰嚢まで引っ張ってきて結ぶ手術でした。
術後の経過観察もあり、入院を手術前日から入れると4日ほど入院していました。その後は半年後に受診しました。
術後気をつけること
術後の生活は、医師の指示に従ってください。医師の指示をきちんと守ることが大切です。術後2週間は三輪車や鉄棒など、またがって遊ぶ遊具・陰嚢を刺激する遊びが禁止されることが多いようです。
プールなどの激しい運動も禁止されます。抱っこ紐など、陰嚢が圧迫されるものも避けるようにしましょう。
停留睾丸は手術を受けて終わりではありません。その後の定期検診も大切になります。1~3年に1回、超音波検査などの検診を受けるといいでしょう。
小さい頃は陰嚢をママに見せてくれる男児も、成長するにつれ見せてくれなくなります。ママには言えないことでも医療従事者になら言える場合もありますので、きちんと検診を受けるようにしましょう。
停留睾丸の予後
日本泌尿器科学会によると、停留睾丸を手術で治療した場合の男児が将来女性を妊娠させる能力は、片側の停留睾丸で70~80%、両側の停留睾丸で50%に下がると言われています。
正確なことを知るには精子が必要になるため、思春期を過ぎマスターベーションで精子を出せるようになるまで検査できません。より早い治療が妊娠する力の低下を防ぎます。
将来パートナーができ、妊娠を考え始めた頃に一度検査を勧めてみるのもいいかもしれませんね。不妊治療の技術は年々進歩していますよ。
停留睾丸の術後の精巣と、正常な精巣では大きさに違いが出てくる時があります。
その場合、子どもがコンプレックスを持たないよう、小さなころから停留睾丸について説明し恥ずかしいことではないと理解をしてもらえるといいですね。
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体験談:内視鏡による手術、術後も定期的に検査を
Funekoさんからの体験談:
1歳4ヶ月になった時、数回の腹部エコーでも睾丸が見つからなかったため、内視鏡による手術を受けました。
内視鏡にて腹部に睾丸が見つかり陰嚢に固定しました。手術後は半年に一度、病院にて腹部エコー検査を受けており、睾丸の位置や大きさを診てもらっています。
専門機関へのご相談はこちら
※夜間休日、お子さまの健康状態に心配なことがある場合や受診の目安に迷った場合は子ども医療電話相談♯8000に相談をおすすめします。
厚生労働省・子ども医療電話相談事業
https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/10/tp1010-3.html
まとめ
停留睾丸についてご紹介させていただきました。停留睾丸はできるだけ早いうちに発見し、適切な時期に治療を行うことが大切です。
入浴時などに、陰嚢に精巣があるか触って確認してみてくださいね。自分では分かりにくい場合には、健診時や診察時に確認してもらいましょう。
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