男性の不妊|その原因とは?

不妊となる原因

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不妊症の原因の約半分は男性側で、約半分は女性側が原因となります。不妊治療や検査を始める際には、ご夫婦ともにスタートすることが望ましいです。

女性は生理不順やホルモンバランスの乱れなどを自覚し、早くから婦人科で検査する機会があります。一方で男性の場合、ご自身の生殖機能について調べる機会がなく、自分に不妊の原因があるとは気づきにくいものです。

勃起障害など目に見えるものは気づきやすいですが、精液中の精子に異常がある場合は、見た目ではわかりません。専門的な病院で検査をして、初めて気づいたという方もいらっしゃいます。

1年以上夫婦生活があるにも関わらず子どもを授からないと悩まれた時は、女性だけではなく男性も検査をされることをおすすめします。

乏精子症

精巣の機能に障害があることが原因で、射出された精液の濃度が低く、精子の数が少ない状態です。先天性で精巣機能に障害がある場合や、明確に原因がわからない場合もあります。

無精子症

精液の中に精子が全くない状態のことで、非閉塞性と閉塞性の二つがあります。

閉塞性は、精巣内に精子が作られているのに精子の通り道が塞がっている状態でが原因です。一方、非閉塞性とは、精巣内で精子がほとんどまたは全く作られていない状態で、ホルモンの異常や精子を作る機能に問題があることが原因です。

精子無力症

精子がうまく運動できない症状です。卵子に向かって泳いでいくことができないので、自然に妊娠することが難しい状態となります。

先天的な原因が大半と言われていますが、子どもの頃にかかったおたふくかぜが原因となることもあります。

勃起障害・射精障害

勃起することが難しい、また勃起はできても射精することが難しい状態です。1番わかりやすい原因である一方、精神的なものも複雑に関わってくるので治療が難しい問題でもあります。

治療方法|手術、薬、注射、カウンセリングなど

治療可能なものと、そうでないものがある

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不妊原因により、治療が可能なものと不可能なものに分けられます。先天性の症状は現時点では治療が出来ませんが、それ以外の場合は投薬や注射、手術などによって改善がみられる場合もあります。

また、勃起障害や射精障害では、精神的な負担を取り除いたりトラウマの治療を行ったりすることで、改善できるケースもあります。

手術を必要としない治療

・非ホルモン療法
漢方やビタミン剤、血流改善薬などを服用して、不妊の原因に働きかける方法です。

・ホルモン療法
ホルモンが原因で精子に異常がある場合は、その不足しているホルモンを注射や薬などで補います。

・生活の改善、カウンセリングなど
精神的な問題が関係している場合には、薬などの投与と併せてカウンセリングを行う場合があります。また、過労やストレスなどが関係している場合には、食生活や睡眠時間などを改善する必要があります。

手術が必要な治療

・精巣精子採取
精巣から直接精子を取り出す方法です。このあと、顕微授精(顕微鏡の下で授精させる方法)をすることが多いです。

・精路再建手術
精子の通り道を再建する方法です。

性機能障がいの治療

・抗うつ薬の投与
射精するときに精子が膀胱へ逆流してしまう病気に用いる場合があります。

・ PDE-5阻害薬の投与
勃起不全(ED)に対する治療薬を投与する場合があります。

・ 射精障害に対する治療
膣内での射精が困難な男性に対して行う治療があります。

・ 心理カウンセリング

治療は高額?助成金は?

費用が高額になりがちな不妊治療

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不妊治療には高額な治療費がつきものと思われがちですが、保険が適用される検査、薬、注射などもあります。

以下は、保険が適用されない治療の金額目安です。これは病院によっても異なりますので、詳しくは問い合わせてみてください。

・人工授精  1回2~3万円程度
・ART(体外授精や顕微授精)  30~80万円

助成金は?

不妊治療の助成は、女性側の治療を対象としたものが多いですが、最近は男性不妊への助成も拡大しつつあります。お住いの自治体によって違いがありますので、問い合わせをしてみることをおすすめします。

男性側に原因のある不妊かも?と思ったら

まずはセルフチェックしてみよう

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具体的には、以下のようなものが挙げられます。もしかしたらとおもったら参考にしてみてください。

(1) 勃起できない
(2) 射精できない
(3) 精子が少量
(4) 性欲がない
(5)精巣の大きさが左右で違う
(6) 大量に飲酒する
(7) 喫煙する
(8)長期間高熱を出したことがある
(9) 過度のストレスがある
(10)食生活が不規則・不健康
(11) 糖尿病の気がある
(12) 小児期の病気を経験した
(13) そけいヘルニア(脱腸)の手術をしたことがある

いくつか当てはまるものがあったら、専門の医療機関で相談してみましょう。

専門家に相談|産婦人科・泌尿器科・不妊外来専門

専門病院で解決の一歩を探る

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まずは医療機関に相談しましょう。奥様と一緒に産婦人科で検査をすることもできますし、泌尿器科には男性専門の不妊外来がある病院もあります。

また、全国にある不妊専門相談センターでは、不妊にまつわるいろいろな相談が出来ます。決して自己判断で診断や治療を行わず、一人で悩まないようにしましょう。

治療が長期にわたることで、治療費も高額になっていくことも考えられます。ご夫婦でしっかりと話し合い、治療費の上限や不妊治療に挑戦する期間を決めておくといいでしょう。

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体験談

crownさん(男性)からの体験談:
治療開始年齢:30歳
不妊治療クリニック通院歴:4年半(2回転院し、3院に通う)

結婚し子どもを望みましたがなかなか授からなかったため、最初は妻が勤務先近くの婦人科クリニックに通院。特に原因は見つからないものの、妻が30歳だったのでタイミング治療から始めるも授かりませんでした。

1年半くらい試しましたが授からなかったので、私の検査を詳しく行うと元気な精子がほとんどないと言われ、男性不妊だと原因発覚しました。その後男性不妊に強い病院に転院しましたが、男性不妊の場合は具体的な治療が難しいと言われ、漢方を飲んだり体質改善なども試みましたが、なかなか授かりませんでした。

最後の望みで、世界最高水準と言われるクリニックに転院。そちらでは「動いている精子が一匹でも見つかれば、採取して妊娠に結びつける」という強い協力体制の下、何とか精子採取に成功し2回目の顕微授精で妊娠しました。

妻には受精卵を凍結しておいてもらい、二人目も無事出産しました。今では男性不妊も珍しくありませんが、当時はなかなか自分自身の不妊を疑いませんでした。

精子は高熱に弱いというのはよく聞く話で、後から考えると私は子どもの頃体が弱く、何度も高熱を出していました。精子減少はそれも原因かも、と言っていました。

原因が判明するまで妻のみが通院していましたが、女性だけが通院しても授からない場合は男性不妊を疑ったり転院したりするのも、時間を無駄にせず良いと思います。

まとめ

目に見えない精子の異常など、専門機関でしかわからない症状の場合、男性に不妊の原因があるとはわかりにくいものですね。

夫婦生活があるにも関わらず、なかなか子どもを授からず心配なときは、専門の医療機関をご夫婦で受診されることをおすすめします。

仕事の都合がつけにくい、治療をするのに不安がある、など様々な事情があると思いますが、まずは正しい不妊治療の知識をつけ、先入観をなくしていきましょう。ご夫婦の絆がより深まる治療となりますように。

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