ヘルパンギーナについて|感染力や潜伏期間、予防法は?
ヘルパンギーナとは

ヘルパンギーナとは赤ちゃんや小さな子どもがかかりやすい、夏風邪の一種です。
熱が出たり、口やのどの奥に炎症(水泡や水ぶくれ)を起こしたりします。口の中やのどが痛むので、離乳食や水分をとるのを嫌がることもあります。
流行する時期
5月頃から流行りはじめ、7月頃には流行りのピークを迎えます。9・10月頃にはほとんど見られなくなることが多いですが、流行のピークは年や地域によって若干異なります。
感染力
感染力は非常に強いです。夏場は赤ちゃんの抵抗力が落ちていることもあり、特に感染しやすいのです。また、子ども同士はもちろん、大人にもうつることがあります。
潜伏期間
ヘルパンギーナに感染してから症状があらわれるまでの期間(潜伏期間)は、2~5日です。
症状は2~4日で治まっていくことが多いですが、その後も2~3週間ぐらいは便にウイルスが入っていることがあります。なお、まれにヘルパンギーナに感染しても、症状があらわれないこともあります。
ただ、その場合も便にはウイルスが入っているので、症状があらわれなくても周囲で流行っているときは注意が必要です。
どうやってうつる?予防法は?
ヘルパンギーナに感染している人の咳やくしゃみ、よだれなどが、口や目の粘膜にふれることで感染します。
また、便の中にウイルスが入っているため、手洗いが不十分だと赤ちゃんのお世話をしている家族にうつってしまうこともあります。
このため、ヘルパンギーナにかかっているか確認するために口の中をみる場合などは、必ずマスクと使い捨て手袋をしましょう。
おむつ替えのときも使い捨て手袋を使い、おむつを替えたあとは石鹸を使って流水で30秒以上洗いましょう。
よだれもティッシュやタオルでこまめにふきます。そして、赤ちゃんの使ったスタイやタオルは、他のご家族が使うタオル類とは別に洗いましょう。
原因は?
原因はエンテロウイルス属に属するウイルスがメイン

主にエンテロウイルス属のコクサッキーウイルスA群が原因でヘルパンギーナに感染するケースが多いですが、コクサッキーウイルスB群やエコーウイルスなどによっても感染することがあります。
一度かかると免疫ができるので、同じ型であれば感染することはありません。ただ、ヘルパンギーナの原因となるウイルスにはたくさんの型があるので、何度もヘルパンギーナにかかってしまうこともあります。
主な症状は発熱や口内炎
発熱・口内炎の症状による脱水に要注意

急な発熱(38~40℃の高熱)がみられます。熱性けいれんを起こすこともあります。そのあと口の中やのどの奥に炎症を起こしたり、口内炎や水泡ができたりします。
水泡の直径は2~4mm程度で、複数できることもあります。口やのどが痛みますので、不機嫌になることもあるでしょう。
痛みでよだれを飲みこむのも難しくなりますので、よだれが増えたり吐いてしまったりすることも。また、母乳や水分、離乳食もとりづらくなりますので、脱水には特に注意が必要です。
なお、ヘルパンギーナにかかっている時は体が弱っていますので、同時に風邪をひくことがあります。そのため発熱や口の中の炎症の他にも、咳や鼻水、下痢といった症状がみられることがあります。また、まれに無菌性髄膜炎や心筋炎などの合併症を起こすこともあります。
手足口病との関係
手足口病はヘルパンギーナと同様に夏に流行し、発熱や水泡がみられます。これらを見分けるための症状の違いは以下の通りです。
ヘルパンギーナ:発熱は38~40℃、水泡ができるのは口の中だけ
手足口病:発熱は38℃以下(発熱しないことも)、口の中以外にも手や足に水泡ができる
発熱の仕方や、水泡のできる箇所に違いがあります。しかし、ヘルパンギーナも手足口病も、感染経路や予防の方法、ケアの仕方は同じです。
薬の効果は?治療法や完治の目安について
検査、診断方法

症状や経過からヘルパンギーナに感染しているかどうかの診断することが多いようです。
ただ、他の病気ではないことを確認したり、合併症が起きていないか調べたりするために、血液検査を行うこともあります。
治療方法
ヘルパンギーナにはワクチンがないので、予防接種で防ぐことはできません。また、抗ウイルス剤もないため、ヘルパンギーナ自体をやっつける薬もありません。
熱を下げたり点滴で水分補給したりしながら、回復するのを待ちます。
完治の目安
発熱は2~3日でおさまります。口の中の水ぶくれなども2~3日でつぶれ、1週間ほどで治っていきます。
ただ、2~3週間ほどは便の中にウイルスが入っていることがあるので、感染から1ヶ月ほどは注意が必要です。
合併症
発熱が2~3日経ってもおさまらない場合は、髄膜炎や心筋炎などを発症していることがあります。
嘔吐する、熱がいつまでも下がらない、ぐったりして呼びかけに反応しない、といった場合はすぐに病院で診てもらうようにしましょう。
母乳や離乳食がとれない時、不機嫌な時の対策法
母乳が飲めない場合

口の中が痛んで哺乳できない場合は、スプーンなどでミルクや白湯、麦茶、赤ちゃん用のイオン飲料などを飲ませてみましょう。
すっぱい物や冷たい物は痛がるので、刺激の少ない物を常温にして与えます。それでも水分が十分にとれない場合は早めに病院へ連れて行きましょう。
夏場にくわえて発熱や嘔吐、下痢などの症状が出るため、非常に脱水症状を起こしやすいです。とにかく水分補給を心がけましょう。
離乳食、食事がとれない場合
無理に食べさせる必要はありません。数日で口の中の痛みは消えるので、しばらくは栄養よりも食べやすさを優先してあげましょう。
やわらかく煮込んだうどんやおかゆ、ヨーグルトやゼリーなど口当たりの良い物がおすすめです。ただ、やはり冷たい物は刺激になりますので、常温のものをあげましょう。
不機嫌な場合
発熱や痛みで不機嫌になる場合もあります。お世話をするママやパパは大変ですが、数日で治まるので気長にあやして乗り切りましょう。
ただ、不機嫌だということはそれだけ赤ちゃんも症状が辛いということです。あまりにも機嫌が悪いようでしたら、熱さましや痛み止めのお薬を病院で処方してもらうことも考えてみましょう。
夜泣きする場合
熱があるので、暑かったりのどが渇いていたりするのかもしれません。また、ミルクや離乳食が十分にとれていなくてお腹がすいているのかもしれません。お布団や衣類を調節したり、授乳してみましょう。
それでも泣きやまない場合は、
・お気に入りの音楽を聴かせる
・抱き上げてゆっくり揺らす
・別室に移動する
などの方法を試してみてはいかがでしょうか。赤ちゃんの5感を刺激してあげると、泣きやむ場合が多いようです。
熱が高い場合

暑そうにしている場合は、涼しい服装にし、お布団や室温を調節しましょう。水分もこまめに飲ませてください。
なお、熱が高くて心配な時は病院へ連れて行きましょう。熱を下げたり痛みをやわらげたりする薬を処方してもらえます。
熱が高い場合は脱水症状も起こしやすくなります。必要に応じて点滴での水分補給もしてもらえるので、心配な時は受診しておくといいでしょう。
よだれがとまらない場合
ヘルパンギーナはよだれを介してうつってしまいますので、よだれが多い場合は特に注意が必要です。こまめにティッシュで拭いてあげましょう。
スタイやタオルで拭いてあげても良いですが、その場合は他のご家族も使うタオル類とは別に洗うようにしてください。また、おもちゃなどにもよだれがつきやすいので、洗浄や消毒を心がけます。
なお、よだれを何度も拭くと、赤ちゃんも肌荒れしやすくなるので注意が必要です。乾燥が気になる時は、ワセリンや赤ちゃん用のオイルを塗ってあげると良いですね。
保育園への登園はいつから
熱が下がり、元気なようでしたら保育園に登園が可能です。ただ、便にはウイルスが入っているので、しばらくは他のお子さんたちにヘルパンギーナをうつしてしまう可能性があります。
まずは園に相談してみましょう。
まとめ
高熱が出たり、水泡ができて飲食も難しくなるヘルパンギーナは、赤ちゃんにとってもつらいもの。できれば感染しなくてすむように、夏場はおもちゃの貸し借りを控えたり、こまめに手を洗ったりと気をつけてあげたいですね。
感染してしまった場合は、脱水に気を付け対処法を講じてみてくださいね。(文書作成:米奉行さん)
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