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熱性けいれんとはどんな症状?
意識をうしない、手足が震える

熱性けいれんは、突発性発疹やはしかなど、38.5分以上の高熱が出る病気にかかった時に多くみられます。
けいれんの症状は、手足をビクビクと震わせたり、体をそらせて固くなったりします。目は白目を向いていたり、黒目があっても視線が合うことはありません。意識を失っているので、こちらの呼びかけには一切反応しません。
けいれん中に呼吸が抑えられるので、体に血液が回らなくなり、顔色が悪くなり唇も紫色になってチアノーゼの症状が見られます。おう吐することもあります。
けいれんがおさまると、意識がもどり、泣いたり、こちらの呼びかけに反応するようになります。呼吸もけいれん前の状態にもどり、顔に血の気が戻ってきます。けいれんの時間は、2~3分以内が多く、5分以内に収まることがほとんどです。
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意外と多い熱性けいれん
熱性けいれんは、6歳以下の子どもがかかることの多い病気で、特に生後6か月~3歳に多く見られます。10人に1人の割合で起こります。そのうちの25~50%の子どもは、再度熱性けいれんを起こすことがありますが、3回以上起こす子どもは9%です。6歳過ぎると、大半の子どもが熱性けいれんを起こさなくなります。
原因は、はっきりとしたことは解明されていませんが、小さいこどもは脳の発達が未熟で、高熱にうまく対処できないためではないかと言われています。家族に熱性けいれんの既往歴がある場合、約50%の確率で熱性けいれんを起こすので、遺伝的な要因も考えられます。
発熱が2~3日続いてからけいれんが起きた場合には、髄膜炎や脳炎などが疑われることがあります。また、けいれんの状態によって、熱性けいれんではなく、てんかんなど、ほかの病気が疑われることもあります。
けいれんしたらどうする?
子どもの顔を横向きにして寝かす

けいれんが起こったら、すぐに安全な場所に移動して、子どもを仰向けにして寝かせ、顔を横に向けましょう。
けいれん中におう吐することがあるのですが、横に向いていると、おう吐物が食道に流れてつまったり、気道に流れてつまったりするのを防いでくれます。
おう吐物が口の中や鼻の中にたまっている場合には、取り出してください。呼吸も抑えられるので、できるだけ呼吸が楽になるように、衣類をゆるめましょう。頭部を少しだけそりぎみにすると、呼吸がしやすくなります。
突然のけいれんに驚くとは思いますが、子どもをゆさぶったり、手足の震えを抑えたりしないようにしてください。
口にたまったおう吐物を取り出す際には仕方ありませんが、それ以外で口の中にハンカチや指などを入れるのは禁物です。
けいれんの状態、持続時間を見守る
今後の診断・治療のためにも、けいれん状態をしっかり知ることが大切になります。どれだけの時間けいれんが続いたかのか、チェックしてください。
また、手足の震え方もチェックしましょう。手足の震え方が左右対称になっているかが重要です。片側だけ震えている、片側から震え始めた、一部分だけ震えているなどの症状がある場合には、医師に報告しないといけません。
目線はどこにあるのか、呼びかけに反応するか、顔色などもチェックできるといいでしょう。はじめて見るけいれん症状に、おどろくママがほどんどです。恐怖を感じて、パニックをおこしてしまう方もいるかもしれません。できるだけ冷静になり、子どものそばで見守ってあげてくださいね。
けいれんのあとに何をする?
呼吸状態を確認する
呼吸状態がけいれん発作の前の状態に戻っているか確認してください。
顔色が悪いままで血の気が戻らない、唇が紫のままの場合には、呼吸がおさえられていることが考えられます。
体温を計る
状態が落ち着いたら体温を計ってください。
何度の熱の時にけいれんが起きたかが、けいれんが熱性であるかという診断の手立てになります。病院でも熱を計ることにはなりますが、けいれん直後の体温が大事となります。
受診の目安
早急に診察が必要な場合
初めてけいれんを起こした時。けいれん時の手足の震えが左右対称でない時。発熱していないのにけいれんを起こした時には、早急な診察が必要になります。夜間や休日でも、診察を受けるようにしましょう。
熱性けいれんは、後遺症を残すおそれも少なく、命にかかわるような危険の少ない病気なので、様子をみてもいいと思われるかもしれませんが、けいれん後には一度診察を受けるようにしましょう。かかりつけの病院に問い合わせて対応を聞いてもいいですね。
受診時の対応
何が原因でけいれんが起きたのかを診断する

診察では、けいれんしていた時間、けいれんの様子を質問されます。また、発熱のために起こったのかどうが確認するため、体温を計ります。
医師の診断を受け、子どもの状態が問題なく、けいれんが熱性のものだと診断された場合には、そのまま帰宅して様子見となります。
けいれんが数回起きる場合には、再度けいれんを起こさないように、けいれん止めの座薬(ジアゼパム座薬・ダイアップ)が処方されることがあります。熱性けいれんは、熱の上がり始めに起こることが多いので、体温が37.5分以上になった場合にこの座薬を投与します。この座薬を使用することにより、再度けいれんが起こる確率を3分の1まで減らすことが出来ます。座薬の使用方法は個人差があるので、医師の指示に従ってくださいね。
熱性けいれんではないけいれんが疑われる場合には、検査や入院が必要になることがあります。
けいれん経験のある子どもへの注意点
けいれんの再発をおさえることが重要
熱性けいれんは、再発の可能性のある病気です。普段から発熱しないように心がけ、発熱した場合には注意して様子を見るようにしましょう。元気がない、顔が赤いなど、いつもと様子が違う場合には、こまめに体温をはかり、すぐに対応できるようにしましょう。
保育園や幼稚園などには、熱性けいれんの既往歴があることを報告し、発熱に注意してもらうようにお願いしておくといいでしょう。園によって、座薬の処置もしてもらえるところがあるので、確認してみてください。
子どもは突然発熱するので、けいれん止めの座薬が処方された場合には、旅行などにも忘れずにもっていくようにしてください。
予防接種は、けいれんを起こしてから3か月後に接種可能とされています。予防接種することにより、インフルエンザやはしかなど、熱性けいれんをひきおこす可能性のある病気を予防する効果が期待できます。予防接種前に、医師に熱性けいれんを起こしたことがあると伝えてください。
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熱性けいれんの体験談
溶連菌で発熱した際に発症
みやままさんの体験談:
娘が2歳の時、溶連菌で発熱した際に発症しました。外出先で急激に発熱し、帰宅後の玄関にて前に倒れ、15秒くらい白目をむいて手足をピンと伸ばした状態でがくがく震えていました。
すぐに病院の診察を受け、先生からけいれんの時間、手足の状態、けいれんの仕方(左右対称であったか)、目が向いていた方向などを聞かれました。
子どもが意識を失うという初めての経験に動揺してしまい、先生の質問に答えることができませんでしたが、熱が高いこととけいれんが左右対称であったということから熱性けいれんと診断され、ダイアップ座薬が処方されました。
ダイアップ座薬には副作用としてふらつきがあるのですが、娘は歩いてもすぐに転んでしまうくらい強く副作用が出ました。
その後は高熱が出ないように常に気をつけるとともに、病院の診察時や入園時には熱性けいれんがある旨を伝えています。
専門機関へのご相談はこちら
※夜間休日、お子さまの健康状態に心配なことがある場合や受診の目安に迷った場合は子ども医療電話相談♯8000に相談をおすすめします。
厚生労働省・子ども医療電話相談事業
https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/10/tp1010-3.html
まとめ
熱性けいれんの症状と対処法についてご紹介さえていただきました。
とにかく大切なことは、身近な人が冷静に対処することです。安全な場所で仰向けに寝かせて顔を横にむける、けいれんの持続時間と、手足の震え方を確認するという対処を思い出してくださいね。
・表示価格は、改正前の消費税率で掲載されている場合があります。ご了承ください。