妊婦健診ってなに?

誤解されがち、妊婦健診

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妊婦健康診査の略です。というのはどうでもいいのですが、ひとつ覚えておいてほしいことがあります。

妊婦健診というと、「赤ちゃんの性別や推定体重、顔の写真が楽しみ!」と思われるかもしれませんが、実はそういったことをチェックするためのものではありません。

エコーは妊婦健診の必須項目ではなく、あくまでプラスアルファの部分なのです。

妊婦健診は何をみている?

では妊婦健診は何をみているかというと、基本は「妊娠高血圧症候群はないか?」「妊娠糖尿病はないか?」「赤ちゃんは小さくない?」といったあたりではないかと思います(明記されているわけではありませんが)。

これは、妊婦健診の内容とも関連しますので、後で詳しくご説明します。これに加えて血液検査やエコーをすることで、より良い妊娠管理、分娩方法などを考えていきます。

妊婦健診に行く頻度、回数

妊娠12週頃~妊娠24週まで

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妊娠9週~10週で出産予定日を決定します。この時に渡される書類を自治体に提出すると母子手帳と補助券がもらえます。この後からが妊婦健診のスタートです。

妊娠24週までは、妊婦健診は4週間に1回です。妊娠12週、16週、20週、24週という感じで計4回です。

妊娠25週~妊娠35週まで

妊娠24週を過ぎると、妊婦健診は2週間に1回になります。これまで4週間ごとで不安な時間が長かったと感じる方は、少しホッとするかもしれませんね。

妊娠26週、28週、30週、32週、34週というように計5回です。もちろんまったくこの通りでなくてかまいません。用事などで多少前後しても問題ありませんよ。

妊娠36週以降

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妊娠36週からは週1回になります。妊娠36週、37週、38週、39週、40週で計5回です。「妊娠初期から数えて14回」というのが、厚生労働省が提示している標準的な妊婦健診です。

10年くらい前に上のお子さんを産んだ方は、妊婦健診の回数が増えていることにびっくりされます。

少しずつ制度が変わっていて、今は都道府県や個人病院・公的病院を問わず、このような回数です。また国によっても妊婦健診の回数は違います。

スイスやフランスなど、妊婦健診の少ない国から里帰り分娩にきた妊婦さんは、頻繁だと感じるかもしれません。

妊婦健診の内容は?どんな検査をするの?

毎回必ず行う項目

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妊婦健診で毎回行う項目は、「体重、血圧、尿検査、むくみ、子宮底長、腹囲」です。尿検査ではタンパクと糖をチェックしています。

子宮底長と腹囲は、今ほどエコーが発達していない頃から赤ちゃんの大きさや羊水の量を推定するために使われている指標です。

毎回行う項目からわかる異常

「妊娠高血圧症候群」になると、名前の通り血圧が上がります。尿からタンパクが出て、体がむくみ、体重が増えます。赤ちゃんが週数に比べ、小さいことがあります。

「妊娠糖尿病」になると、血糖値が上がるため尿にも糖が出ます。また血糖のコントロールが悪いと、当然体重が増えます。お腹の赤ちゃんが大きめだったり、羊水が多くなったりします。

もちろん赤ちゃんの大きさや羊水の量は、現在はエコーでも確認します。しかしエコーにも誤差はありますので、私はお腹の大きさも参考にしています。

妊娠12週頃~妊娠24週まで

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何週でどういった検査をするかは自治体によって違いますので、ここからは主に厚生労働省が標準としている例をご説明します。

まず、血液検査があります。妊婦さんの血液型、感染症(B型肝炎・C型肝炎ウイルス、HIV、梅毒、風疹)の抗体の有無、貧血、血糖値などをチェックしています。

そのほかにおりものを採取してクラミジアの検査をします。これは中期に行う病院もあります。

妊娠25週~妊娠35週まで

妊娠週数が増えるとともに、だんだん母体は貧血になりやすくなるので、ここでも貧血の検査をします。妊娠20週頃に、エコーで胎児に異常がないかチェックされることが多いです。

妊婦さんとしては性別や赤ちゃんの顔が気になって早く聞きたいことでしょう。

しかし、この時期のエコーでは全身のバランス、脳、唇、心臓、胃、腎臓や膀胱、背骨、胎盤の位置、へその緒の位置など、いろいろみているので、少しお返事に時間がかかっても許してください(笑)。

妊娠24週頃には、妊娠糖尿病のスクリーニング検査を行うことがあります。甘いサイダーを飲んで、1時間後の血糖値を測定します。

基準値より高い場合は、日を改めて妊娠糖尿病の検査を受けてもらいます。

お腹が張る方は、経腟エコーで子宮の出口(頸管)の長さを測ります。張り止めが処方されることもあります。

妊娠36週以降

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またもや貧血の検査をします。

そのほか妊娠36週頃に、腟の中に「B群溶血性レンサ球菌」という菌がいるか検査します。この菌は出産のとき、赤ちゃんに産道感染することがあります。

赤ちゃんが感染するとひどい髄膜炎や肺炎を起こしますので、予防するための検査です。

腟の中にB群溶血性レンサ球菌がいる場合は、陣痛が来たら4時間ごとに抗生剤を点滴して、赤ちゃんへの感染を予防します。

また、妊娠37週以降は、内診をして子宮口の開き具合や軟らかさを確認します。

エコーは何のためにある?

この20年でエコーの精度がぐっと上がったので、妊婦健診で毎回エコーをしている病院が多いです。妊娠初期は経腟エコーで赤ちゃんの心拍や大きさをみます。

妊娠12週以降は赤ちゃんの大きさや奇形の有無、体の向きなどをメインに経腹エコーでみていきます。

経腟エコーは子宮の出口が短くなっていないか、前置胎盤がないかをチェックするために行われます。

エコーに関する注意点

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エコーは機械が異常を判定している検査ではないので、みる人が熟練者がどうかで、残念ながら精度に違いがあります。統計用語でいう、検者間格差というものです。

助産院での分娩を希望している方は、妊婦健診のうちの数回を病院で受けるようになっています。「お産は病気じゃないのに」と嫌がられることが多いのですが、この点は心に留めておいてください。

最近は4Dエコーなどで赤ちゃんの顔を写真に撮ってくれるところもありますが、あくまでこれはサービスです。

エコーは赤ちゃんにほぼ影響のない検査と言われていますが、強さや当てる時間によっては害になることもあります。産科医はこれも考慮した上でエコーを行っています。

むやみに長時間エコーを当てることはおすすめしません。

また、スマホでエコー画面を撮影する方がいますが、事前に一言声をかけてからにしていただけると助かります。

妊婦健診の費用

自治体からの助成

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妊婦健診は14回に増えましたが、少子化対策もあいまって妊婦健診の助成はこれまでより増えました。多くの自治体が、14回分の妊婦健診を助成しています。

母子手帳と一緒にもらう補助券を大事にしてください!ただ、自治体によって助成額は異なります。

神奈川県は6万円台、東京都は8万円と低めですが、10~11万円助成される自治体も珍しくありません。

自費になる部分

例えば、エコーは上でお話ししたとおり、妊婦健診に必須のものではありません。そのため自治体が助成しているのは3~4回というところが多いです。

それ以外の妊婦健診で行うエコーについては自費になります。1回のエコーがいくらであるかは病院によります。ほとんどかからないところもあれば、5000円というところもありますよ。

また、血液検査の項目によっては自費分が発生することがあります。

例えば、妊娠中に感染すると赤ちゃんに影響がある病気のうち、「サイトメガロウイルス」や「トキソプラズマ」も検査できますが、自費です。

お金がなくても、受けられます

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妊娠していることに気づいていながら、陣痛が来るまで病院に来ない妊婦さんが時々います。以前放送されたドラマでも、このような妊婦さんが取り上げられました。

「お金がないから妊婦健診に来なかった」とよく言われますが、妊婦健診は助成金がありますので、お金がなくても受けられます。

出産も、出産一時金があるのでどうにかなります(セレブ病院みたいなところは、一時金ではとても無理ですが…)。

自費のエコー代を払うのが難しければ、エコーは最低限にしておいてもいいのです。

妊婦健診のお金がない、という方へ

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まったく妊婦健診に来ないと、母体や赤ちゃんに異常があるのかないのか、わかりません。

生まれてみたら赤ちゃんに重い病気があってすぐに手術が必要だった、なんて可能性もあるのです。

多くの病院はこういったリスクを負えないため、人手が多く施設が整った大きな病院へ行ってもらいます。

大きい病院なら医師や助産師だけでなく、ソーシャルワーカーという人がいます。

相談していただければ、お金のことをどうするか、今後の生活で不安なところをどうやって解消するか、どんな社会的支援が使えるかなど、一緒に考えて市町村の保健師と連携をとってくれます。

おなかの赤ちゃんのためだけでなく、あなたのためにも、妊婦健診に来てください。

まとめ

妊婦健診の内容などについてまとめました。いかがでしたでしょうか?妊婦健診の重要性が少しでも多くの方に知っていただけたらうれしいです。

大切なママと赤ちゃんのため、家族のために妊婦健診を受けましょう。

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