目次
育休(育児休業)とは?
育休を取得することができる条件は?
まずは、どのような条件の人が育休を取得できるのでしょうか?育休を取得するには、下記の条件を満たす必要があります。
●1歳に満たない子どもを育てている男女労働者(日雇いを除く)
●子どもが1歳6ヶ月に達する日までに雇用契約がなくなることが明らかでないこと(アルバイトやパートの場合)
※労使協定により、「同一事業主に過去1年以上の雇用されていること」が必要な場合もあります。
いつからいつまでの期間取得できる?
出産前6週間~出産後8週間は、産休(産前産後休業)が認められており、育休は産休が終わった次の日から、子どもが1歳になる誕生日の前日まで取ることができます。
延長は可能?
先ほどもご紹介したように、育休は子どもが1歳になるまでの期間なのですが、下記の条件にあてはまる場合には、子どもが1歳6ヶ月になるまで延長することができます。
●保育所等が見つからず、預け先が決まらない場合
●子どもの面倒を見る予定だった配偶者が死亡した場合
●子どもの面倒を見る予定だった配偶者がけがや病気で子どもの面倒を見るのが難しくなった場合
1歳6ヶ月になった時点で状況が変わらない場合には、さらに2歳まで延長することができます。
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パパも育休が取れる?
パパママで育休を取得すると期間が延長できる制度も

育休はパパママどちらとも1回ずつ取ることができます。
そして、平成22年6月の育児介護休業法改正により、共働き世帯のパパが育休を取りやすくなるための「パパママ育休プラス」「パパ休暇」という制度ができました。
パパはこの制度によって、どの時期にどのくらい育休をとることができるのでしょうか?
パパママ育休プラス
この制度は、パパママ両方が育休を取る場合に限り、子どもが1歳2ヶ月になる前日まで育児休業が延長されるというものです。この制度を利用するためには、下記条件を満たす必要があります。
●配偶者の子が1歳の誕生日の前日までに育児休業を取得している
●本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前
●本人の育児休業開始予定日が、配偶者の取得している育児休業の初日以降であること
パパ休暇
通常育休は1回しかとることができませんが、特例としてパパは育児休業を2回取得することができるという制度です。この制度を利用するためには、下記条件を満たす必要があります。
●子どもの出生後8週間以内に育児休業を開始している
●子どもの出生後8週間以内に育児休業が終了している
パパがこれらの制度を利用することによって、出産後のママのサポートができる、一緒に育児をすることができる、ママの職場復帰をサポートすることができるなどママにとってはメリットがたくさん。
ご家庭の状況に合わせて、パパママで協力して育児をすることができるようになります。
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育児休業給付金とは?
育児休業給付金申請の条件
育児休業給付金が申請できるのは、下記条件となります。
●雇用保険に加入しており、保険料を支払っている
●育児休業開始日前または産前休業開始日等前に2年以上(病気や怪我で30日以上働くことが出来なかった期間がある場合は、その期間を加えて最長4年間)にわたって、賃金が支払われる出勤日が11日以上ある月または賃金が支払われる労働時間が80時間以上ある月12ヶ月以上ある
●育児休業中に勤務先から80%以上の給料が出ない
●育児休業終了後に会社を退職する予定がない
●育児休業を取得する予定である
●休業期間中に出勤している日が10日以内であること(10日を超える場合は80時間以下)
育児休業給付金はいつもらえるの?
育児休業給付金は、原則として2ヶ月ごとに支給されます。2ヶ月休業が終わってから、その休業分の支給の受け取りをする形となります。
初回の支給ですが、一般的に出産から4~5ヶ月後、育休が始まってからは2~3ヶ月後になることが多いようです。実際に振り込まれるのは、支給決定から1週間程度経った後になります。
出産直後は思ってもみない出費が増えますので、育児休業給付金がある!と思っていると、月の収支が…なんていうことも。出産前から少しずつ、計画を立てておきましょう。
いつ申請すればいい?
先ほども説明にあったように、給付金は2ヶ月ごとの支給となります。初回に手続きをしても、その後原則として2ヶ月ずつ申請する必要があるので、忘れないようにしましょう。
【初回の申請期間】
休業開始日~育休開始から4ヶ月を経過する日の属する月の末日
【2回目以降の申請時期】
支給対象期間の初日~支給対象期間開始から4ヶ月を経過する日の属する月の末日
必要な書類は?
2ヶ月ごとに申請しますが、初回申請時に必要な書類と、2ヶ月目以降に必要な書類は多少異なります。
【初回申請に必要な書類】
●育児休業基本給付金の申請書
●受給資格確認票
●休業開始時賃金月額証明書
●支給申請書の内容が確認できる書類(賃金台帳、出勤簿 など)
●母子健康手帳の写し
●育児休業給付金を受け取るための受取口座通帳の写し
【2回目以降に必要な書類】
●育児休業給付支給申請書
●賃金台帳、出勤簿又はタイムカード
申請は会社がする?自分でする?
育児休業給付金の手続きは、通常であれば事業主が行います。しかし、事情により事業主が手続きしない場合は、自分で申請することができます。
自分で申請する場合には、「育児休業給付金支給申請書」と「育児休業給付受給資格確認票」をハローワークで入手する必要があります。
しかし、書類には事業主が記入する欄があり、休業開始時賃金月額証明書など必要書類を出してもらう必要があります。さらには申請前に事業主が受給資格確認の手続きをする必要があるため、事業主にしてもらう手続きが多いです。
そのため、もし自分で申請する場合には、これらの手続きをしてもらえるように、早めに伝えることが大切です。
育児休業給付金はいくらもらえるの?延長はできる?
育児休業給付金の計算方法

育児休業給付金の計算の仕方は、やや複雑です。
育児休業給付金の支給額ですが、まずは賃金日額を割り出します。賃金日額は、休業前の6ヶ月の給料から算出されます。
【賃金日額の計算方法】
育児休業開始前6ヶ月分の給料÷180
【育児休業給付金の支給額】
・育休開始180日目まで
賃金日額×支給日数×67%
・181日目以降
賃金日額×支給日数×50%
平成26年4月1日以降に育児休業に入った方からは、この計算方法が適用されていますが、それ以前は67%→50%でしたので、それ以前に生まれた兄弟の育休時とは、金額が違うという方があるかもしれません。
支給額には上限と下限がある
賃金日額×30日(1ヶ月分の支給日数)で算定される金額を賃金月額といい、賃金月額には上限と下限があります。これらは毎年8月に改訂されます。【例:令和3年8月の場合】
●賃金月額上限=45万600円。
月額上限を超える場合は以下の支給額になります。
育休開始180日目まで:45万600円×67%=30万1902円
181日目以降:45万600円×50%=22万5300円
●賃金月額下限=7万7310円。
それを下回る場合は、以下の支給額となります。
育休開始180日目まで:7万7310円×67%=5万1797円
181日目以降:7万3100円×50%=3万8655円
育児休業給付金の金額を自動計算してくれるサイト
育児休業給付金の計算は複雑になっていて、なかなか自分の支給額を知ることは難しくなっています。
そこで、役に立つのが、社会保険労務士事務所オフィスアールワンが運営している、自動的に産休育休中の育児休業給付金を自動的に計算してくれるサイトです。
こちらは、産前産後の手当関係をまとめて計算してくれる便利なサイト。子どもの数や、もらっている給料の金額、出産予定日などを入力すると、自動的にもらえる手当や一時金の項目別金額をはじき出してくれます。
もちろん、正確な支給額などは会社の担当者や、雇用保険の担当者に確認しなければならないのですが、ざっくりとした支給額を知りたい、という場合には、非常に便利なサイトになっています。
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育児休業給付金は延長できる?!
育児休業給付金は延長ができます。といっても、無条件に伸ばしていいというわけではありません。育児休業給付金が雇用保険から支払われるのは子どもの1歳に達する日の前日まで。
この期間が終わっても、仕事をするのが難しい特別な理由がある場合には、2回の支給延長が可能です。
1回目は子どもが1歳6ヶ月に達する日の前日までで、特別な理由とは主に以下のようなことです。
●保育所等が見つからず、預け先が決まらない場合
●子どもの面倒を見る予定だった配偶者が死亡した場合
●けがや病気で子どもの面倒を見るのが難しくなった場合
●離婚して、養育者が子どもと同居しなくなった場合
2回目は、2歳に達する日の前日までです。この際の理由は前述のものとは少し違います。
●保育所等の申し込みをしているにも関わらず、1歳6ヶ月経った後も保育園に入ることができない場合
●1歳6ヶ月経った後、子どもの面倒を見る予定だった配偶者が死亡した場合
●けがや病気で子どもの面倒を見るのが難しくなった場合
大きなポイントは、保育所等の申し込みをしているのに当面入園できない状態であることです。そのため、育休の延長を申し出るには、「市町村が発行した保育所等の入所保留の通知書」などの証明書などが必要です。
該当するかどうか分からない場合には各自治体に相談してみましょう。
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2022年10月1日施行の育児・介護休業法改正で何が変わる?
産後パパ育休(出生時育児休業)の創設
産後パパ育休とは、従来の育休とは別に子どもの出生後8週間以内に4週間取得することができる育休です。
休業中でも労使協定を締結すれば、合意した範囲で働くこともできるなど柔軟な制度になっています。
申請は休業の2週間前
従来であれば、育休は休み開始の1ヶ月前までに申請しなければなりませんが、産後パパ育休は休業の2週間前まで申請することが可能になりました。これにより、出産が早まる場合でも対応しやすくなります。産後にパパが育児をすることができるようになるので、ママもパパがいる間に体調を整えることができますね。
分割の取得が可能に
産後パパ育休は2回に分割して取得することが可能です。分割を希望する場合には、申請の際に休業する期間と就業期間を伝える必要があります。
仕事の都合で一度に4週間のお休みをもらうことができないためにお休みが取れなかったというパパでも、分割できることにより育休が取りやすくなりますね。
育休の分割取得が可能に
こちらの記事のはじめにご説明したように、従来の育休は子ども1人に対して1回のみでした。
しかし、法改正後には育児休業を2回まで分割して取得することが可能になりました。
1歳以降に育休を延長する場合にも分割することが可能となります。
これにより、パパママが交互で育休を取得することができるようになったり、ママの職場復帰前にパパがお休みを取ったりなど柔軟に育休を取れるようになります。
【参考】
・育児・介護休業法について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
・育児休業給付(ハローワーク)
https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_continue.html#g2
まとめ
妊娠中に知っておきたい育休について、その休業期間や申請方法、給付金について、またパパの育休についてや2022年10月に施行される法改正についてもご案内しました。
ママのスムーズな仕事復帰までには、パパの協力も必須となります。育休を申請する前にこの記事を参考に、どのようにパパママが育休を取るのがよいのかをぜひ話し合ってみてくださいね。
(監修:涌井社会保険労務士事務所代表 涌井好文)
・表示価格は、改正前の消費税率で掲載されている場合があります。ご了承ください。