『ビートルくんと きんいろの バウム』

兵庫県三田市に店舗を構える<パティシエ エス コヤマ>は、洋菓子界にその名を轟かす名店中の名店です。

そして、そのオーナーシェフの小山進さんは、フランスのショコラコンクールで8年連続最高位を獲得したほか、「世界のトップ・オブ・トップ・ショコラティエ100」のうちの一人として認定されるなど、日本を代表するパティシエ・ショコラティエです。

そんな世界的に活躍される小山さんですが、幼い頃には大きくなったら「昆虫博士」になりたいと思っていたほど、虫が大好きでした。

その思いは、パティシエになった現在でも変わらず、例えば店をオープンするにあたっては「昆虫がいっぱい集まるお庭のあるお菓子屋さん」を創るのが夢だと語っていますし、実際に店のあちこちには虫をモチーフとした銅像があったり装飾が施されていたりしています。

さて、その虫好きの小山さんが、このたび虫がたくさん登場する絵本を作り上げました。その名も、『ビートルくんと きんいろの バウム』です!

自然を愛する小山さんが伝えたいこと

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主人公のビートルくんは、ちょっとわがままなところもある暴れん坊。友だちの食べ物も力づくで奪ってしまうほど、やんちゃな性格でした。

ある日、お菓子の神様が隣の国の王様に頼まれて作った金色のバウムクーヘンを、ビートルくんは黙って食べてしまいます。でも、そのバウムクーヘンには、黒い魔女が毒を混ぜていたのです。それに気づかず食べてしまったビートルくんはどうなってしまうのでしょうか…。

自然が危ない

『ビートルくんと きんいろの バウム』のストーリーの中には、現在小山さんが心配していることが書かれています。

それは、地球規模で進んでいる自然破壊です。

以下に「パティシエ エス コヤマ」HPに掲載されている小山さんが抱く自然に対するメッセージを紹介しましょう。

物語誕生秘話(パティシエ エス コヤマHPより)

小山は、まだ庭の木々が小さかった頃、寒い冬になると冷たい風が直接お客様にあたってしまうことがすごく嫌でした。「外で完全に暖(だん)をとっていただくことは出来ないが、少しでも心に暖が届くように…」という思いで薪ストーブを作りました。

そして、「せっかく造るなら」と小山のイメージとして「ちょこっとおっかなくて、でも可愛い」という考えがあり、それを形にできるのはこの方しかいない、ということで、JAP工房に依頼し、どことなくカブトムシのような薪ストーブが出来上がったのです。(JAP工房は、デビュー当時からの聖飢魔IIの衣装をデザインされている方です)。

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そして、この薪ストーブには小山にとって忘れられないエピソードがあります。

それは、薪ストーブが設置されてから、おじいさんが見ず知らずの子どもに「わしが小さかった頃は、薪を割ってからでないと遊びに行けんかったんや」と話しかけているシーンを何度も見たことです。

小山自身も薪割りの経験が無かったため「この体験を語られる世代の方は、日本ではもうこれから増える、ということはないだろうし、今がその世代交代の最後かもしれない」と思ったそうです。

ではなぜ、今出版するのでしょうか?

それには小山の切実な思いがあります。しかし、それは小山の思いだけでなく、食に携わる全ての人々にとっても共通する思いかもしれません。

その思いが生まれたのは、この数十年の間、世界中で都市開発が進み、昆虫達が生活する環境が失われてゆき、世界中の昆虫は激減し、増加率も30%減少するなどますます減っていく傾向にある、という現状を改めて知ったからです。

昆虫がいないと受粉ができない植物はたくさんあり、ケーキに使うフルーツもそうです。また、土の中の虫の幼虫たちが枯れ葉などを分解しなくなれば、土も栄養を失い、その栄養を糧に成長していた植物は、いずれ果物も実らなくなってしまう恐れがあります。

果物といえば、チョコレートの原料であるカカオフルーツも蚊やハエが受粉のために大きな役割を果たしており、このまま虫たちがいなくなってしまえば、将来チョコレートも作れなくなってしまうかもしれません。

それぐらい昆虫たちの存続の危機は、パティシエやショコラティエの仕事にも直結しているのです。

そんな状況もあり、我々が食する野菜や果物なども含めて昆虫達が我々人間にしてくれている大切な事や、物語を通して自分の仲間達を大切にする事、時代が変わっても受け継がれなければいけない温かいものを伝えなければいけないという気持ちが湧き上がり、物語が生まれ、出版に至りました。

皆さんにもこの絵本に描かれた物語を通して、身近な存在である昆虫たちの大切さや、いま口にしている食物がどこから来るのか? なぜ口にすることができているのか? といったことを改めて考える機会にしていただきたいと思います。

また、子どもたちが日々興味を持って接しているであろう昆虫たちが私たちにとって欠かせない存在であることも、伝えていただければうれしく思います。

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と、このように世界に名を馳せるパティシエとして活躍しながら、身近な自然の大切さを次世代へ伝える努力を惜しまない小山さんの姿勢に心動かされますね。

絵本に出てくるバウムクーヘンが本当に味わえます!

さて、今回発売される『ビートルくんと きんいろの バウム』の物語の中には、お菓子の神様が創る特別な金色のバウムクーヘンが登場します。

ビートルくんも心を奪われた、とろける甘さのバウムクーヘン。

実は、それが本当に味わえるのです!

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この絵本とのコラボ企画で生まれた商品、その名も「ビートル君と金色のバウム」!

箱の中には、バニラ味とチョコ味のハードタイプのバウムクーヘンが小分けにされて入っています。お菓子の神様<小山進>シェフの手によって丁寧に作られたバウムクーヘンは、しっかりとした歯ごたえと、上品な甘さでもちろん絶品!

もちろん、素材に徹底的にこだわる小山さんだけに、お子さんも安心して口にできることは言うまでもありません。

さらに、絵本の表紙と同じイラストがつかわれた箱を開けると、そこには絵本に登場するキャラクターたちがずらり。それぞれの特徴が説明されていますので、この特別なバウムクーヘンを頬張りながら、絵本を読むとさらにファンタジックな世界に浸れること請け合いです。

お子さんも、絵本に出てくるバウムクーヘンが本当に食べられることに、歓喜の声をあげることでしょう。

著者プロフィール

小山進 プロフィール

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1964年京都生まれ。2003年兵庫県三田市に「パティシエ エス コヤマ」を開業。

フランスのショコラコンクールでは初出品以来8年連続最高位を獲得し、2019年にはフランスで最も権威あるショコラ愛好会「C.C.C.」より、「世界のトップ・オブ・トップ ショコラティエ100」のうちの一人として表彰を受ける。また、2013年には敷地内に12歳以下のお子様しか入れないパティスリー「未来製作所」を創設。

2019年9月にはメインショップをリニューアル。その創作活動はパティシエ/ショコラティエとしての領域に留まらず、2015年には絵本『The Lost Treasure』(作・小山進、絵・にしのあきひろ)を出版。ほか著作には『あなたの「楽しい」はきっと誰かの役に立つ』(祥伝社)等がある。

松並良仁 プロフィール

デザイン会社にイラストレーターとして就職後フリーに。イラスト全般(広告、出版、絵本など)で活動中。代表的な仕事に、伊勢丹・三越、LA CHITTADELLA のハロウィン フェアのビジュアルや、PARCO CARD NEWS の表紙(2009〜2012)・・・など。媒体によって、「Matsu★Bockrin」の名前でも活動している。

まとめ

お菓子の世界だけでなく、様々なメディアで活躍を続ける小山シェフ。その熱いメッセージの根底には、常に少年時代から抱いてきた自然への感謝の思いと、暴走する現代文明への危惧が含まれています。

その大切な思いを、今回は子どもたちにも伝わりやすい絵本の形で提示してみせました。ファンタジックなストーリーを盛り上げる松並良仁さんの個性的なイラストも各画面、しっかりと描き込まれていて読み応えたっぷりです。

絵本を通じて伝えられる小山シェフの自然に対する思いを、同じ名を冠したバウムクーヘンを味わいながら、しっかりと受け止めてみたいですね。

■タイトル『ビートルくんと きんいろの バウム』
■作・小山進 絵・松並良仁
■出版社:(株)フレーベル館
■定価:本体価格1,800円+税
■32ページ
■サイズ:B5判 27cm×19cm
■発売日:2020/1/20 (月)

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