子どもの滲出性中耳炎とは

中耳炎とは

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中耳炎とは鼻から耳へと続く耳管という所を通って、細菌やウイルスが入り鼓膜の周辺である中耳に炎症を起こすことを言います。

鼻は奥の方で耳とつながっています。風邪を引いたりして鼻水が出ていると鼻水を通して耳にウイルスが入ってきやすくなります。

また海水浴などした場合に口や鼻から水が入り、その時に雑菌が紛れ込み中耳の炎症を引き起こす場合もあります。中耳炎は大きく急性中耳炎、慢性中耳炎、滲出性中耳炎に分けられます。

滲出性中耳炎とは

鼻と耳をつなぐ耳管の働きが悪くなることで鼓膜の奥にある中耳腔に浸出液がたまって取れなくなった状態を言います。耳管は食べ物を食べたり唾を飲み込んだりする時に開き、普段は閉じています。

気圧の変化を感じ、耳抜きをする時などに実感できる場所です。滲出性中耳炎になった場合、痛みはなく耳の聞こえが悪くなったり耳がつまっているような感じがあります。

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急性中耳炎との関係

滲出性中耳炎は急性中耳炎の治療が不十分だった場合にかかりやすい病気です。急性中耳炎の治療をしていて、子どもが痛がらなくなったからと通院をやめたりする人がいます。

そのような場合でも、鼓膜の内側に膿が残っている場合があります。その膿が原因で急性中耳炎が治りきらず滲出性中耳炎となってしまうのです。

かかりやすい年齢

3歳から10歳頃までの子どもがかかりやすいと言われていましたが、実祭には乳幼児(0~3歳)が最も多いと最近の研究で分かってきました。

乳幼児期は自覚症状が乏しく自分で伝えられないことが多いため、母親が気付かなければ発見されないということが原因だと考えられます。

3歳から10歳頃の子どもは、初発であることよりも、乳幼児期から続いていたり、繰り返していたりすることがほとんどではないかともいわれています。

幼い子どもはまだ体の器官の成長が未熟なため、耳管の長さが短く太いです。また傾きが少なく水平となっているので、耳管を通って細菌やウイルスが入りやすくなります。そのため、中耳炎にかかりやすいのです。

滲出性中耳炎の症状

主な症状

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滲出性中耳炎は急性中耳炎とは異なり、強い痛みや発熱がありません。音が聞こえにくい、耳が詰まっているような感じがする、集中力が低下したりぼーっとしているといった症状になります。

強い痛みや熱がない分、滲出性中耳炎は発見が遅くなりやすいです。

聞こえづらい(難聴)

中耳に膿がたまるので耳が聞こえづらくなります。しかし突然聞こえなくなるということはありません。音が聞こえづらくなっていくので、気づくのが遅くなってしまいます。

そのため、テレビの音量がいつもより大きくなった、電話の声が聞こえづらくなった、呼んでも返事をしなくなった、という変化で滲出性中耳炎を疑う他ありません。

耳が詰まる感じ(耳閉感)

耳管の働きが悪くなり膿がたまっているので、耳の中に何かが詰まっているような感覚になる場合があります。これを耳閉感といいます。この耳閉感は子どもではわかりにくく、症状を見つけることが難しいです。

そのため子どもが無意識のうちに耳を触っていたり、首を振るようなしぐさがあったら病院で診てもらうことがおすすめです。

副鼻腔炎との関係

中耳に膿がたまっている状態の時に、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などの鼻の病気を併発すると耳管の働きが悪くなります。通常であれば、膿を中耳の粘膜から吸収したり耳管を通ってのどに排出されるものが機能しなくなります。

そうすることによって膿が残ってしまい滲出性中耳炎になってしまう可能性が高くなります。

子どもの滲出性中耳炎の体験談

パソコン3さんからの体験談:

子どもが1歳10ヶ月の時に耳だれが出たのですぐに病院に行きました。休日だったので、救急外来を受診し、炎症を抑える点耳薬をさしてもらいました。

鼓膜の膿がすっきりなくなるまで1年以上かかり、耳の聞こえもすぐにはよくなりませんでした。

本人が痛いと言わなくても、耳鼻科で診てもらうと膿が溜まっていることがしばしばありました。

ウーロン025さんからの体験談:

子どもが5歳2ヶ月の時に、何回も呼ばないと振り向かないなど少し聞こえづらそうな様子でした。また、緑色の鼻水が続いたので耳鼻科に行きました。

1週間分の抗生剤や痰きり、そしてアレルギー性鼻炎を元々患っていたため、アレルギー剤も処方されました。きちんと薬を飲みきってまた1週間後に受診すると良くなっていましたが、念のために次の週にも受診するとまた再発していました。

また同じ薬を処方してもらい、2週間後に完治しました。

滲出性中耳炎の原因

急性中耳炎が完治していない、耳管が詰まるなど

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滲出性中耳炎になる原因のひとつとして、急性中耳炎の治療が不十分であることがあげられます。そのため急性中耳炎になった場合はきちんと治療を受け、自己判断で治療をやめたりしないでください。

また、のどや鼻の炎症から耳管が詰まってしまい起こる場合もあります。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎など持病がある人は、その旨を医師に説明して適切な治療を受けてください。

滲出性中耳炎の検査方法、治療方法

検査方法

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鼓膜の観察によってほぼ滲出性中耳炎であるとわかる場合もありますが、診断を確定するためいくつかの検査を行います。

聴力検査、鼓膜の位置や動きの検査、耳管の開閉機能の検査、耳の中の器官の発育状態を調べたり副鼻腔炎などがないかを調べるためのレントゲン検査などです。

このように詳しく検査することで、滲出性中耳炎の程度を知ることができます。

抗生物質などの投薬による治療

必要に応じてマクロライド系などの抗菌薬が処方されます。しかし、近年の研究で肺炎球菌やインフルエンザ菌に対して効果が低くなっているということがわかり、滲出性中耳炎の初期の場合でも効果がない場合があると言われています。

また滲出性中耳炎ではアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎との合併症の可能性があるので、その治療のためにアレルギーを抑える薬を服用することもあります。

鼓膜切開

最近は病院の指導のもとできるだけ自然治癒をさせるようにする所が多くなってきていますが、投薬をしても膿がなくならず状態が良くない場合は、鼓膜を切開して鼓膜周辺にたまった膿を出します。

鼓膜に麻酔をかけて切開するので、ほとんど痛みはありません。鼓膜は切開しても数日すれば自然と元通りになるので、心配はいりません。

鼓膜チューブ

滲出性中耳炎の症状がかなり重い場合におこなわれるもので、チューブ留置術と言われています。目的は鼓膜切開と同じで鼓膜周辺にたまった膿を出すために行われます。

こちらは鼓膜に小さなシリコンやテフロンのチューブを入れ中耳の風通しをよくします。チューブを入れない場合は鼓膜が自然と閉じていきますが、チューブを入れることで数ヶ月から1年以上開けたままにできます。

チューブは自然と抜けるようになっていますが、抜けない場合は症状の状態を見ながら先生が判断してチューブを抜いてくれます。このチューブを抜いてしまえば、鼓膜は自然と閉じていきます。

自然治癒の可能性

近年、鼓膜切開などの積極的な治療をせず自然治癒をすすめる病院が増えてきています。滲出性中耳炎の場合、痛みがほとんどないので病院で定期的に診察を受けながら様子を見るという方法です。

また、7~10歳くらいまで年齢が上がってくるとほとんどの場合が自然治癒するという研究結果もあるようです。自然治癒で治すには、規則正しい生活、栄養バランスの整った食事、適度な運動や十分な睡眠などで免疫力を保つことも大切です。

滲出性中耳炎は難聴になる可能性もあるので、言語発達が著しい2~3歳くらいの時はお家の方が注意してあげることが必要です。自己判断で放って置くのではなく、医師の指導のもと様子を見てください。

こんな時どうする?

飛行機に乗ってもいいか

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症状が軽い場合は飛行機に乗っても問題ないと言われています。ただ飛行機に乗ることで気圧が変化して耳抜きが必要になることがあります。その時のために、子どもが飲めるお茶やジュースを準備しておいてください。

また痛みが出た時のために痛み止めも持っていきましょう。飛行機に乗らないといけない場合は、念のため医師に相談して決めてください。

プールに行ってもいい?スイミングは?

耳の状態にもよりますが、水遊びするくらいなら問題はありません。しかし鼓膜切開した直後や鼓膜にチューブを入れている場合はスイミングはできれば避けた方がよいでしょう。

しかし、医療用耳栓をしてスイミングができる場合があります。その場合はスイミングキャップを深くかぶって耳を隠し耳栓が抜けないような工夫をしてあげてください。事前に医師に相談してから、判断してください。

専門機関へのご相談はこちら

※夜間休日、お子さまの健康状態に心配なことがある場合や受診の目安に迷った場合は子ども医療電話相談♯8000に相談をおすすめします。

厚生労働省・子ども医療電話相談事業
https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/10/tp1010-3.html

まとめ

滲出性中耳炎は難聴になるかもしれない、鼓膜切開してチューブを入るなど話を聞くだけで不安になってしまうことが多いですが、早めに適切な治療を受ければ何も心配することはありません。

子どものちょっとした変化を見つけて早め早めに対応していきましょう。

(文章作成:nobiiさん 医療監修:しゅうぴん先生)

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