子どもでも花粉症になるの?
子どもの花粉症が増えてきている

実は、花粉症は大人だけの病気ではありません。子どもの間でも、花粉症の症状に悩むケースが増えてきていると言われています。
今年発行された「鼻アレルギー診療ガイドライン2020」によると、2019年の調査では、0~4歳のお子さんの中でスギ花粉症である割合は3.8%、スギ以外の花粉症を持つお子さんは2.6%いるということがわかりました。
これはどの年齢層よりも少ない数字ではありますが、幼稚園に上がる前からすでに花粉症だと診断されているお子さん達がある程度いるということがわかります。
また、5~9歳のお子さん達を見てみると、スギ花粉症と診断された子どもの割合は30.1%、スギ以外の花粉症は17.4%と、0~4歳と比べてグッと割合が増え、ほぼ半数の子どもが花粉症であるという結果でした。
つまり、小学校に上がる前後から、花粉症と診断されるお子さんが増えるのが現状です。
これらの数字は2008年と比べると明らかに増えてきており、どの年齢層を見ても花粉症と診断される人の数は年々増加していることがわかっています。
子どもの花粉症の症状は?
眠気や不機嫌にも注意
大人と違い、小さなお子さんの中には、目や鼻のかゆみがあったとしても、それを上手く表現できない場合があります。
無意識に目や鼻をこすって赤くなったり、少しはれたりすることがあるので、花粉症を疑った場合には注意して見てあげましょう。
また、鼻づまりで夜ぐっすりと眠れないため、昼間に眠気があり、普段より不機嫌だったり、集中力が低下したりする場合もあります。
病院へ連れて行く目安は?
日常生活に支障が出たら受診を

子どもはしばしば風邪をひくので、花粉症なのか風邪なのか、鼻水や鼻づまりだけの症状だとなかなか見分けがつかないことがあります。
いずれにせよ、症状があるために眠れない、食事が取りづらい、不機嫌など生活に困るような場合には一度小児科や耳鼻科を受診しましょう。
症状が軽くても、花粉症が原因で中耳炎や副鼻腔炎といった別の病気になることもあるので、症状が長引く場合にも一度診てもらった方が安心です。
風邪薬を飲んでいるのに、なかなかよくならない、熱はないのに鼻水・鼻づまりが続く、といった場合にも花粉症が原因のこともあります。
また、毎年同じ時期に鼻水や鼻づまりがひどい、といった場合にも花粉症を疑う理由になるので、気になる症状があれば記録につけておくのも参考になります。
症状に合わせて受診科を選ぶ方法も
かかりつけの小児科がある場合には、まずそちらを受診しても良いでしょう。アレルギー科がある場合には、そこでも診てもらえます。
もし目の症状がひどい場合には眼科を、鼻づまりがひどい、鼻血がよく出るなど鼻の症状がメインの場合には耳鼻科を受診しても良いでしょう。
自宅でできる花粉症対策は?
花粉を避ける

最も重要なのは、なるべく花粉に触れないようにすることです。
小さなお子さんに眼鏡をさせることは難しいかもしれませんが、可能であれば外出時には眼鏡とマスクをつけるとよいでしょう。
家族みんなが、家の中に花粉を持ち込まないようにするため、外出先から帰宅した際には玄関先で衣類や持ち物についた花粉を払う、すぐに手洗いや洗顔をするなど、体についた花粉をなるべく速やかに落とすように心がけましょう。
また、入り込んでしまった花粉を除去するために、空気清浄機も有効です。
洗濯物は室内干しを

花粉の多い時期には衣類を外干しせず、なるべく布団を干すのもやめましょう。
室内で布団乾燥機を使うか、どうしても外に干す必要がある場合には、その後よく布団をはたき、念入りに布団の上から掃除機をかけておくと良いでしょう。
掃除の仕方にもポイントが

もし可能なら、掃除機は朝一番にかけるのが効果的です。
夜間に床に落ちて積もった花粉が、起きてきた人の動きで再び舞い上がる前に掃除機で吸い取ってしまうか、フロアクリーナーなどでふき取って除去しましょう。
朝忙しい方や騒音が気になる場合には、寝る前に掃除を済ませて、なるべく花粉を減らすという方法もあります。
加湿器で鼻やのどのケアを

お子さんに、鼻づまりや口呼吸が見られる場合には加湿器をつけましょう。
特に寝ている時の鼻づまりを和らげたり、のどの乾燥を防いでくれたりする効果があります。
まとめ
年々、花粉症で悩むお子さんは増えつつあります。
日常生活に支障が出ているようなサインを早めに見つけ、そのつらい症状を和らげるために、受診や家でできる対策について考えてあげたいですね。
しかし、家でできることには限りもあるので、困った時には無理せず早めに医師に相談してみてください。
最近は大人同様、子どもに使える薬も増えつつあるので、家でのセルフケアと薬をうまく併用しながら、花粉症対策をしていきましょう。
(執筆:Arimaさん3児の母でもある小児科医 現在は海外で臨床研究に携わる仕事をしている)
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