学資保険って?

子どもの教育資金をためるための保険

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学資保険は子どもの教育資金を貯めて、将来に備えるための保険です。中学・高校・大学などの進学のタイミングで、「祝い金」や「満期保険金」などのまとまったお金を受け取ることが可能です。

また銀行に貯金するよりも利率(返戻率)が良く、105%前後のものも存在します。(銀行の貯金の利子は、1%にも満たないです。)

学資保険は、貯金をすることが苦手な人でも「強制的に教育資金を貯金できるもの」だとも言えます。

学資保険の契約に出てくる「契約者」「被保険者」「受取人」って何?

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学資保険を契約する際に、下記を決める必要があります。

■契約者…保険の申し込みをし、保険料を払う人
■被保険者…保険の保障を受ける人
■受取人…保険金を受け取る人

誰をどこに当てはめようか迷う人も多いのではないでしょうか?以下でどのように決めれば良いのか解説していきます。

契約者

契約者は、学資保険を申し込み保険料を払う人なので、基本的に親が多いでしょう。父と母で迷った場合、「収入が多い方」にすると良いです。

理由①:節税効果が高い
収入が高いと、税金は多く取られます。保険料を払うと、税金計算の基準額から一定の金額「控除」され、学資保険では「生命保険料控除」が該当します。

収入が高い人が学資保険料を払う方が、「生命保険料控除」の節税効果も大きく
なります。

理由②:万が一の保険料払込免除がある
学資保険は、契約者が亡くなるなどの万が一の際に、その後の保険料の払込が免除になります。

仮に収入が少ない「母」を契約者とし、父が亡くなったとします。この場合、父の収入が無くなっても、母は学資保険料を払い続ける必要があります。

しかし収入が多い方の「父」を契約者にしておけば、父が亡くなったら保険料は免除になるので、家計にうけるダメージが少なくなります。

ただし、健康状態によっては収入に関わらず契約できないことや、祖父母が契約する場合、年齢制限で引っかかることが多く、選べる学資保険の選択肢は限られます。

被保険者

被保険者の「被」は、サービスを受ける人という意味です。つまり被保険者は、「保険のサービスを受ける人」なので、学資保険であれば必ず「子ども」ということになります。

また、学資保険の種類によっては、妊娠中に加入できるものも存在します。この場合まだ生まれていないので、名前・生年月日は分からない為、空欄にして申込み手続きを行います。

無事に生まれたら、改めて名前・生年月日を連絡するという流れになります。

受取人

受け取り人は、祝い金や満期保険金などの「保険金を受け取る人」を指します。この人を誰にするかということは、とても重要です。

「保険料を受け取ることができれば良いから、父でも母でも良いよね」と、簡単に決めてしまう人も多いですが、実はどちらを選ぶかについては、きっちりと考えた方が良いでしょう。

なぜかというと、設定により生じる税金が異なってくるからです。詳しいことは、後ほど説明いたします。

「受取人」は「契約者」といっしょがいい?違うほうがいい?

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学資保険の「契約者」と「受取人」の両方を「父」など同一人物にすることも可能です。

実は学資保険では、このケースが一番多いです。この場合のメリット・デメリットについて、考えてみましょう。

受取人=契約者のメリット・デメリット

「契約者=受取人」の場合、進学のタイミングでもらえる「祝い金」と、満期に一括でもらえる「満期保険金」は、一時所得扱いになります。

一方、毎年一定金額をもらう「学資年金」の場合は、雑所得扱いになります。

【祝い金・満期保険金】
まずは、一時所得の計算式を見てみましょう。

(「祝い金」又は「満期保険金」)-保険料総額-特別控除50万円

このことから、ほとんどのケースでは税金が発生しないか、発生してもごくわずかです。

【学資年金】
雑所得の計算式を見てみましょう。

学資年金-(保険料総額 ÷ 年金受取回数)

このように控除額は無いのですが、会社員は20万円以下だと非課税になるので、ほとんどのケースで税金が発生しないか、発生してもごくわずかです。

自営業の場合には非課税枠が無く、税金がそのままかかります。その為、自営業の人は学資年金ではなく、祝い金や満期保険金として受け取る方が良いと言えます。

受取人≠契約者の場合は?

「契約者≠受取人」の場合には、満期保険金や学資年金などのもらえるお金の種類に関わらず税金が発生し、種類は「贈与税」になります。

贈与税の計算式は下記の通りです。

(保険金-基礎控除110万円)×所定の税率-所定の控除額

例えば満期保険金として200万円を受け取った場合、下記のように贈与税が発生します。

(200万円-基礎控除110万円)×10%=9万円

となります。(※この場合は、計算式にある「所定の控除額」は発生しません。)

税金を考えると受取人=契約者が有利

「契約者=受取人」の場合には、税金面で安く抑えられる(もしくは発生しない)可能性が高いことが分かりました。

更に非課税枠がない自営業の場合には、学資年金ではなく「祝い金」や「満期保険金」としてもらう方が、税金を抑えられることも分かりました。

一方「契約者≠受取人」の場合には、贈与税として税金が発生することが多いので、事情がある人以外は、契約者と受取人は同一人物を設定すると良いと言えるでしょう。

受取人の変更は簡単にできる?

離婚や受取人の死亡など、特別な事情がある場合には、すみやかに受取人の変更手続きを行いましょう。

しかし「節税」や「お金が必要だから」などの特別な事情ではない理由で、受取人の変更はできるものでしょうか?

答えは「可能」です。

ただし変更に関する手続きは、必ず契約者本人が行う必要があります。

契約者に理由を説明し、了承を得ることができたら、契約者本人から保険会社に連絡をして手続きを行ってもらいましょう。

年末調整はだれがするの?

年末調整は支払った人

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夫婦共働きであれば「学資保険は、どちらの会社で年末調整をするの?」と悩むこともあるのではないでしょうか?

結論を言うと、契約者や受取人に関係なく「保険料を払った人」が行います。

しかし、支払人が「口座振替やクレジットカードの名義人なのか?」や「共有の生活費の口座から落ちていると、誰が払ったことになるの?」と悩むケースもあるでしょう。

この部分に対しては明確な線引きがなく、社会通念上で妥当か?という考え方になります。

例えば生活費を一緒にしている場合「夫が多く生活費を入れているから夫の年末調整だ」としたり、夫が多く稼いでいるけれど「ポケットマネーから学資保険料を払っているから妻の年末調整だ」とするなど、事情により異なります。

離婚や死亡の場合はどうする?

契約者が離婚した場合

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離婚をし、仮に母親が親権者になったとします。元から「契約者=受取人=母親」であれば、名義変更の必要はありません。

しかし、契約者又は受取人が父親の場合は、母親に名義変更をした方が良いと言えます。

~「契約者」の名義変更をしないデメリット~

■勝手に解約をされる可能性がある
■保険料が未払いの場合、気づかない間に失効になる

~「受取人」の名義変更をしないデメリット~

■契約者も父親だった場合、勝手に解約されて解約返戻金を持っていかれる可能性がある
■祝い金や満期保険金を使われてしまう可能性がある

契約者が死亡した場合

契約者が父親だとし、保険料の払い込みの途中で死亡したとします。この場合には、保険会社に連絡をし、契約者を母親にする変更手続きを行います。

その後の契約者は母親になりますが、学資保険には「払込免除」という制度があるので、保険料の支払いはずっと免除されます。

また保険金の「受取人」に関して、母親を設定していたらそのままで良いですが、父親になっていた場合には、こちらも名義変更の手続きを行いましょう。

契約の前に整理しておこう

困ったらFPさんに相談しよう

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将来に関する大事な契約をする際は、誰でも緊張するものです。その為、学資保険を契約する時には、事前に家族で「契約者」「受取人」を誰にするかについて、話し合っておくと良いでしょう。

またこれらの設定について不安や疑問点が出てきたら、すぐにプロであるFPに相談すると良いと言えます。

ご家庭の状況により、合うプランは様々です。あなただけのプランを設計するためにも、FPに相談することをおすすめします。

まとめ

学資保険の「契約者」と「受取人」は、誰でも良いのではなく、きちんと考えながら決めることが大切です。また状況に合わせて契約者や受取人を変える必要もあります。

子どもの教育費を用意するための学資保険なので、税金はなるべく抑えられるに越したことはありませんし、一番損がなく、お得な方法を選びたいものです。

お金に関するプロであるFPに学資保険について相談するのも一つの方法です。ご家族にあったプランで将来のために備えましょう。

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