目次
Q.01 血液型不適合
Q 私の血液型はRHマイナスのO型、夫はRHプラスのB型です。胎児はRHプラスになる可能性が高いと聞き、何か問題が起こらないかと心配です。

A
母親がRHマイナスで、父親がRHプラスの場合を血液型不適合と呼び、生まれてくる赤ちゃんはRHプラスになる可能性が高くなります。
ここで問題になるのは、胎児のRHプラスの血液が母体のRHマイナスの血液に入った場合、母体の血液中に異物を追い出す抗体がつくられ、胎盤を通して胎児の血液中にある赤血球を壊してしまう”溶血性疾患”をひき起こす可能性が生じることです。
結果的に、胎児が貧血や黄疸(おうだん)を起こすことがありますが、初産ならばそれほど影響を及ぼすことはありません。
第2子出産からはすでに母体に抗体がつくられてしまっているため、胎児が溶血性疾患をひき起こす可能性が高くなりますが、検査で問題がなければ、普通の分娩をしても問題はありません。
また、最初のお産の後で抗体をつくらせない治療を行う方法もあります。重症の溶血性疾患が起こる頻度は非常に低いので、過度の心配はいりませんが、かかりつけの病院で検査を受けて相談してみてください。
Q.02 X線検査の影響
Q 会社の定期健診でX線検査を受けてしまいましたが、その直後妊娠していることが判明しました。胎児に影響はあるのでしょうか?
A
事故や災害などで大量の放射線を浴びない限り、まず胎児に影響することはありません。歯科治療や健診などによる胸部のX線検査は特に問題がありませんが、胃の透視を受けた場合は、その放射線量が問題となる場合もあるので、受けた時期や検査内容をかかりつけの医師に相談してみてください。
ただし、この場合も胎児に影響を及ぼすことは、ほとんどないと言ってよいでしょう。
Q.03 風邪薬の影響
Q 妊娠していることを知らずに市販の風邪薬を飲んでしまいましたが、胎児に影響はあるのでしょうか?

A
大部分の薬剤はほとんど問題ありませんが、一部に妊娠中は飲まないようにという注意書きがある薬があります。
妊娠中には服用をさけたほうがよい成分が入っていなかったかどうか、飲み残した薬や説明書、パッケージなどを持参して産婦人科に相談してください。
妊娠中禁止の根拠の多くは、動物実験により多量(妊娠全期間で10倍から100倍くらいの量)・長期服用した試験の結果で異常がでたというものですから、それほど心配する必要はありません。妊娠と気づく前にこのような薬を飲んでしまったということは良くあることです。
実際に、胎児に問題があったというようなことはほとんどありませんので、薬を飲んでしまった事を不安に思わなくても大丈夫です。
しかし妊娠とわかった以上、このような薬は避けた方がよいでしょう。一般的には妊娠中に風邪をひいた場合は、産婦人科を受診して薬を処方してもらうのがいちばん安心です。
Q.04 発熱の影響
Q 妊娠4週の頃、38度を越える熱が3日間ほど続きました。高熱を出したことにより、今後、胎児に何らかの影響は出るのでしょうか?
A
もし、発熱による影響が出た場合は、胎児の障害などの異常として妊娠が継続されるのではなく、流産という形で継続は中断されます。
熱が下がった後、心拍が確認され、その後も胎児が順調であれば、発熱の影響はなかったと考えてよいでしょう。
Q.05 頭痛薬の影響
Q 以前から頭痛持ちで、妊娠中も頻繁に頭痛を起こします。市販の頭痛薬を継続して服用しても構わないでしょうか?
A
一部の鎮痛剤で妊娠後期、胎児にショックを与え、胎児死亡や出生後の呼吸困難の原因となる事が報告されています。めったにない事ですので、すでに服用したものは現在胎児が元気なら心配しなくてよいです。
鎮痛剤の今後の継続的な服用は慎重にして、かかりつけの医師に相談してください。
Q.06 トキソプラズマ症の影響
Q 家では猫を飼っているのですが、トキソプラズマ症のことが心配です。感染した場合、胎児に影響はあるのでしょうか?

A
トキソプラズマは、胎児に先天的な障害を起こす代表的な感染症で、猫の糞尿などから感染します。妊娠してない時に感染してもほとんど問題はありません。
妊娠中に、しかも初めて感染した場合のみ、胎児に障害を起こす事があります。発生頻度はかなり低く、先天性トキソプラズマ症の発症報告はまれにしかありません。
感染を予防するには、糞や尿の始末の後よく手洗いをすること、口移しで食べ物を与えないこと、猫に自分の口をなめさせないなど十分に注意することが大切です。 どうしても心配であれば、産婦人科の主治医に申し出て血液検査をしてもらいましょう。
*トキソプラズマ症:トキソプラズマは、寄生虫の一種です。人がトキソプラズマにかかるのは、生肉や、生肉を調理したまな板・包丁、そこから二次汚染した野菜が原因になることが多くなっています。猫からの感染で多いケースは、初感染した子猫が1〜3週間の間に排泄する大便などをさわり、手などから口に含んだ場合。猫からの感染を防ぐにはとにかく手を清潔にすることです。また豚肉などの肉を食べる場合にはよく焼いてから食べてください。
Q.07 みずぼうそうの影響
Q 妊娠15週でみずぼうそうにかかってしまい、高熱が続いています。胎児に影響はあるのでしょうか?
A
みずぼうそうのウイルスは風疹などの弱毒ウイルスと異なり、強毒ウイルスと呼ばれ、胎内感染が起こると流産につながります。
もし感染した場合でも、流産しなければ体内感染(胎児への感染)はありません。風疹に比べ、障害の発生率については、あまり心配する必要はありません。
しかし、成人のみずぼうそうはとても重く、胎内感染しなくても高熱自体が流産の原因になることもあります。もし、水分も取れないような状態が続いているのであれば、入院して点滴を受けた方がよいでしょう。すぐに病院で診察を受け、担当の医師の診断を仰いでください。
Q.08 風疹の影響
Q 周囲で風疹が流行っているようですが、私は風疹にかかった記憶がありません。もし、感染した場合のことを考えると、胎児への影響が心配です。
A
風疹は不顕性感染が多く、知らない間にかかっていた事も多いです。一方ワクチンの制度が変った端境期の人は免疫を持っていない人が多いので注意が必要です。いずれにしても妊娠初期の血液検査で調べる事になっており、その時点ではっきりします。
風疹の感染で胎児に影響を及ぼす時期は、妊娠3週〜20週までと言われています。その時期に感染すると、重度の障害や難聴などの障害が残る可能性があるため、保母さんや小学校低学年の先生など子どもと接触する機会の多い人は注意しましょう。
最近は子どもへの予防接種も普及してきているので、昔のような5〜6年に一度の大流行はなくなりましたが、散発的な発生は見られていますので、注意が必要です。
Q.09 予防接種の影響
Q 妊娠していることを知らず、上の子と一緒にインフルエンザの予防接種を受けてしまいました。ワクチンによる影響はあるのでしょうか?
A
インフルエンザに罹患するよりはワクチンの害の方がはるかに少ないです。リスクが高い場合はむしろワクチン接種が推奨されます。
Q.11 ジェットコースターの影響
Q 妊娠していることを知らずに、ジェットコースターに乗ってしまいました。その後、妊娠していることが判明したのですが、胎児に影響はあるのでしょうか?
A
心拍が確認され、その後も妊娠が続いているのであれば、特に影響はなかったものと考えられます。中にはストレスを発散する意味で、妊娠中でもジェットコースターに乗ってしまう妊婦さんもいるようですが、流早産の危険性があるので、妊娠中は避けた方がよいでしょう。
Q.12 渦巻き蚊取線香の影響
Q 部屋の中に蚊が入ってしまったため、つい蚊取線香をつけてしまいました。煙のにおいで気分が悪くなったのですが、胎児に影響はあるのでしょうか?

A
蚊取線香の煙は特に人体に害がないよう作られているので、煙を吸い込んでも問題ありません。ただし、蚊取線香をつけるときは、換気を十分に行うようにしてください。
妊娠中はにおいに敏感なので、気分が悪くなるようでしたら、使用を中止した方がよいでしょう。夏場は夕方以降になると蚊が大量に発生するため、網戸を閉めたり、ドアの出入りを少なくするように心がけ、室温調整はエアコンを上手に利用してください。
ただし、エアコンに直接当たるのは良くないので、この点を注意してください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
本記事では、血液型不適合を始め、妊娠中のX線検査、発熱や病気、薬が胎児に与える影響など、妊婦の皆さんが気になる“妊娠中のトラブル”にまつわる疑問点にお答えしました。
妊娠中は不安や心配がたくさんあると思います。妊娠中のトラブルについて事前に正しく理解をし、少しでも不安を解消してくださいね。
※本コンテンツの情報は専門医の監修の元、制作しておりますが、妊娠・出産・育児に関しては、個人差があります。心配な点や不明点は、必ずご自身のかかりつけの医師や専門家にご相談ください。
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