【1】麻酔はいつはじめるの?
計画分娩と自然分娩

そもそも無痛(和痛)分娩を行う際には、
■入院日を決めて陣痛促進剤を使って行う『計画無痛分娩/和痛分娩』
■自然陣痛と出産の進行に合わせて鎮痛を行う『自然無痛分娩/和痛分娩』
とがあります。
アメリカなどと違い、現在の日本では『計画無痛分娩(和痛分娩)』のみ行っている病院の方が多く、計画にくわえ『自然無痛分娩(和痛分娩)』も行っている病院はまだまだ少ないのが現状です。
麻酔のタイミングと名称

無痛分娩/和痛分娩の開始、つまり「硬膜外麻酔」や「脊髄くも膜下麻酔」で薬剤を投与開始するタイミングも病院により様々です。
いつ開始すればベストなのかは産婦人科医、麻酔科医の間でも議論されるところで、妊婦の状態、分娩の進行具合により状況が異なるので結論が出るものではないでしょう。
また無痛(和痛)を開始する麻酔投与のタイミングにより名称もさまざまで、
■子宮の入り口を柔らかくするような前処置のときから開始する場合を『完全無痛分娩』と呼ぶ病院。
■陣痛の途中から鎮痛を行う場合を『無痛分娩』と呼ぶ病院。
■子宮口が全開してから、痛みのピークを和らげる鎮痛を行う場合を『和痛分娩』と呼ぶ病院。
などがあります。
一般的な名称
一般的には子宮口が5センチ程度になり、妊婦さんがそれまできていた陣痛が我慢できなくなった時点で鎮痛を開始する分娩を『無痛分娩』という病院が多いようです。
一方で上に書いた和痛分娩と違い、麻酔などの医学的処置ではなく、出産スタイルや呼吸法などの環境要因により痛みをやわらげる分娩を『和痛分娩』と呼んでいる病院もあります。
ご自身のイメージしてる『無痛分娩/和痛分娩』と実際に行われている『無痛分娩/和痛分娩』が同じかどうか、必ず病院に確認すると良いでしょう。
【2】なるべく早く痛みを取らない理由
子宮収縮のためです

硬膜外麻酔や脊髄くも膜下麻酔から麻酔薬を投与すると、その量にもよりますが、子宮の収縮が弱くなったり、妊婦さんのいきむ力が弱くなることがあります。
結果、分娩時間が長くなる、吸引分娩が増える、という傾向が見られます。
その麻酔薬をどのタイミングでどれくらいの量入れるか、というのは出産の進行具合、陣痛の強さ、母体と胎児の状態、を考えながら調整していきます。
子宮の収縮は出産には必要不可欠な要素ですから、陣痛の途中までは麻酔を投与をひかえたり、出産の状況によっては麻酔薬を途中で減らしたりすることもあります。
【3】無痛分娩/和痛分娩ができる時間
病院によっては制限があります

24時間体制で無痛分娩をやっているところもあれば、夜間休日は行わずに日中のみ対応可能というところもあります。
また、無痛分娩の硬膜外麻酔、脊髄くも膜下麻酔は産婦人科医が行うこともありますし、麻酔科医が行うこともあり、それは病院により様々です。
自然陣痛での無痛を希望した場合は、「時間帯によっては出来なかった」ということもあるでしょう。
また、計画無痛分娩としたとしても、2人目以降のお産で進行が早いなどの状況により、「無痛を行わない or 行えなかった」ということもありえます。
【4】無痛分娩/和痛分娩に期待できるもの
あくまでも痛みをやわらげるもの

無痛(和痛)分娩のメリットは妊婦さんの陣痛という激しい痛みに対する出産のストレスを減らし、体力消耗が少なく、出産後の回復も早いという点があげられます。
ただ、場合によっては部分的にしか効かなかったり、あるいは麻酔効果が出産の進行に間に合わなかったり、ということもあります。
もちろん、計画していても様々の要因により無痛(和痛)分娩が行えないこともあります。
無痛(和痛)分娩といっても、完全に痛みを取るというわけではなくあくまでも痛みを和らげるものだという認識で臨むほうが陣痛が来たときにも余裕があるかもしれませんね。
【最後に】無痛分娩/和痛分娩のチェック項目
病院選びで確かめることは?

無痛(和痛)分娩を希望される場合、以下の項目を参考に病院に確認するとよいでしょう。
(1)無痛分娩を24時間体制か、日中のみまたは曜日限定で対応か。
(2)計画無痛分娩なのか、自然陣痛に対応した無痛分娩なのか。
(3)上記のどの方法を取っているのか?
(4)一般的にどのタイミングで痛み止めを開始することが多いのか(妊婦さんの状況によって異なるので明確な回答はないことが多いかもしれません)
(5)分娩件数の何割くらいが無痛分娩を行っているのか?
まとめ
いかがでしたか?
ひと口に無痛分娩/和痛分娩といっても、病院によりさまざまな方法と呼び方があります。
どの出産方法を選ぶにしても、ご自身の病院がどのような無痛分娩/和痛分娩を行っているのか、分娩前に誤解のないようにしておくことが一番だと思います。
安心して分娩できる病院が見つかるといいですね。
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