【1】危険なことをしようとしている時

子どもが危険を認識できるのが上手な叱り方

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子ども達は好奇心旺盛で時に大人がはっとしてしまうような危険な行動をしてしまうことがあります。

こういう場面ではとっさのことなのでまずは止めることを優先します。そして安全な場所に移動した時に、次からは危険なことをしないように叱ります。

上手に叱るにはどうしたら良いのでしょう。

答えの鍵は「子どもが危険を認識できる」のかどうかです。

参考画像にジャングルジムを載せましたので、公園で遊んでいて目を放した時にジャングルジムに子どもが1人で登ってしまっていた。という場面で考えてみましょう。

よく耳にする叱り方はこのような感じでしょうか?

「危ないでしょ!どうして勝手にするの!怪我しちゃったらどうするの!?」

同じようなことを言ったことがある人はきっと多いと思います。大人の視点で立つとこの叱り方には一見すると問題がなさそうに見えます。

では元保育士なりの模範解答(あくまで一つの例です)はこれです。

「1人で登ったら手が滑って落ちてしまうかもしれないね。落ちたら怪我をして○○も痛い思いをするしママ(パパ)も心配だから次は一緒にいる時にしようね」

子どもの危険を制止した後にこんな悠長なこと言えません!なんて意見も出てきそうですので、2つの言い方が具体的にどう違うのかを以下で解説します。

具体性と、子どもが危険を認識できる叱り方を!

2つの例文の違いは「具体性」と「子どもが危険を認識できる」かどうかにあります。

「危ないでしょ!どうして勝手にするの!怪我しちゃったらどうするの!?」という言葉の中に具体性は見つかりません。何をすることが危険で、それをすることでどうなってしまうかについて省略してしまっています。

「(1人で登ったら)危ないでしょ!どうして(何も言わずに)勝手にするの!怪我しちゃったらどうするの(あなたが痛いのでしょう)!?」と、この半括弧の中の大人が省略してしまう部分こそが、子どもを叱る時に大切な具体性なのです。

そして「子どもが危険を認識できる」為には具体性と共に、大人の感情がどうなってしまうのかを加えることが重要です。人間は社会的動物などと言われます。子どもは特にその影響が大きいので、周りの大人が悲しむことや、不安になることに敏感です。

あなたが怪我をしたら私は悲しい。という思いを叱る時に一緒に伝えることが実はとても大切なのです。

これらを踏まえてもう一度模範解答を見てみましょう。

「1人で登ったら手が滑って落ちてしまうかもしれないね。(具体性)落ちたら怪我をして○○も痛い思いをするしママ、パパも心配(感情の動き)だから次は一緒にいる時にしようね(次からはどうすれば良いのか)」

具体的な注意と、結果による感情の動き、本当はどういう行動をして欲しいのか。をしっかりと伝えているのが分かるかと思います。こうして比較するとどちらが子どもに伝わりやすい叱り方、上手な叱り方かは一目瞭然だと思います。

危険を知らせる時には「具体性」と「子どもが危険を認識できる」伝え方を意識するようにしましょうね。

【2】お友だちを傷つけてしまった時

自分の気持ち、お友だちの気持ちを考えられるのが上手な叱り方

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小さな子ども達は大人のように相手に上手く伝える言葉も持っていませんし、相手の気持ちを受け止める力というのもまだまだ発展途上です。

特に心理の発達では子どもは自己中心的存在であって、他の人にも感情があることを知るのは3歳を過ぎる頃と言われています。

次は、持っていた玩具をお友だちに取られてしまって、つい手が出てしまいお友だちを泣かせてしまった場面を想定して考えてみましょう。

自分の子どもの玩具を取ってしまった相手の子どもにも非があり、叩いて泣かせてしまった自分の子どもにもやはり悪い部分がある。保育園や公園などでも日常的に起こりうる場面ですが叱り方を悩むところですね。

答えの鍵は「自分の気持ちとお友だちの気持ちを考えられる」かどうかです。

ついつい言ってしまいがちなのはこのような形でしょうか。

「叩いたらダメでしょう?返してって言えばいいじゃない!ほら、泣いちゃってるからゴメンねして!」

返してと言えばトラブルを回避できたという具体性も含まれていて、一見して問題がないように見えますが、これもなかなか子どもに伝わりにくい叱り方になってしまっています。

では元保育士なりの模範解答(何度も言いますがあくまで1つの例)です。

「玩具取られて嫌な気持ちだったんだね。次は返しってって言うようにしようね。○○ちゃんも玩具使いたかったのに使えなくて悲しかったんじゃないかな。叩かれたら痛いから、叩いちゃってゴメンねしようか」

なんだか回りくどく感じます。なんて意見も聞こえてきそうなので詳しく解説していきます。

子どもの気持ちを受容し、相手の気持ちを代弁する

最初に触れたように子どもは自己中心的な存在です。良くも悪くも自分が一番なのです。

そしてそんな子どもにとって自分と同じくらい大切なものがママやパパになります。ママやパパに認めてもらうことこそが子どもにとっての自分と言う存在の一番の肯定になります。

難しく説明しましたが、子どもは「大好きなママやパパは最初に僕(私)の気持ちに寄り添って!」と思っているのです。

トラブルの際に大事なのは「子どもの気持ちを認めてあげること(受容すること)」、「相手の気持ちを伝えてあげること(代弁)」になります。

「叩いたらダメでしょう?返してって言えばいいじゃない!ほら、泣いちゃってるからゴメンねして!」この文では自分の子どもの気持ちに触れていませんね。子どもはその時点で自分は認められていないと感じてしまいます。

そして「泣いている」から「ゴメンねする(謝る)」というのは子どもの中ではつながりにくいです。何故ならただでさえ自分が中心で気付きにくいのに、相手の感情が分からないからです。

こうした失敗もやはり大人の視点だからこそ、この場面で言えば更に第三者として一部始終を見ていた為に、どちらにも非があったことを知っているから起こるものだと思います。

子どもを叱る時に共通して大切なのは大人の常識や価値観で、言葉を省略しないことに尽きるように思います。

では言葉を省略せず「子どもの気持ちを認めてあげること(受容すること)」、「相手の気持ちを伝えてあげること(代弁)」に着目しながら模範解答を見てみましょう。

「玩具取られて嫌な気持ちだったんだね。(受容)次は返しってって言うようにしようね。○○ちゃんも玩具使いたかったのに使えなくて悲しかったんじゃないかな。叩かれたら痛いから(代弁)、叩いちゃってゴメンねしようか」

最初に子どもの気持ちに寄り添い認めた上で、相手の気持ちがどうなっているのかを伝えています。

そして「泣いている」から「謝る」のではなく、「叩いてしまったことで自分と同じ悲しい気持ちにさせてしまった」から「謝る」ように具体的に相手の気持ちを伝えています

お友だちとのトラブルの際には「子どもの気持ちを認めてあげること(受容すること)」、「相手の気持ちを伝えてあげること(代弁)」を意識して叱るようにしましょう。

【3】おうちでわがままを言っている時

わがままの奥の気持ちに寄り添えるのが上手な叱り方

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最後は保育士とパパ、ママとで意見が分かれそうなこちらの場面、おうちでのわがままを言っている時の上手な叱り方についてです。

やっぱりパパ、ママからしたらお利口にしてくれていると助かりますし可愛いですね。

もちろんたまにのわがままであれば可愛いのだと思いますが、それが日常茶飯事になってくると感情的になるのも仕方のないことの様に思います。親も人間ですからね。

立場の違いもありますので、この場面に関しては筆者の思う上手な叱り方のコツを上げるに留めようと思います。

子どものわがままに対しての上手な叱り方の鍵は「わがままの奥の気持ちに寄り添える」かどうかに尽きると思っています。

子どものわがままには2種類あります。面識の無い人を試す為の「試し行動」と呼ばれるわがままと、情緒が不安定であったり、子どもなりに理由があり信頼関係のある人のみに行うわがままです。

家族へのわがままであれば2つ目のわがままであることがほとんどなのではないでしょうか。

何かしらストレスのかかることがあったり、それを上手く伝える手段が見つからずにわがままをしてしまう、言ってしまう。

つまり、何かしらのメッセージが子どものわがままにはあるのだと思います。もし理由に心当たりがあれば、「こういう気持ちなんだよね分かるよ」と認めてあげましょう。

もし心当たりがなくても子どもを責めたり、気付いて上げられなかった自分を責める必要はありません。

「どうして嫌な気持ちになったの?あの時かな?この時かな?」と丁寧に聞いてあげてください。もしかしたら理由が判明しないこともあります。理由がない漠然とした不安かもしれません。その場合でも寄り添ってもらえるという事実が子どもを励まします。

わがままへの叱り方は、「子どもの気持ちに寄り添い」そして「今度はこうして欲しい」と伝えることが大切です。

まとめ

日常的に起こりそうな子どもを叱らなくてはならない3つの事例「危険なことをしようとしている時」、「お友だちを傷つけてしまった時」、「おうちでわがままを言っている時」について叱り方の例を比較する形で紹介していきました。

どれにも共通して大切なのは、子ども達にとって一番大切なパパ、ママが自分の気持ちに寄り添っていることを伝えることにあると思います。その上で言葉を省略せずに具体的に、時には相手の気持ちを代弁して伝えてあげるようにしてください。

最後に保育士の会話によく出る余談を。

「怒るのは心がついている感情的なダメな伝え方。叱るのは心を抑えて口で伝える良い伝え方。怒らずに叱ることが大事」

楽しい子育てをするなら是非、怒るよりも叱る方が多い伝え方をしていきましょう。

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