「叱る」と「怒る」の違い
あなたは子どもを叱っている?それとも子どもに怒っている?

子どもに注意をする時に「叱る」という言葉と「怒る」という言葉がありますよね。なんだか似ている表現で、大人はニュアンスの違いをなんとなく使い分けていますが、実は子どももこのニュアンスを察して使い分けをしていることがあります。
例えば、学校や保育園などで先生に注意をされた時には「今日、先生に叱られちゃった…」と報告をするのに、パパママに注意をされると「パパ(ママ)に怒られた…」と伝えてきたりします。この違いはどこから来ているのでしょうか?
辞書で2つの言葉について調べてみると、同じ表現として「よくない言動に対して注意を行うこと」という意味が出てきます。同じ意味を持つ言葉なのにどうしてニュアンスの違いを感じてしまうのでしょうか?その答えは「怒る」だけが持つもう1つの意味にあったのです。
違いは感情的かどうか
怒るに含まれたもう一つの意味は「不満や不快な思いをして腹が立っている状態」とありました。つまり、怒るには感情的になっているというニュアンスが含まれていたのです。もしかしたら子ども達は幼いながらにパパママが感情的になって怒っていることを察しているのかもしれませんよ?
このことからも、上手に「叱る」には感情的にならないことが大切なのだと分かりますね。保育士もよく「感情的になるのは良くない怒り方、感情を抑えて伝えるのが良い叱り方」なんて教訓を教わります。
でも、大切な子どもが危険な行為をしていたり、望ましくない言葉を言ったりしたらついつい感情的になってしまいがちですよね。そこでここからは、感情的に怒ってしまうのをこらえて上手に叱るコツについて3つ紹介していきます。
具体的な一言で止める!
子どもの望ましくない言動を止める

子どもが何かをしてしまい、叱る時には「子どもが望ましくない言動をする」→「子どもの言動を止める」、→「子どもを叱る」という具合になりますね。今回のメインテーマは叱り方ですが、上手に叱る人は子どもの望ましくない言動を止めることも上手なことが多いのです。
子どもが危険なことをしている。子どもが友だちに嫌な事をしている。子どもがご近所さんに失礼な言葉を言った。さあ、止める時に一言を選ぶなら何にしますか?
多くの人が「やめなさい!!」を想像し、これまでにその一言で静止した経験があるのではないでしょうか?でも、子どもにとって「やめなさい!」はあまり効果的な止め方とは言えません。
子どもの行動を止める時は短く一言で具体的に
なぜかというと、「何を」やめればいいのか分かりにくいからです。別記事として「よくある場面で使える子どものしつけ、叱り方」でも触れましたが、子どもを叱る時には具体性がとても大切になります。それは幼い子どもほど、まだ抽象的な概念が発達していないことからも特に重要となります。
高い場所でふざけていたら「降りてきなさい!」、友だちにボールを当ててていたら「投げるのをやめなさい!」、ご近所さんに失礼なことを言ったら「そんな言葉言うんじゃありません!」など、具体的に子どもが何を止めれば良いのかを伝えます。
もし、一言でとっさに具体的な言葉が思い浮かばなければ「〇〇を止めなさい!」と、具体的な言動を付け加えると良いでしょう。
言葉を出す前に2回深呼吸!
叱る前には落ち着くための深呼吸を

子どもの望ましくない言動を止めることができたら、叱る際にはなるべく2人きりになって叱ることができるような環境を作りましょう。
この時に大切なのは、自分が感情的になっている状態を認知して、怒ろうとする自分を落ち着かせることです。「アンガーマネジメント」と呼ばれる心理学の言葉を聞いたことがあるでしょうか?直訳すると「怒っている状態を管理すること」となります。
そのアンガーマネジメントの中では、怒りなどの突発的な感情は6秒を過ぎると落ち着き始めるという考えがあります。なので、深呼吸を2回ほどゆっくりと行ってから叱る言葉を選ぶようにします。深呼吸自体にリラックス効果がありますし、2回の深呼吸で怒りのピークである6秒が過ぎているのでより落ち着くことができるでしょう。
子どもの気持ちに寄り添いながら叱る!
子どもと同じ目線で

子どもの望ましくない行動を止めて、自分の感情も抑えることができました。いよいよ「叱る」ことになるわけですが、この時にポイントを1つ。叱る時にはなるべく子どもと目線の高さを合わせることが大切です。
子どもは小さいので、そのまま叱ろうとすると自然と上からの目線になってしまいますよね。人間は本能的に自分より大きなものには恐怖を抱きやすくなっています。
子どもを叱る時というのは、子どもに自分の言葉を聞いて欲しい場面です。そうした場面では、しゃがんだりして子どもと同じ目線の高さになるようにして話をするようにすると、子どもは言葉を素直に飲み込むことができやすくなります。
伝えたいことは「具体的に」言葉にして大人の尺度で省略をしないようにしましょう。その後で「どういう行動が望ましいか」を伝えてあげるようにします。
高台の様な場所でふざけていたとしたら、「あんな高い所に登ってふざけていたら、足を滑らせて落ちちゃったかもしれないでしょ?そしたら〇〇が怪我をして嫌な思いをするし、ママもとても心配だからもう高い所でふざけたりするのは止めてね」のように具体的に伝えます。
子どもが気持ちを伝えようとした時には遮らない
そうして話をしている内に子どもが「だって〇〇だったんだもん…」と、気持ちを伝えようとすることがあると思いますが、怒っている時には「だってじゃありません!」と言ってしまいがち。どうして危ないことをしていたか、子どもの気持ちを理解してあげることも「上手に叱る」上で大切な事です。
その理由はもしかしたら「楽しそうだったから…」、「友だちがしていたから…」のように大人の常識では理由にならないものもあるでしょう。もしかしたら、そうした理由が多いかもしれません。大人にとっては言い訳に聞こえてしまうことも、子どもにとっては理由であることがあるのだと頭の隅に置いておいてもらえると良いかなと思います。
子どもの気持ちに「そうだね楽しそうだったんだね」と寄り添いながら、それでも危険であること、望ましくないことがあるのだと伝えるようにしましょう。
まとめ
上手に叱ることができる人は、子どもの気持ちに寄り添いながら自分の感情をコントロールして具体的に伝えることが出来る人です。
自分の大切な子どもだからこそ、感情が先立ってしまうこともあるでしょう。でもそこは、ぐっと我慢をして、深呼吸をしましょう。感情的に怒っていた時には気付けなかった、子どもなりの理由や感情に気づくことが出来るかもしれません。
そうしたことも含めて、冷静に子どもに伝えることができた時には「叱り上手なママ」になっているはずですよ。
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