子どもが眠くなる秘密その1:計算しつくされた心理学マジック
心理学者の作者による眠りにつくためだけのシンプル・ストーリー

この絵本の作者カール=ヨハン・エリーン氏はスウェーデン生まれの心理学専門家であり、リーダシップや自己啓発のアドバイザーでもあります。
その作者が、心理学の知識を駆使して、まさに「子どもを寝かしつけるためだけ」に書いたのがこの絵本「おやすみロジャー」なのです。
原題「The Rabbit Who Wants To Fall Asleep(眠りにつきたいウサギ)」(ド直球!)の副題として、「A New Way of Getting Children to Sleep(子どもを寝かしつける新しい方法)」とあるとおり、ふつうの絵本というよりは、自己啓発本のトーンに近い雰囲気の本でもあります。
ストーリーはいたってシンプルで、ウサギのロジャーがおかあさんウサギといっしょに、眠りにつく旅にでかけるというもの。
途中でカタツムリやフクロウ、あくびおじさんと出会って、魔法をかけてもらったりします。
絵が少なく、文章もかなり長いので(これには後述するように、寝かしつけにはグッドポイントでもあります)「絵本」として子どもに見せながらの読み聞かせには、むしろ向いていません。
寝室を少し暗くして、ママ・パパが耳元で優しく語りかけるように読んであげるのに向いているでしょう。
じつはこの本、元々はスウェーデンの作者サイトで無料公開していたのですが、ママ・パパたちの口コミが口コミを呼んで、自費出版したところAmazonで大ヒットしたという経緯があります。
つまり、その効果はたくさんのママ・パパたちのお墨付きというわけです。
以下、そんな「おやすみロジャー」の秘密をもう少しくわしく見ていきましょう。
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子どもが眠くなる秘密その2:あくびマジック
いたるところに隠された自己暗示法と自律法でぐっすり眠りに誘う

この絵本を開いてまずはじめに気づくのは、読み聞かせをする人への指示が書いてあることです。
たとえば、読み手がわざとあくびをするところが指示してあったり、とくにゆっくり読む、強調して読むなどアドバイスが示してあったりします。
主人公のロジャーの旅を見まもる存在として、お子さんの名前を入れて語るところも多くあり、子どもたちが自然に物語に感情移入できるように工夫がこらされています。
ロジャーの物語りのいたるところに隠されているのが、自己暗示と自律法の学術的に確立された手法です。
たとえば、繰り返しによるゆっくりとした語りかけや、子どもにとってリアルな遊びの内容を取り入れ、「もう疲れちゃった」ことを何度も繰り返して語ります。
そこで、あくびを織りまぜることによって聞き手は本当に充実した気分になって、眠くなってしまうんです(実際、筆者は声にだして読んでいるだけで眠くなってしまいました)。
それ以外にも、物語りの中でロジャーが出会う「うとうとフクロウ」は、体の力を抜いて眠りにすうっとつく方法をさりげなく教えてくれます。じつはこれも、自律訓練法と呼ばれる手法なんだそうです。
まさに、子どもが眠りにつくためだけに計算されつくした読み聞かせ絵本といえますね。
子どもが眠くなる秘密その3:繰り返しの言葉マジック
ゆっくり、ゆったり。ゆーらゆら、ゆーらゆら…

「おやすみロジャー」には繰り返しの言葉がたいへん多くでてきます。
ゆっくり、ゆったり、ゆらゆら。そんな、聞いているだけで眠くなりそうな言葉が優しいリズムで語られます。
じつは、これも色々なセラピーや催眠療法で取り入れられているメソッドなんですね。
心地のよい言葉を繰り返し聞くことで、子どものみならず大人も深いリラクゼーションを得られることができます。
「おやすみロジャー」のレビューに、「読み聞かせしている親まで眠くなってしまった」という感想が少なくないことも納得です。
また、「おやすみロジャー」は絵本と銘打たれていますが、見せるのではなく「声」による読み聞かせが主な目的です。
感覚を耳だけに集中させて研ぎ澄ませることによって、子どもの空想力はより高まり、夢の世界へと誘われます。
どちらかといえば、ストーリーに起伏がなく、長い物語ではありますが、眠りにつくにはそれがふさわしいのでしょう。
邦訳出版元の公式サイトでも、お子さんは絵本を見るのではなく横になってただ聞いていることと、深いリラクゼーションのために眠りについた後もしばらく読み聞かせを続けることが推奨されています。
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まとめ
いかがですか?この「おやすみロジャー」、筆者は絵本というより、プロフェッショナルな心理学的要素がいたるところに施された眠りの実践本という印象を受けました。
お子さんの寝かしつけにはもちろん、大人のリラクゼーションや安眠導入にも効果がありそうです。
もちろんすべての読者に眠りが保証されているわけではなく、人によって効果は違うでしょう。
でも、夜な夜なお子さんの寝かしつけでおこまりの場合は、試してみる価値ありかもしれません!?
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