SIDS(乳幼児突然死症候群)とは?

年間60名の赤ちゃんが亡くなる

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乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome 以下、SIDSと表記)は、最近ではよく知られた病気です。

SIDSの定義を「それまでの健康状態および既往歴からその死亡が予測できず、しかも死亡状況調査および解剖検査によっても原因が同定されない、原則として1歳未満児に突然の死をもたらした症候群」としています。

平成30年度の国内では60名の赤ちゃんがSIDSで亡くなっていて、乳児期の死亡原因の第4位となっています。その原因は不明で、窒息などの事故ではありません。確実な予防や治療方法はわかっていませんが、睡眠中に起こる無呼吸との関連があるとされています。

生まれてまもない赤ちゃんは呼吸中枢が未熟で、無呼吸が見られることはめずらしくありません。通常は無呼吸がおこっても自然に呼吸が再開されるのですが、SIDSではなんらかの要因で無呼吸からの覚醒反応が遅れてしまい死に至ると考えられています。

SIDSで亡くなる赤ちゃんのほとんどは生後2ヶ月~6ヶ月未満で、12月以降の冬に増加することが知られています。

SIDS(乳幼児突然死症候群)の発症率を低くする3つのポイント

発症の原因は不明だが

SIDSの直接の原因は明らかになっていません。そのため絶対に予防できるという方法はありませんが、育児環境を整えることがSIDSの発症率を低くすることがわかっています。

厚生労働省がSIDS予防のポイントして挙げているのは以下の3つです。

①1歳になるまでは、寝かせるときはあおむけに寝かせましょう

うつぶせ寝にくらべて、あおむけ寝はSIDSの発症リスクを減らせることがわかっています。医学的な理由でうつ伏せ寝をすすめられている場合でなければ、赤ちゃんの顔がよく見えるあおむけで寝かせましょう。

②できるだけ母乳で育てましょう

母乳で育てられている赤ちゃんは、人工乳で育っている赤ちゃんにくらべてSIDSの発症率が低いことがわかっています。SIDSの発症リスクを下げること以外にも、母乳は赤ちゃんにとって良いことが知られています。

注意したいのは、人工乳がSIDSの発症リスクを高めるものではないということ。人工乳育児でも元気に育っている赤ちゃんはたくさんいます。母乳を与えることができない場合や、赤ちゃんの体重の増加が少ない時などは必要に応じて人工乳を利用しましょう。

③たばこはやめましょう

たばこはSIDSを引き起こす大きな危険因子です両親がたばこを吸う場合は、そうではない場合にくらべて発症リスクが約5倍になるという報告もあります。

近年では、たばこに含まれる有害物質が衣服や家具に付着し、それを吸い込むことによって起こる3次喫煙(サードハンドスモーク)も問題になっています。

加熱式たばこ・電子たばこについては、従来の紙たばこにくらべてタールの発生が少ないとされていますが、健康への影響がないものではありません。たばこは赤ちゃんのそばで吸わないことはもちろん、身近な人にも理解と協力を求め、SIDSから赤ちゃんを守りましょう。

SIDS(乳幼児突然死症候群)にならないためにどうしたらいいの?

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SIDSは睡眠時に発症することが多いとされています。睡眠時の環境を整えることを中心に、ご家庭での注意点についてご紹介します。

①赤ちゃんをひとりにしないこと

これはSIDSだけでなく、不慮の事故や窒息などのリスクを減らします。保護者の目の届く範囲で、同じ空間にいるようにしましょう

② 赤ちゃんを温めすぎない

室内の温めすぎや着せすぎ、過剰な掛け物で赤ちゃんが高体温になってしまうことでSIDSの発症リスクが高くなるとされています。

③ 硬めのマットレスや敷布団に寝かせる ④親と同じ部屋で、添い寝はなるべく避けて寝る

添い寝をすることで大人の枕や布団が赤ちゃんの顔をおおってしまったり、上のお子さんが寝返りをして上にかぶさってしまうリスクがあります。

しかし、住宅環境や家庭の事情によっては添い寝せざるを得ない方もいらっしゃいます。赤ちゃんを挟むように寝ないことや、子ども用布団を用意するなど工夫が必要です。

⑤赤ちゃんを寝かせる場所に何も置かない

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赤ちゃんの周りに、おもちゃやぬいぐるみなどは置かないようにしましょう。

⑥おしゃぶりについて

寝付く時のおしゃぶりはSIDSの発生リスクを下げる効果があるようです。一方で母乳育児の妨げになるといった意見や、長期的な使用は歯並びへの影響もあるとされていますので使用については、メリットデメリットを知ったうえで判断しましょう。

⑦ベビーモニターやセンサーについて

無呼吸センサーやベビーモニターは、SIDSを予防するものではありません。不安が強くて夜も十分に寝られないという保護者の方には、産院や小児科の医師と相談のうえで使用を検討してもよいかもしれません。

大切なのはモニターだけでなく家族みんなで、赤ちゃんの様子を見守り、緊急時に対応できるよう備えておくことです。

まとめ

SIDSから赤ちゃんを守るためには、家族みんなで病気を正しく理解し予防に努めることが大切です。発症率を低くする3つのポイントを柱に、必要以上にSIDSを恐れずご家庭に合わせた対策を行っていただきたいと思います。

子育ては心配や不安の連続ですが、同時に我が子というかけがえのない存在は人生の大きな喜びでもあります。子育てに完璧や正解はありませんが、この記事がみなさんの抱える不安を少しでも解消できれば幸いです。

(筆者:保健師、看護師、助産師・新生児心肺蘇生法インストラクター資格保有、産婦人科勤務で乳幼児突然死症候群について指導経験あり)

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