SIDS(乳幼児突然死症候群)はどんな症状が出る?
乳児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome 以下、SIDSと表記)は、それまで健康だった1歳未満の赤ちゃんが睡眠中に突然亡くなってしまう病気です。
その原因は不明で、窒息などの事故ではありません。確実な予防や治療方法はわかっていませんが、睡眠中に起こる無呼吸との関連があるとされています。
生まれてまもない赤ちゃんは呼吸中枢が未熟で、無呼吸が見られることはめずらしくありません。
通常は無呼吸がおこっても自然に呼吸が再開されるのですが、SIDSではなんらかの要因で無呼吸からの覚醒反応が遅れてしまい死に至ると考えられています。
SIDSで亡くなる赤ちゃんのほとんどは生後2ヶ月~6ヶ月未満ですが、その時期を過ぎても1歳頃までは注意が必要です。
SIDS(乳幼児突然死症候群)気を付けるポイントとは?
SIDS予防の3つのポイント

厚生労働省はSIDS予防のために、
①あおむけで寝かせること
②母乳をあたえること
③たばこを吸わないこと
の3点を推奨しています。
首がすわり、寝返りができるようになるとうつぶせを好んでする赤ちゃんもいます。個人差はありますが生後4ヶ月頃から寝返りをしはじめ生後7ヶ月頃には自由に寝返りを打てるようになります。
赤ちゃんがしっかり起きていて保護者が見守れる状況であれば、うつぶせ・腹這いでも問題ありません。
ただし、うつぶせの状態のまま赤ちゃんのそばを離れたり、寝かしつけるのはやめましょう。
自由に寝返りができるようになり(あおむけ→うつぶせ、うつぶせ→あおむけ、両方の寝返りができる状態)、寝ている間に自然とうつぶせ寝になってしまうことに関しては、そこまで神経質になることはありません。
睡眠時の安全な環境が整っていることが前提です。(硬いマットレスの上で寝ている、周りに枕や毛布がないことなど)寝返り防止のためのクッションの使用は、窒息のリスクとなるため使用は避けましょう。
気を付けたい4つのポイント
その他にも、SIDSの発症リスクを下げるためにできることを紹介します。
①赤ちゃんをひとりにしないこと
これはSIDSだけでなく、不慮の事故や窒息などのリスクを減らします。保護者の目の届く範囲で、同じ空間にいるようにしましょう。
② 赤ちゃんを温めすぎない
室内の温めすぎや着せすぎで赤ちゃんが高体温になってしまうことはSIDSの発症リスクを高めます。
寒い冬の時期にはSIDSの発症率が増える傾向にあります。これは暖房器具の使用や厚着などのため、赤ちゃんが高体温になってしまいやすいことや、呼吸器感染症が多いことが原因と考えられています。
③ 親と同じ部屋で添い寝はなるべく避けて寝る
添い寝をすることで大人の枕や布団が赤ちゃんの顔をおおってしまったり、上のお子さんが上にかぶさってしまうリスクがあります。
④赤ちゃんを寝かせる場所に何も置かない
赤ちゃんの周りに、おもちゃやぬいぐるみなどは置かないようにしましょう。
赤ちゃんが呼吸をしていないことに気がついたら?
どれだけ愛情を持って子育てをしていても、SIDSに限らずさまざまな病気や事故でお子さんの命に危険がせまることはあります。
赤ちゃんの様子が何かおかしい・呼吸をしていないなどの異常を発見した際は、大人の時と同様に救命処置を行います。
①安全を確認する
周囲に危険なものはないか。安全な場所であるか確認を行います。
②反応を確認する
安全が確保できたら、赤ちゃんの反応をみます。呼びかけながら、乳児では足の裏を刺激します。目を開けたり、泣くなどの反応がなければ次のステップへすすみます。
③大声で協力を求める、救急車・AEDを手配する
大声を出して人を呼びます。協力者がいる場合は、救急車の手配やAEDの手配を依頼します。
一人で対応しなくてはならない場合は、心肺蘇生を始める前に119番通報をします。その場合はスマートフォンや携帯電話のハンズフリー機能を使って、両手が使えるようにしましょう。
④呼吸の確認
胸やお腹の動きをみる、触るなどして呼吸を確認します。していない、普段の呼吸と同じかわからない、判断に10秒以上かかってしまう場合は心停止とみなして蘇生を始めます。
⑤胸骨圧迫
圧迫の位置は、両乳頭を結ぶ線の少し足側を目安とした胸骨の下半分です。指2本を用いて1分間に100回の速いテンポで圧迫します。胸の厚さの約3分の1が沈む程度に、強く速く絶え間なく行います。
⑥人工呼吸
人工呼吸は胸骨圧迫を30回連続して行ったあとに、2回行います。胸骨圧迫→人工呼吸→胸骨圧迫→人工呼吸と救急隊やAEDがくるまで行います。
人工呼吸を始める前に赤ちゃんの頭を後ろへ倒し(後屈)、顎先を少しあげて気道確保を行います。極端に頭を後屈させるとかえって空気の通り道を塞ぐことになりますので気を付けましょう。この際に口の中に異物が見える場合は取り除きます。
一般的な口対口の人工呼吸ではなく、救助者は大きく開いた口で赤ちゃんの口と鼻を一緒に覆い密着させて人工呼吸を行います。(口対口鼻人工呼吸)胸がしっかり上に上がるように、1回1秒かけて行います。
まとめ
SIDSは元気だった1歳未満の赤ちゃんが、突然亡くなってしまうというとても悲しい病気です。
確実な予防方法はわかっていませんが、安全な育児環境を整えることで発生リスクは下げられます。
予期せぬ事態が起きてしまった時に「知らなかった、あのときこうしていればよかった」と後悔しないために、SIDSの発症リスクを下げるための正しい知識を持ち救命処置について学ぶことはとても大切です。
必要以上に病気や事故を恐れず、子どもたちの健やかな成長と未来のためにご家庭でできることを少しずつ積み重ねていきましょう。
・表示価格は、改正前の消費税率で掲載されている場合があります。ご了承ください。