幼児期のムシ歯の疑問Q&A
ムシ歯はママやパパからうつる?

ムシ歯はお口の中の「常在菌」が食べ物の糖質を分解する際に出す「酸」によって溶かされたものです。産まれたばかりの赤ちゃんは無菌状態で生まれてきます。
ムシ歯になりやすさは遺伝するのではありません。パパやママが持っているお口の「常在菌」が食事の際のスプーンなどから移ることにより、ムシ歯ができる環境になるということです。
確かに、ムシ歯になりやすい歯並びだったり、歯の質、唾液の性質などの遺伝的な要素もあります。そこに、家庭での食事や飲み物の与え方、歯みがきなどの生活習慣など、「育つ環境」に左右されることが多いのです。
妊娠中から、お口のケアを心掛けて、生活習慣を整えておきましょう!
添い乳はムシ歯になる?
母乳が直接的にムシ歯の原因になるとは言えません。では「添い乳はムシ歯になる」と言われる理由は何でしょう。
寝ている間は、唾液の分泌量が極端に少なくなります。そのため、ムシ歯の原因菌が活発に活動し、ムシ歯になりやすい時間です。
添い乳しているお子さんは、寝付くためにおっぱいを飲んでそのまま寝てしまうので、お口の中を清掃しないままになっています。
そのようなことから、添い乳することがムシ歯になるリスクを高めている要因になっているかもしれません。同じように、哺乳瓶で牛乳や清涼飲料水を飲んで寝るようなクセを付けないようにしましょう!
フッ素はいつから必要?
フッ素は、生えて間もない質の弱い歯に、定期的に塗布することで歯の質を強くし、ムシ歯になりにくい歯の質にする効果があるとされています。
乳前歯が生えてきたら塗布が可能となります。歯科医院で塗布されている濃度は3~4ヶ月に1度の定期的な塗布によって効果があがります。
塗布の方法や間隔、料金などは歯科医院によって違いますので、フッ素塗布希望の場合は確認して受診されることをおすすめします。
幼児期の歯みがきの疑問Q&A
歯みがき剤は使う?いつから?
歯みがきはブラシを使って汚れを落とすことが一番!歯みがき粉を付けると、泡がたつので長い時間磨くことができにくくなります。また、お口の中が泡で見づらいので、仕上げみがきもしにくいです。
特に乳幼児期は付けずに磨いたほうがよいでしょう。もし付けるとしたら、歯みがき粉は「補助具」として考えていただいたほうがよいと思います。
歯磨剤の中には、研磨剤、潤滑剤、発泡剤、香料、甘味料、フッ化物などが含まれています。通常使用量であれば、飲み込んでも心配はいりませんが、目安としては、「ブクブクうがい」ができるようになってからが良いと思います。
仕上げみがきのハブラシは何がおすすめ?

最近ではドラッグストアや乳幼児用品店などで、たくさんのオーラルケア商品が並んでいます。各社さまざまな特徴で売り出しポイントが違いますが、歯科衛生士の私がおすすめするのは「ライオン EX kodomo」シリーズです!
【特徴その1】お子さんの歯列の状態に合わせて選ぶことができます。
対象が乳幼児、小学校低学年、高学年とタイプ分けされています。乳幼児期は本人用と保護者の仕上げみがき用とに分かれ、それぞれ特性を活かした作りになっています。【特徴その2】毛の方さはソフトタイプとミディアムタイプの2種類
お子さんが毛先の刺激を嫌がったり、歯肉炎などでソフトタッチが良いときはS、しっかり磨きたいとき、仕上げみがき用はMと、使い分けできます。【特徴その3】同じ乳幼児用でも用途によって形状に差が!
乳幼児本人用はハンドルがしっかり握れるように太めで、安全面からネック部は短めです。仕上げみがき用はネックが長めでヘッドが小さめ。お子さんの小さなお口に届きやすいように設計されています。基本的に、歯みがきは、毛先をどう歯面に当てるか、どう動かすかがカギ。毛先の加工や、ハンドルやネック部の角度などの加工は、逆に歯面に当てにくいこともあります。
ハンドルとネック部はストレートで握りやすく、毛先はラウンドカット、ヘッドの小さいものを選びましょう!
この商品の基本情報
*参考価格¥990(4本セット)口コミ


幼児期の歯並びの疑問Q&A
歯並びのいい子にするには?

歯並びやかみ合わせが悪くなる要因は4つあります。
・乳歯を早期に喪失してしまい、永久歯の生えるスペースが無くなることによるもの。
・歯と顎の大きさとのバランスがうまくいかないこと。
・出っ歯や受け口など、骨格的な問題。
・指しゃぶりや口呼吸などの「クセ」が要因となるもの。
生まれつきの骨格や遺伝等は難しいこともありますが、防ぐことのできる要因は、早めに対処していくことで改善が見られることもあります。
最近では、乳歯の時期から簡単な装置を利用しながら治す場合もあります。最良のタイミングで治療ができるように、かかりつけの小児歯科専門医に相談したり、定期的に経過を見てもらえるようにしましょう。
おしゃぶりは歯並びに影響する?
おしゃぶりは本来、泣いている赤ちゃんを安心させるための代用品。歯が生える前の、「吸う」ことが自然な乳児期には、機能や形態に問題は生じません。
離乳が完了してくる時期には、お口の中の形状も「吸う」形から「かむ」形へと骨格が変化します。おしゃぶりを継続して使用していると、歯並びやかみ合わせに悪影響を及ぼすことがあります。また、唇の閉じ方や舌の使い方に問題が生じやすくなります。
使い始めるときから依存した使い方ではなく、泣き止んだら外したり寝付くときだけ使うなど工夫して上手に利用しましょう。
幼児期のお口に関する疑問Q&A
歯が足りないって言われたけどどうしたらいい?
歯が足りないという場合には、2通り考えられます。一つ目は「先天欠如(せんてんけつじょ)」と言って、生まれつき歯の本数が少ない場合。二つ目は「癒合歯(ゆごうし)」と言って、本来2本で生えるべき歯が1本に癒合して生えてくる場合です。
乳歯がこのような場合だからといって、永久歯もそうだとは限りません。レントゲンを撮影できる年齢になったら永久歯の本数も確認できますので、乳歯の間は様子を見ていきます。
癒合歯の際に、2本のくっついた部分が溝状になっている場合、汚れが溜まりやすいので歯みがきで気を付けて行きましょう。歯科医院によっては、溝を浅くする処置をしてくれることもあります。
上唇の裏側の筋が長くてすきっ歯なのは大丈夫?
上唇の裏側にある筋のことを「上唇小帯(じょうしんしょうたい)」といいます。乳幼児はこの筋の引っ張りが強いことが多く、真ん中の歯と歯の間に隙間があることが多いです。特に問題はなく、顎の成長とともに短くなり、前歯も自然に閉じることが多いです。
永久歯になっても筋が強く、歯並びに影響している場合には切除する場合もあります。また、乳幼児期は転倒した際にこの筋をぶつけて切れることも多く、その際にちょうど良い長さになることもあります。
気を付けるのは歯みがきのとき。この筋には神経が通っていて、ハブラシの毛先が当たると痛がって歯みがきを嫌がるようになってしまいがち。筋に当たらないように指で排除するなど工夫して磨くようにしましょう。
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※夜間休日、お子さまの健康状態に心配なことがある場合や受診の目安に迷った場合は子ども医療電話相談♯8000に相談をおすすめします。
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まとめ
子どもの成長とともに、お口の中も日々変化します。これまで小児歯科の現場で、お口の疑問やムシ歯のこと、歯みがきの方法や歯並びのことなど、たくさんの質問を受けてきました。
今回ご紹介したQ&Aは、現場でよく質問を受ける内容ばかりです。一般的な答えを書いていますが個人差があり、これが正解ということばかりではないのです。不安や悩みを感じたら、まずはかかりつけの小児専門医に相談されることをおすすめします!
・表示価格は、改正前の消費税率で掲載されている場合があります。ご了承ください。