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言葉かけ ~ささいな事を大切に~
その時感じたことや、赤ちゃんが思っているであろうことを言葉にして伝えましょう。

赤ちゃんとのコミュニケーションを考えたときに、何をどうすれば良いのかが分からない!なんて悩みを持った人も少なくはないと思います。
赤ちゃんは言葉で自分の気持ちや、してほしいこと、嫌なことを伝えることができないのが大きな理由なのではないかと考えています。
では、言葉を持たないから言葉をかけなくていいのか、と言うとそれは間違いなく良くありません。例え意味が伝わらなくても赤ちゃんの目を見て、言葉をかけることにはちゃんと意味があるのです。
赤ちゃんへの声かけで悩んだことはありますか?あることを意識すると、そんなに深く考え込まなくても大丈夫になります。
その時にパパママが感じたこと、赤ちゃんがこう思っているのではないかな?と思うこと。そんなささいな事を言葉にして伝えてあげてください。
お散歩に行ってそよ風が吹いたら「風が気持ちいいね。お散歩うれしいね」。オムツを換えるときに「オムツ濡れてて嫌だったね、オムツきれいになって気持ちいいね」。
オムツやミルクなどの理由が分からずに泣いているときに「どうしたのかな?ママ(パパ)がいるよ。大丈夫だよ」。
そんな言葉の積み重ねが、そうしたやり取りの積み重ねが赤ちゃんとの愛着関係を深めていくのです。専門知識は必要ありません、ただ伝えたいことを赤ちゃんに声かけしてあげれば良いのです!
スキンシップ ~身体ぜんぶで愛情表現~
身体ぜんぶで愛情を伝えると幸せホルモンが家族みんなに分泌されます。

赤ちゃんはスキンシップが大好きです。指を赤ちゃんの手に当てると握ったり、抱っこをすると身をゆだねたり、顔の辺りを触ろうとしたり。
赤ちゃんは大好きな人たちからの、抱き締める、手を繋ぐ、ほっぺを近づける、チューをする、頭をなでる、等の身体の全部を使って愛情を感じることができます。スキンシップを取ることは動物、特に人間にとって重要なことだと心理学では考えられています。
スキンシップをすると、脳の中の脳下垂体と言う部位から「幸せ(絆)ホルモン(オキシトシン)」と呼ばれるホルモンが分泌されます。これは耳慣れない言葉ですが、ママは知らずの内にこのホルモンを使っていたはずなのです。
赤ちゃんが宿った時から幸せホルモンが多く分泌され、子宮を縮めて分娩をしやすくしたり、母乳が出るようにするのも実はこのホルモンが働いていたのです。
幸せホルモンには「不安を和らげる効果」や「気持ちを安定させる効果」があり、スキンシップをして10分ほどで分泌が始まります。
赤ちゃんが抱き上げると泣き止んだりするのは、このホルモンの分泌によるものもあるのでしょう。
スキンシップをして10分で分泌が開始され、効果は50分ほどというデータもあるので、1時間に1度くらいの頻度で赤ちゃんを抱き締めたり、スキンシップをはかると安心してくれるかもしれません。
「甘やかしすぎる」という心配はあるの?
たくさんのスキンシップと聞くと、甘やかし過ぎているというイメージを抱く方もいるかもしれません。甘えさせ過ぎてしまうと、その先に待っている親離れなどが困難になるのではと不安な方もいるでしょう。
児童心理学では逆であるという考え方です。簡単に説明しますね。スキンシップを図ることで子どもは大人への愛着や信頼を感じ、その信頼や愛着をもつことで自ら親から離れて、色々な事に挑戦したりするとされています。
逆にスキンシップを小さい頃に多く持つ機会がもてなかった子どもと言うのは大人への信頼が不足していたり、自分を大切にする気持ち(自己肯定感)が芽生えにくくなるのだそうです。
そうなると可能性的に社会に適応することが難しかったり、周りの人と絆を結ぶことが難しくなったりと将来に弊害があらわれることも考えられます。
子どもの心の健やかな成長の為にもたくさんスキンシップをして、ママもパパも赤ちゃんもいっぱい幸せホルモンを分泌していきましょう。
抱き上げ、あやす ~泣くことで意思表示をする赤ちゃんを認めましょう~
赤ちゃんは泣くという行為で周りの大人へと意思表示をしています。
今回は少し児童心理学の話が多くなりますが、赤ちゃんに大人のような感情があるかどうか?と聞かれたら皆さんはどう考えますか?
寂しくて泣いている?お腹が空いたことに怒って泣いている?ママを見るとうれしくて笑っている?さあ、どうでしょう?実は私たちが持つ「感情」にも分化という過程が必要になります。
グーパーと指全部を一緒に動かしていたものが、順番にグーパーの形に指を折れるようになり、指一本一本をある程度自分の意志で動かすことができるようになります。これを手指の分化と言います。
このように「感情」にも分化が存在するのです。では、先ほどの答えを児童心理学の観点からお答えすると、赤ちゃんにはまだ大人のような感情はありません。
最初にあるのは「心地良い」か「心地悪い」かだけなのです。大人が離れると心地悪くて泣くのです。お腹が空くと心地悪くて泣くのです。ママを見ると心地よくて笑います。
この「心地よい」か「心地悪い」かという感情が次第に、「寂しい」、「悲しい」、「怒る」、「喜ぶ」、「楽しい」と様々な感情へと枝分かれしていき、今私たちが感じることがある色々な種類の感情を抱くのです。
「心地悪い」と赤ちゃんが感じていたら、抱き上げあやしてあげましょう。

上記の話の通り、「心地よい」「心地悪い」の2種類の感情を抱く赤ちゃんが泣くということは、何かしらの原因で「心地が悪い」のです。
それがお腹がすいているからなのか、オムツが汚れているからなのか、ママが近くにいないからなのか、眠たいからなのかというのはその場面で推測するしかありません。
また、大人だって「なんだか心がしんどい」という時があるように、赤ちゃんも漠然とした不安を感じていることもあるのでしょう。
赤ちゃんが泣いて「心地悪い」ことを伝えてくれたら、大人は様々な推測をして原因を取り除きます。そうして「心地悪い」状態から「心地よい」状態へと大人が変えてくれることを知ると赤ちゃんは大人との信頼(愛着)関係を結ぶことができるのです。
ですので、赤ちゃんが泣いてしまったら、抱き上げてどうして泣いてしまっているのかを考えましょう。原因がはっきりしている場合にはオムツを替えたり、ミルクをあげたり、寝かせつけたり赤ちゃんが望んでいることをしてあげます。
理由が分からない時にはもしかしたら赤ちゃんは漠然とした不安で「心地悪い」のかもしれません。その時にはパパママもゆったりとできる空間に移動して声をかけながら抱きしめあやしてあげてみてください。
大好きなパパママの腕の中で、声を聴きながら過ごすことで「心地よい」と感じてくれるはずです。
パパママの休息 ~育児に疲れを感じたら~
家族の助けや、時には施設も上手に利用して育児からの休息を取りましょう。

さて最後に日頃から育児を頑張っているパパママの休息についてです。どれだけ赤ちゃんと真剣に向き合うと決めても、どれだけ我が子がかわいくても、育児の中で心や身体が辛くなるときもあるでしょう。
それがママ失格、パパ失格だなんてことはありません。パパママだって親である前に1人の人間ですからイライラしたり不安になったり、羽を伸ばしたいときもありますよ。
そこで赤ちゃん(子ども)と上手に付き合っていく中でパパママの「親としての休息」が必要だと筆者は考えています。
たまにはおじいちゃんやおばあちゃんに子どもを預かってもらって、パパママでデートをしたり、パパやママが友だちと会う時間を作るのも良いでしょう。
もし身近に頼れる人がいないのであれば、上手に施設を利用して欲しいと思います。託児所などでは一時預かりといって、月や年単位の契約ではなく必要になった日に利用することができるサービスも存在します。
もちろんお金がかかりますし、子どもの施設には必ず定員(子ども達を安全に預かる為に適した預かることができる人数の上限)があるので、事前の確認・予約が必要となります(飛び入りが可能なこともあります)。
とはいえ、やはり赤ちゃんにとって一番の安心して健やかに過ごせる環境と言うのは、パパママのいる環境であることに間違いはありません。
なので基本的には育児に励みながら、ノイローゼや育児の不安で子どもを嫌いになってしまう前にパパママの休息を取って欲しいなと思います。
休息を取る時には「一時預かり(または、おじいちゃんおばあちゃんの家)で不安じゃないかな?」という気持ちは少し頭の隅に避けておいて、出来た時間をめいっぱい楽しんでください。
パパママがリフレッシュして元気な姿で帰ってくることで、赤ちゃんもいつもと違う環境でも頑張った甲斐があるのではないでしょうか。なんて赤ちゃんの気持ちになって筆者がそんなことを考えてみました。
まとめ
今回は、まだ言葉を持たない赤ちゃんとのコミュニケーションについて保育士の目線で考えてみました。
「声かけ」、「スキンシップ」、「抱きあやす」ことを自然とすることで赤ちゃんは幸せな気持ちの中で健やかに育ちます。
また、赤ちゃんが安心して成長できる環境にはパパママの元気も必要不可欠です。育児に疲れた時には周りを頼ったり、施設に預けるなどして休息を取るのも大事です。
パパママが健康である為に育児から一時でも離れることがダメなこと、育児から逃げているとは筆者は思いません。
ぜひ元気なパパママでありながら、たくさんの声をかけ、いっぱいスキンシップをして、目いっぱいに育児を楽しんでください。それが自然と赤ちゃんにとってよりよい環境へと繋がっていくことでしょう。
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