全国学力テストの目的とは?何の調査?
文部科学省が小6、中3を対象に実施する「全国学力・学習状況調査」
全国学力テストは、正式には「全国学力・学習状況調査」といいます。
2007年から、日本全国の小学6年生と中学3年生を対象に行われているもので、成績評価のためのものではなく、あくまで学力・学習状況の調査が目的です。
実はこの全国学力テスト、1960年代にも「全国中学校一斉学力調査(学テ)」の名称で行われていた時期があります。
当時は中学2・3年生が全員調査の対象でした。
ところが、次第に本来の目的である「調査」ではなく、成績の結果が重視されるようになっていったのです。「詰め込み教育」とか「受験戦争」などが問題になった時代ですね。
しかし、それが原因で地域・学校間での競争が激化。現場の教員らの反対も強くなり、1964年をもって全国調査は中止されました。
しかし、2000年代に入ると、学力低下・学力格差が大きな社会問題に!
子どもたちの学力状況をより正確に把握・分析し、指導方法の改善につなげる必要があるとして、2007年になんと43年ぶりに再開されたのが、現在行われている「全国学力・学習状況調査」です。
対象学年の全児童が参加
全国学力テストの調査方法は、実施年度によって異なります。
全国学力テストが再開された直後の2007~2009年までは、全国の小学6年生・中学3年生を対象にした全員調査が行われました。
2010年と2012年は、全国約30%の学校を対象とした抽出調査に変更。対象外の学校も希望すれば参加することができる希望利用方式の全国学力テストも実施されました。(ちなみに2011年度は東日本大震災のため実施を見送り)
2013年度の全国学力テストも抽出調査及び希望利用方式での調査でしたが、家庭状況と学力状況の把握や分析、少人数学級での取り組みなど、きめ細かい追加調査が行われました。
2014年度の全国学力テストからはまた全員調査に戻り、2015年度の全国学力テストも同様の方式で実施されています。今後も、教育をめぐる状況の変化に応じて、調査方法は随時変更される可能性がありそうです。
全国学力テストではどんな問題が出るの?
全国学力テストは国語・算数(数学)・理科の3教科 問題のなかには知識を活用する力を問うものも

当初は国語と算数(数学)の2教科でしたが、2012年から理科が加わり、現在は3教科のテストとなっています。
各教科とも
(A)主に「知識力」に関する問題
(B)主に「知識活用力」を問う問題
に分かれています。
例えば6年生の「国語」では、ABそれぞれの出題内容は次のようなものです。
<A問題>
・漢字の読み書き
・ことわざの意味の理解
・資料をもとに、わかったことを書く
<B問題>
・本の推薦文を考えて書く
・目的に合わせたリーフレットを編集する
・相手の意図を捉えながら助言をする
テストの時間は、小学生は各教科40分、中学生は45分となっています。
全国学力テストでは生活習慣に関するアンケートも実施
全国学力テストでは、その名の通り学力テストだけではなく、学習状況等に関するアンケート調査も同時に実施されます。
アンケート内容は、子ども本人の学習意欲をたずねるもの(「国語の勉強は好きですか」など)ほか、家庭での過ごし方や寝る時間などの生活習慣にかかわるものまで、幅広い内容になっています。
<全国学力テストの生活習慣・学習環境アンケート内容の例>
・○○(教科)の勉強はどのくらい好きですか
・○○(教科)の勉強は大切だと思いますが
・授業の内容はどの程度わかりますか
・一日の家庭学習の時間
・一日の読書時間
・一日にテレビを見る時間
回答は「当てはまる」「どちらかといえば」「当てはまる」「どちらかといえば、当てはまらない」、「当てはまらない」「その他」「 無回答」の選択方式になっています。
このアンケート調査は、「子どもの学力と学習・生活環境の関連をより詳しく分析することで、教育施策の課題を洗い出し、教育指導の充実や学習状況の改善に役立てる」ことを目的としています。
しかし、各家庭のプライバシーに踏み込んだ設問も少なくないため、個人情報に配慮して、調査票は記名ではなく、すべて番号式なっています。
まとめ
全国学力テストこと「全国学力・学習状況調査」は、子どもの学力や学習状況を知り、授業の改善や今後の取り組みに生かそうという目的で始まったもの。
実際に、これまでの調査結果をもとに指導方法を工夫し、学力の向上につなげた自治体も少なくありません。
これからも、この学力テストの結果が、小学校や中学校の授業の授業の改善や充実に活用されていくと良いですね。
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