授乳方法の基礎知識

授乳の仕方について

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・適切な授乳姿勢(ポジション)
・適切な赤ちゃんのおっぱいへの吸い付き(ラッチオン)が大切

授乳は単に赤ちゃんの栄養以外に、ママと赤ちゃんの関係性構築、お互いの精神的安定、母体の産後の回復のためにも重要です。

授乳させている時期はその頻度・時間どちらの観点からもママと赤ちゃんにとって重労働です。適切な授乳姿勢(ポジション)、適切な赤ちゃんのおっぱいへの吸い付き(ラッチオン)が大切です。

ポジションはママが座っている状態や寝ている状態、膝の上に赤ちゃんを乗せている状態など様々です。共通することとして、ママのおっぱいと赤ちゃんが身体ごと正面で向き合うようにセットします。このときママと赤ちゃんの頭の向きは平行でも直角でも構いません。

ラッチオンは赤ちゃんが大きく口を開け、乳頭をおおよそすべてくわえ込めるように誘導します。うまくいくと乳頭は赤ちゃんの口蓋(上あご)にあたり、舌で乳頭を下からすくい上げて母乳を出させます。ママの感覚としては吸い付かれる間隔は不快ではなく引っ張られる状態となります。

可能であれば入院中に助産師さんや看護師さんに授乳の様子を見てもらい、改善点があれば指摘してもらうとよいでしょう。授乳時間や回数も目安はありますが、個人差があるので一緒に確認することが望ましいです。

授乳の回数について

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授乳の回数や時間の目安として、3時間ごとに1日当たり8回程度、1回20~30分程度(左右のおっぱい半分ずつ)といわれます。※個人差あり

授乳の回数や時間の目安として、3時間ごとに1日当たり8回程度、1回20~30分程度(左右のおっぱい半分ずつ)といわれます。

ただし前述の通り、これらの目安は個人差が大きく、時に1日の回数が15回を超えることや、1回の授乳が30分や時に1時間以上かかることもあります。

これらの個人差からわかるように、3時間ごとが目安とはいうものの、必ずしも厳密に時間を守る必要があるとも限りません。

ママや赤ちゃんの授乳時のポジションやラッチオンによる吸いづらさや体調によっても時間は変化します。後述する体重増加の指標や、赤ちゃんが出す空腹サインを見逃さないように努めます。

粉ミルクの場合のミルクの量はパッケージに記載されていますので、分量通りに作ります。

それでも初産や周囲にすぐに相談できる先輩ママがいない場合、どの程度の授乳の回数と量が適正であるかは判断しかねると思いますので、目安となるよう授乳の時間帯やかかった時間などをメモしておくと相談しやすいでしょう。

授乳のタイミングの目安について

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空腹サイン
①おっぱいを吸うような口の動かし方や音を立てる
②手を口に持っていく
③素早く眼を動かす
④柔らかい声(「クー」「ハー」など)
⑤むずがる

授乳の間隔は3時間ごとが目安と前述しました。しかし、泣いた後や授乳しようと思った時にはすでに寝てしまっているといった経験もしばしばするかと思います。いずれにせよ、赤ちゃんが摂取できる栄養の量が減りすぎてしまう可能性があり注意が必要です。

また前述の授乳のポジションやラッチオンが上手くできず赤ちゃんが十分に母乳を吸えていない場合も同様に注意します。

授乳の間隔は目安通り3時間を超えてしまったからといって焦る必要はありません。しかし、生後1ヶ月程度の時点では、授乳の間隔は最長4時間程度と考えてください。

赤ちゃんの栄養として重要なだけではなく、乳腺内に乳汁が充満すると母乳の生産量を抑制されてしまうため、ママの身体にとってもある程度頻繁な授乳が必要です。

授乳のタイミングは泣いたら授乳とよくいわれますが、赤ちゃんの空腹サインを察知することが重要です。

空腹サインとしては
①おっぱいを吸うような口の動かし方や音を立てる
②手を口に持っていく
③素早く眼を動かす
④柔らかい声(「クー」「ハー」など)
⑤むずがる
などが知られています。

赤ちゃんが母乳・ミルクが足りているかはどう判断する?

体重が増えているかで確認する

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赤ちゃんの成長・発達を観察していくうえで、重要な指標の一つに体重があります。

しかし体重は数値によって評価してしまうことから、実際の重要度以上に重視されてしまったりママや周囲の人たちに心配をかけてしまうことがあります。

健診の時など、成長曲線を指標と比べてしまい体重の増加が少ないからと言って、必ずしも心配にする必要はありません。

あくまで本人の出生時からの体重増加の程度が重要であり、小児科医の先生たちは1ヶ月健診の時には体重が戻ってから・産科病院などを退院してからの数値を指標にします。

生後0~3ヶ月の間、体重増加率は1日当たり25~30g(1ヶ月でおよそ750~900g)であることが正常とされます。また3~6ヶ月目は1日当たり15~20g、6~12ヶ月目は1日当たり10~15gとなります。

1日当たりの体重増からそれを下回る場合、一度授乳の仕方についてポジション、ラッチオン、授乳時間帯や継続時間、頻度などを相談するとよいでしょう。

成長曲線の理解の仕方についてひとつ補足ですが、母乳栄養のみの赤ちゃんは粉ミルクなどの人工栄養を使った場合にくらべて体重増加が小さめになることがわかっています。

おしっこの回数や色をチェックする

赤ちゃんの栄養状態について、栄養の体内への取り込み状況については授乳に関すること注意が向きがちですが、栄養を吸収した後のおしっこやうんちといった排泄の状況についてみることも覚えておきましょう。

赤ちゃんのおしっこやうんちは赤ちゃんが母乳を十分に飲めているか判断するために重要です。おしっこの回数、変えたおむつの濡れ具合・重さ・におい、うんちの量などがあります。

おしっこの回数は1日当たり6~8回で色の薄いおしっこです。うんちの回数は生後6週程度までであれば1日3回以上です。

赤ちゃんのおしっこの色が濃い・回数が少ないなどの所見が見られたときは脱水症状・哺乳が足りない可能性があります。

授乳で困った!こんなときどうする?

赤ちゃんが母乳・ミルクを飲まない

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哺乳は赤ちゃんにとっても重労働であり、授乳に際して適切なポジションやラッチオンが必要です。ママ自身が楽な姿勢、そして赤ちゃんが哺乳をしやすい状態を整えましょう。

授乳の口や身体のママと赤ちゃんの角度の他、ママと赤ちゃんが肌を直接触れ合わせぴったり抱くようにします。入院中などに教わった、赤ちゃんの空腹サインを復習したり、病院に相談してみるのもよいでしょう。

ラッチオンの際の違和感が原因になることもあるため、赤ちゃんが母乳・ミルクを飲まない場合にはおしゃぶりや人工乳首(ニップルシールドを含めて)の使用は極力避けることが望ましいです。

通常の場合、赤ちゃんは哺乳するためのポジションやラッチオンの条件が整えば自身の力で十分量哺乳することができます。

しかし、赤ちゃんの吸てつ力(おっぱいを吸う力)が弱いことも時には考えられます。その場合、赤ちゃんが吸てつしている間、おっぱいを圧迫して赤ちゃんが飲む母乳の量を増やすという方法もあります。

母乳が出ない

前述したとおり、乳腺内に乳汁が充満すると母乳の生産量を抑制されてしまうため、母乳量の維持のためには頻繁な乳汁排出が必要です。

授乳の間隔があきがちになってしまう際には、搾乳をすることも有効です。逆に、赤ちゃんがより多くおっぱいを吸ってくれることで、オキシトシンやプロラクチンといった乳汁分泌を促すホルモンも分泌されます。

赤ちゃんは通常、吸てつ時には乳汁の流れが悪く、流れ始めるまで細かく短い吸い方をします。徐々に流れがよくなると深く長い吸い方になります。その過程を手伝ってあげる意味でおっぱいをやさしくマッサージすると出やすくなる可能性があります。

ママの母乳の量や質は、ママの休憩や食事によっても変わることがあります。そのための家族の援助はとても有益で、ママの精神的・肉体的負担を軽減するために重要です。一度家族で話し合いの場を設けることもよいでしょう。

内科的合併症や内服薬が平時からあるママも時に乳汁が出にくくなることがあり、主治医の先生と個別に対応する必要があります。

粉ミルクを飲まない

赤ちゃんはわたしたちにとってはちょっとした授乳時の違いによってもミルクを飲んでくれなくなってしまうことがあります。

完全母乳で育てているとしても、長時間の外出に出かけるとき、ママの体調不良などで投薬の必要があるとき、保育園にあずけるときなど粉ミルクを飲めないと受け入れてもらえないときなどいくつか粉ミルクを飲めないと困る状況が考えられます。

ママの母乳と味が違っているため嫌がることもあるため、粉ミルクの種類を変えてみることも有効です。

また、ミルクの濃度が濃すぎる・薄すぎる、温度が熱すぎる・冷たすぎることも粉ミルクを飲んでくれなくなる原因になることがあるので、適正な濃度・温度に調整できるようにする必要があります。

すべてが適正であっても単に赤ちゃんのマイブームによって粉ミルクを飲んでくれないこともあります。粉ミルクを飲んでくれない時期に無理に飲ませなくても、ある時また粉ミルクを飲んでくれるということもあります。

哺乳瓶を嫌がる

同様に、哺乳瓶を使用しての授乳時には、赤ちゃんは哺乳瓶によってもミルクを飲んでくれなくなってしまうことがあります。哺乳瓶のニップルの形が気に食わないとミルクを飲まなくなってしますこともあるため、ニップルを変えてみることも有効です

どうしても哺乳瓶が苦手という場合はマグカップやストロー、スバウト型のマグカップなどの別のアイテムを使用してみることもよいでしょう。スプーンやシリンジなどを使用しても有効なことがあります。

また、哺乳瓶の吸い口をお湯などで少し温めるとスムーズに吸い付いてくれることもあります。おっぱいからであれば飲んでくれるこの場合、サッと哺乳瓶と入れ替えることを繰り返すことでやがて哺乳瓶だけでも飲んでくれる赤ちゃんもいるようです。

その他、哺乳瓶を上げる人をママ以外に変えてみる、哺乳瓶の吸い口の先端に母乳をつけておくなど様々な工夫があります。いずれにせよ、様々な試行錯誤を繰り返すうちに解決することも多いので根気強くチャレンジすることが重要です。

母乳・ミルクを吐き戻してしまう

赤ちゃんの母乳・ミルクを吐き戻ししてしまうことについてはいくつか原因が考えられます。

赤ちゃんは生後1,2ヶ月までの間は満腹感がほとんどないといわれます。そのため、与えた分だけ授乳してしまい、飲みすぎた母乳・ミルクなどを吐き戻すことがあります。また、この時期は胃の未成熟(胃の入り口が完全に閉じていない)、寝ていることが多いことにより胃内容物の逆流が起きやすい状態にあります。

さらに赤ちゃんは授乳中に空気も飲み込んでしまいます。そのため授乳後にはげっぷをさせる必要があります。げっぷが不足していると、飲み込んだ空気が刺激になり後から吐き戻ししてしまう可能性があります。

上記の対策をしても母乳・ミルクの吐き戻しが改善されない場合、胃腸の病気、アレルギーの可能性があります。

胃腸の病気について、大人でもなりうる胃腸炎などから、腸重積、肥厚幽門狭窄症などの手術が必要な病気の場合もあります。そのため、異常を感じたら医療機関の受診をしてください。

まとめ

授乳について、新米ママ向けに考えられる悩みや必要な知識について解説してきました。

産科施設や周囲の人々、インターネット上で得られる医学的に正しい知識からある程度の傾向と対策は練ることができます。専門科に相談することも、粉ミルクのような人工栄養を使用することも恥ずかしいことではなくあくまで子育ての手段の一つです。

赤ちゃんの子育てはチームプレイです。いずれにしても場面ごとに一喜一憂することなく、赤ちゃんと向かい合って根気強く経過を見ていく必要があります。(執筆:医師ばちお先生)

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