子どもにとって「おふざけ」とはなんでしょう?

「遊び」とも違う「おふざけ」について考えてみましょう

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子ども達は日々の生活の中で、そして「遊び」の中でたくさんの経験をして、体と心を育み、成長をしています。

遊ぶことにも個性があって当たり前で、元気に外で遊ぶことが好きな子がいれば、静かに室内で遊ぶことが好きな子もいます。1人で集中して遊ぶことが好きな子もいるし、お友達と仲良く遊ぶことが好きな子どもも、大人と一緒に遊ぶことを好む子どももいます。

そんな子ども達の生活の一部といえる「遊び」が、大人の目から「ちょっといきすぎているな…」と感じた時に「これは遊びじゃなくて「おふざけだ」!」と判断したりしますよね。

おふざけには「試し行動」と「甘え」の2種類がある

おふざけを2つに大別して考えられるようになると少し突破口が見えてきます。それが信頼関係の築けた人の前で見せる「甘え」たい気持ちからくるおふざけと、新しい場面や新しい人物に対して自分がどこまでのことをして良いのかを判断する「試し行動」としてのおふざけです。

おうちで見られるおふざけは大方が「甘え」によるおふざけとなると思います。「大好きなママだし、このくらいのことは許してくれるでしょ」。「大好きなパパだからちょっと悪いことして怒られても、また笑ってくれるもんね」。

そんな相手のことを信頼しているからこそ、約束やルールをちょっと破ってみてもいいよね、楽しそうだもの。と誘惑に負けてしまった状態のおふざけ行動です。

知らない人にする試し行動も

そして、知らない人や新しい場所に向き合った時に行われる「試し行動」というおふざけに見えてしまう行動があります。

実際に保育士もお預かりしているお子さん達からこの「試し行動」を受けます。若手だろうとベテランだろうと、その子が「この先生はこんな先生だ」と分かるまで、納得するまで行われることが多いです。

去年も一緒に生活していた先生の前では嫌いな野菜もパクパク食べられるのに、4月から一緒に生活することになった先生の前だと食べようともしないし、食べさせようとすると大泣きされてしまう。こんなことが最初の内は当たり前に起こるのです。

「試し行動」は子どもが、「この人はこんな人」、「こういう時に怒る」、「こういう時によろこんでくれる」、「この場面ではこれをしちゃいけないのか」、「この場面では静かに聞いていると褒めてもらえる」など人や場面、環境をしっかりと自分なりに把握するために使われるものなのです。

おふざけの対処法ってあるの?

遊びの前の「お約束」をしてみませんか

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子どもがおふざけをしすぎないようにお約束をするという方法もありますが、子ども達が「お約束」を守ることができない時には以下の理由が考えられます。

・約束をしていない初めての場面だった
・約束をうっかり忘れてしまった
・遊びに夢中になって約束を破ってしまった
・約束の確認を大人が怠ってしまった
などです。

「約束をしていない初めての場面」の場合には大人がしっかりと約束事を伝えることで改善されます。初めて図書館に行く時には「図書館では本を読んでいる人がいるから静かにしようね」と伝えます。

初めてお友だちのお家に遊びに行く時には「おもちゃはお友だちのだから、使いたくなったら使ってもいいですか?って聞くようにしようね」、「おやつもらったらありがとうって大きい声で言うんだよ」と大人にとっては当たり前なこともしっかりと伝えましょう。

約束を守れなかったら・・・?

「約束を忘れてしまった」、「遊びに夢中になり約束を破ってしまった」という場面では、何度も繰り返して約束事を事前に伝えることが必要になります。

例えば、遊びに夢中になって公園から出てしまった場合では安全な場所に呼んでから「公園での約束は覚えている?」と聞いて、お子さんに約束事を復習させてみます。

もし曖昧になっていたら「公園の外は車が通って危ないし、知らない人がいるかもしれないからママが見える場所で遊んでね」と再確認をします。

そして、お子さんが大きくなったり、遊びや環境に子どもが馴染んできたと感じる頃によく起こるのが「約束の確認を大人が怠ってしまった」ことによるおふざけです。

子ども達は素直なので約束をすると守ろうと感じます。でも約束をしなくなると「あれ?いつもはあんなことはダメだけど今日は良いのかな…?」と迷いが生まれます。

ただ、毎回毎回全ての約束事をするのは大きい子ども達にとっては苦痛かもしれませんね。親としてもそろそろ約束覚えたでしょと考えてもおかしくありません。

おふざけをせずに遊びに夢中になるために

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保育士時代の体験談を少し。

4歳児さんのクラス担任をした時には、朝の会で今日の予定を発表しその際に「公園でのお約束」を子ども達と確認しました。

いざ公園に着いた時には「朝の会で言った公園でのお約束覚えているかな?」と思い出させるように促すに留めます。そして帰りの会で「今日は公園でお約束守れたね!」と褒めたりしていました。

変わって2歳児クラスで公園に行くとなった場合には4歳児さんの約束の確認では足りません。毎回必ず1つ1つしっかりと伝えます。朝の会で1回、公園に行く前の点呼(先生が人数の確認をする)時に1回、公園について確認として更にもう1回。

1度公園に行くだけでも3回は約束事を1つ1つ丁寧に確認をします。これを「そろそろ覚えたでしょ」とか「今日くらいは言わなくても…」なんて考えが大人によぎった時に思いがけないトラブルや事故が起こるのです。

遊ぶ前に、ご飯の前に、出かける前に、眠る前に、色んな場面でしっかりと横着せずに確認をすることで子ども達はおふざけをせずに、遊びに夢中になることができるのです。

人によって態度が違うのはなんでなの?

パパの時とママの時、お家と保育園で姿が違うのはどうしてか考えてみましょう。

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すでに紹介した内容と重複してしまうのですが、子ども達が人によって態度が変わったり、お家でしないことを保育園でしていると先生から聞いたり、保育園でしましたと聞いたことをお家では見せてくれなかったり、そんな経験はありませんか?

人によって態度が違う場合には信頼関係が築けているからこその「甘えたいおふざけ」と、その人をまだ見極めようとしている「試し行動のおふざけ」が考えられます。

自分が1番に愛されるお家と、同じくらいのお友だちがたくさんいて楽しいこともあるけれども我慢もしなくちゃいけない保育園では様子の違いがあっても不思議ではありませんね。

「試し行動」への対処はずばり理解と継続しかありません。今のこの行動はどんなことを試されているのかを考えます。その中で叱る必要があれば優しく叱ります。何もしないが最も子どもにとってもよくない選択肢です。もし叱る時に抵抗があるのなら信頼関係を築いているママや担任の先生などの人に聞いてみることをおすすめします。

「ママにダメって言われたことはこの人でも怒られた」、「先生もダメだよって教えてくれたからなあ」としっかりと約束事の線引きをすることで試し行動は減っていきます。逆に日によって違ったり、大人のその時の気分などで約束事を変えてしまうと混乱する原因となりますから注意しましょうね。

まとめ

今回は「おふざけ」について考えてみました。自由と言うのは決められた約束事の中で工夫して存分に楽しむことではないかと思っています。それを自然体にしてくれているのが子ども達で、約束をお互いに確認できなかったことで「おふざけ」という枠外の行動が見られたりします。

子育ては柔軟性と一緒に、しつけの面では一貫性も大切です。家族や保育園などで約束事が大きく違ってしまったり、気分で変わってしまったりすると子ども達はどれが本当の約束なのか分からなくなってしまいます。そうした混乱の中で「おふざけ」が、ちらっと顔を出すのかなと思います。

ご家庭でも丁寧に何度でもお約束をしながら、子ども達がおふざけなんてしなくても安心して楽しく遊ぶことができる環境を作れるといいですね!

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