親が子どもとかかわる時間が短いと子どもにとって良くないの?

かかわる時間の「量」を気にするより「質」を意識してみて

【マメ先生】
そのようなことが気になってしまう理由は、これまで「3歳までは母の手で」というような3歳児神話や、「子育ては母親の役割」というようなことが世の中で言われてきたことが背景にあると考えられます。しかし最近の研究では、それは誤りであると言われています。

歴史的にみると、ヒトは、母親だけではなく父親など周囲の大人、お兄ちゃん・お姉ちゃん、同年代の子どもたちなど、色々な人とのかかわりの中で、群れの中で育てられてきたという特徴があります。

つまり、保育所などで保育士などから良質な保育を受けているのであれば、3歳以下の子どもであってもマイナスにはならないということです。そう考えると、親がかかわる時間の短さを気にする必要はないということがわかるかと思います。

親が子どもとかかわる時間の「量」も大事ではあるけれど、それ以上に「質」が注目されています。一緒にいられないことを悩むより、一緒にいる時間をどう良い時間とするかということに力を入れた方がよいのではないかと思います。

もちろん、できれば仕事から早く帰ってきて、子どもとの時間を多くとれるのであれば、それは子どもにとっては嬉しい時間になるので、それも大事なことと考えておくとよいでしょう。

「質」を大切にするとは、どうすればよいの?

一つひとつの子どもとの生活の時間を丁寧に

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【マメ先生】
質を大切にするということは、特別に何かしてあげなければいけないんじゃないかと思われるかもしれませんが、実はそうではないのです。大切なのは、生活の中にある当たり前の出来事を一つひとつ丁寧にすること。それがその子のことをしっかりと受け止めるということになるのだと思います。

例えば、子どもと一緒に食べるご飯の時間に「今日こうだったのね~」「あ、これ美味しいね!」などおしゃべりしたり、寝る時に一緒に絵本を読んだり…、そういった何気ないやりとりを丁寧にすること。そんな当たり前の日々の生活こそが大事です。

親自身も慌ただしいと思うのですが、食事の時、排泄の時、寝る時、そういう生活の時間の一つひとつを丁寧に子どもと過ごすことが、結果的に質を大事にするということにつながります。

家庭は、子どもにとっての心の安全基地になるように

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【マメ先生】
子どもには、十分に甘えられたり、自分が出せたり、ホッとできる場があることが大事だと考えます。

園ももちろん、保育者をはじめ、周囲の人たちは子どもが安心できるように配慮していますが、そうはいっても園は「社会」ですから、なかなか自分の思う通りにできなかったり、必ずしもいつも甘えたい時に甘えられるわけではなかったりします。そういう意味では、やはり家庭がそういった場になることは大切であると思うのです。

小さな子どもは、言葉で表現するのがあまり上手ではありません。言葉で説明してくれないので、子どもがどれくらい寂しい思いをしているのか、我慢をしているのかを知るのは分かりにくさがあるだろうと思います。

そうだとすると、子どもの表情、体の状況などを見ながら、今日はちょっと疲れているのかな?とか、嫌なことがあったのかな?とか、その姿から受け止め、対応していくことが必要かもしれません。

家庭で、思いきり甘えられたり、多少のわがままも受け止められたりすることが、その子にとっては、自分には安全基地があること、守られ愛されているんだということを深く実感できることにつながっていきます。

心の安全基地が基盤となり、その後の健全な発達につながっていく

【マメ先生】
特に低年齢の子どもにとって、最も重要なのはアタッチメント(愛着)です。自分が寂しいなあ、不安だなあという時に、しがみついていられる信頼できる人がいることは、自分がいつでもきちんと守られているという安心感になります。

困ったことがあっても、ちゃんと受け止めてくれる誰かがいることで、元気になれて、またチャレンジしていこうという気持ちになれたりします。

人は安心感がなければ、何かをしてみようというポジティブな気持ちにはなりませんよね。

心の安全基地、安心感、信頼感があることが、何かに対する意欲や挑戦する気持ち、他者とのコミュニーションなど、色々なことを育てていく重要な基盤になっています。

親からすると、ご飯を残さずちゃんと食べられるようになってほしいとか、ちゃんと片付けられるようになってほしいとか、普段は枝葉のところが気になったりすると思うのですが、まず基盤である愛着関係、その子が安心して、受け止められていると感じられることを一番に優先してほしいと思います。

ただ、誤解してはいけないのは、親だけがそういう役割をするわけではないということ。先に話したように、園の保育者や周囲の大人、色々な人がその役割をしてくれているはずです。人任せにするわけではないのですが、みんなの力を借りて子どもの育ちを支えていきましょう。

いつも丁寧にかかわっていけるか不安…

あなた自身の気持ちのコントロールも大切に。後からでもしっかり受け止めてあげればきっと大丈夫!

【マメ先生】
色々と話をしてきましたが、親からすれば忙しい日々の中で、いつも子どもの気持ちを受け止めて、とはいかないことも多いと思います。

バタバタの中で仕事が終わって、迎えに行って、ご飯を作って…。途中で子どもが色々なことを訴えてきたりして、「もうこっちも精一杯なのに!いい加減にして!」ということもいっぱいあるのだろうと思います。

そんな中でも、時々、子ども側の視点に立って考えてみましょう。そうすると、イライラしたままの感情を子どもにぶつけなくて済むかもしれません。「あとこれくらいでできるから、できたらこうしようね」とこちらが丁寧に話してあげられれば、子どもにこちらの思いが伝わることも多いものです。

親の方も余裕がないこともあるかもしれませんが、こちら側の意識次第で子どもの気持ちを安定させ、親の思いがうまく伝わることが多いので、ぜひチャレンジしてみてください。

十分に子どもの思いを受け止められないこともあるでしょう。そうした場合は、こちらの気持ちが少し落ち着いたところで、「さっきはごめんね」と言って、しっかり受け止める時間を大事にしましょう

そうすれば、子どもは「あー良かった!やっぱりママ/パパは、僕/私のこと一番大事に思っているんだ」ときっと感じるはずです。

うまくいかないことがあっても、あまり自分自身を責めないでくださいね。そういう意味では、親自身の気持ちのコントロールも大事です。

今回の記事のポイント!

◎子どもとかかわる上で、時間の「量」より「質」を意識してみよう

◎「質を大切にする」とは、生活時間の一つひとつを丁寧に一緒に過ごすこと

◎子どもの心の安全基地がしっかりあることは、その後の健全な発達にもつながる

◎十分にかかわってあげられなかった時、後からでもしっかり受け止めてあげればきっと子どもに伝わるはず

監修者プロフィール

大豆生田 啓友

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玉川大学教育学部教授。専門は、乳幼児教育学・子育て支援。青山学院大学大学院教育学専攻終了後、青山学院大学幼稚園教諭などを経て現職。日本保育学会副会長。こども環境学会理事。NHK「すくすく子育て」をはじめ、テレビ出演や講演活動など幅広く活動中。多数の子育てに関する著書がある。

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