妊娠中に気を付けたい感染症とは?

妊娠中や産後に注意したい母子感染

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妊娠中、風邪以外に気を付けてもらいたいのが感染症です。感染症とは環境の中(大気・土壌・水・人を含む動物など)に存在する病原性の微生物が、人の体内に入り引き起こす疾患のことを言います。

特に妊娠中は体の免疫力が低下しているため、普段よりも感染症にかかりやすい状態にあります。感染症にかかるとママの健康を損なうだけでなく赤ちゃんにも影響を及ぼすことがあります。

ママから赤ちゃんに移行して感染症を引き起こすことを母子感染と言います。この母子感染には、妊娠中に感染する「胎内感染」、分娩時に感染する「分娩時感染」、産まれた後に母乳を介して感染する「授乳時感染」があります。

体験談:感染症対策

yuki0507さんからの体験談:
冬だったので、ノロウイルスやインフルエンザなど、感染症に注意しました。妊娠中はずっと持っていましたが、紙せっけん、除菌ティッシュ、ハンドジェルを持ち歩くとかなり便利です。外出先ではせっけんがないこともあるので…。

この3つは子どもが産まれてからもかなり使えるのでおすすめです!あとは下半身を冷やさないように気をつけていました。デスクワークだったのでひざ掛け、さらにその上にミニ湯たんぽを乗せて温めていました。

風疹

具体的な症状

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風疹とは風疹ウイルスに感染すると発症します。感染経路は空気感染です。風疹の具体的な症状は発熱、リンパ節腫脹、発疹などですが、4分の1程の人は感染しても症状が出ない不顕性感染の場合があります。

ママ、赤ちゃんへの影響

ママには先ほども述べたような症状(発熱、リンパ節腫脹、発疹など)が出ることもあれば何も出ないこともあります。妊娠中の治療としては、これらの症状に対する対症療法を行います。

赤ちゃんへの影響としては胎盤を介して胎内感染する先天性風疹症候群(CRS)が起こることがあります。先天性風疹症候群の主な症状は白内障、心奇形、難聴の3つです。この先天性風疹症候群は妊娠期間のいつ感染したかによって赤ちゃんへの影響が変わってきます。

妊娠12週未満は赤ちゃんの器官形成期であり、この時期に感染すると80~90%の確率で胎児に感染し、そのうち約90%以上に先天性風疹症候群の症状をもたらします。

ですが、妊娠18週以降ではママが風疹ウイルスに感染しても、胎児の感染率は約40%に減少し、先天性風疹症候群を発症することもほとんどないとされています。

HTLVー1(ヒトT細胞白血病ウイルス)

具体的な症状

HTLV-1の感染経路は大きく分けて2つあり水平感染(性行為感染や現在はほぼないとされる輸血感染)によるものが約40%、垂直感染(母乳感染、経胎盤感染、産道感染)によるものが約60%とされています。垂直感染の中でも母乳感染によるものは約97%と最も多いです。

HTLV-1キャリアの約95%は病気を発症することなく一生を過ごしますが約5%は成人T細胞白血病(ATL)、約0.3%はHTLV-1関連骨髄症(HAM)を発症することがあります。

ママ、赤ちゃんへの影響

先ほども述べたようにHTLV-1のママでもほとんどの人は病気を発症することなく経過します。赤ちゃんへの主な感染経路は母乳を介してであるため、産後の授乳について医師とよく話し合うことが大切です。

授乳方法としては、完全人工乳にする、短期間(3ヶ月)のみ母乳を与える、凍結母乳栄養(母乳を1度凍らせたものを与える)、母乳栄養にするなど様々な方法があります。

この方法での母子感染率は完全人工乳で約3%、母乳栄養で約15~20%、その他の2つについては大規模なデータはありませんが短期母乳栄養で約1.6~2.8%、凍結母乳栄養で約3%となっています。

ですが母乳にもメリットはたくさんあることや完全人工乳にしても約3%の確率で感染するなどのことから、母乳をあげるかどうかについては医師とよく相談し納得した上で決めるのがよいでしょう。

パルボB19ウイルス

具体的な症状

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パルボB19ウイルスは飛沫感染によって感染します。日本では約半数の妊婦さんが未感染です。このウイルスに感染すると頬がりんごのように赤くなるため、別名「りんご病」とも言われています。この他にも関節痛や頭痛などの症状がでることもありますが多くは自然に治ります。

ママ、赤ちゃんへの影響

ママに起こる症状としては、頬が赤くなる、関節痛、頭痛などです。赤ちゃんには胎盤を介して感染することがあり、胎児水腫や胎児死亡を引き起こすことがあります。

中でも妊娠9週~16週の感染が最も危険と言われており、20週以降であれば胎児死亡は少ないとされています。このウイルスは小児期に感染することが多いため、妊娠中はできれば子どもがたくさんいるところには行かないようにするのがよいでしょう。

水ぼうそう

具体的な症状

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水ぼうそうの主な症状は発熱、全身の発疹や水ぶくれです。多くの人は子どもの頃にかかっていたり予防接種を打ったりしていますが、大人がなると子どもよりも症状が重くなることがあります。

ママ、赤ちゃんへの影響

今まで1度も水ぼうそうにかかったことのない妊婦さんが妊娠中に水ぼうそうに感染すると、妊娠末期に水痘肺炎を生じ、重症化することがあります。この場合の死亡率は2~35%と高いため、水ぼうそうにかかったことがない人は妊娠前にワクチンを接種しておくことをおすすめします。

赤ちゃんへの感染は、妊娠13~20週頃に妊娠水痘を発症した場合、胎児に感染すると1~2%に先天性水痘症候群を引き起こすことがあります。先天性水痘症候群の主な症状は精神発達遅延、網脈絡膜炎、四肢の低形成、皮膚の瘢痕、低出生体重児などです。

また、分娩直前・直後の感染にも注意が必要です。分娩4~5日前から分娩2~3日後に発症した場合、そのうち30~40%に新生児水痘が発症し重症化することがあります。その場合の死亡率は30%とも言われており、この時期に産まれた新生児は出生後から治療を行います。

性器ヘルペス

具体的な症状

性器に発疹や水ぶくれ、皮膚のただれなどが起こります。また、初めて感染した場合は強い痛みや発熱を伴うことも多いですが、2回目以降は軽症なことも多いです。

ママ、赤ちゃんへの影響

妊娠中は先ほどの症状が非妊時よりも重く出ることがあります。また、治るまでにも時間がかかることも多いです。

赤ちゃんへの影響は出産時に産道を通ると約30~60%の確率で新生児ヘルペスを発症すると言われています。この新生児ヘルペスに感染すると水泡、発熱や哺乳力の低下など、重症な場合には多臓器不全などを起こすこともあり、無治療の場合約80%が死亡するとされています。

ですのでママが性器ヘルペスに感染している時は、場合によっては帝王切開による出産になることもあります。

サイトメガロウイルス

具体的な症状

サイトメガロウイルスは感染しても症状が出ないことも多く、症状が出ても軽い風邪症状ですむことも多いです。

ママ、赤ちゃんへの影響

サイトメガロウイルスに感染してもほとんど症状が出ないか出ても軽症なため、感染してもママは気が付かないこともあります。しかしママが妊娠中に初めてサイトメガロウイルスに感染すると、胎盤を通して胎児に感染することがあります。

感染した胎児の約10%が巨細胞封入体症(CID)という症状を発症します。CIDの主な症状は小頭症、精神運動発達遅延、網脈絡膜炎、感音性難聴、貧血、黄疸、低出生体重児、肝脾腫などです。

また、これらの症状が出ない不顕性感染の場合でもその中の約10%に後遺症が出ることがあり、乳幼児期の感音性難聴、知能障害、運動障害などが問題となります。

性器クラミジア感染症

具体的な症状

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クラミジアに感染すると子宮頸管炎が起こることがあります。症状がひどい場合や腹痛が起こる場合もありますが無症状であることも多くあります。

ママ、赤ちゃんへの影響

妊娠中のママに感染すると頻度はまれですが絨毛膜羊膜炎や流産、早産などが起こることがあります。クラミジアは性行為で感染することがほとんどなのでパートナーとともに抗菌薬での治療を行います。

妊娠後期に感染した場合は治療する時間があまりないこともあり、出産時に産道感染をすると赤ちゃんが新生児結膜炎や新生児肺炎になることがあります。

B群溶血性連鎖球菌(GBS)

具体的な症状

GBSとはもともと膣にある常在菌です。全妊婦さんの10~30%はこの菌を持っていると言われています。ですがGBSは常在菌であるためこの菌をもっているからと言って病気になることはほとんどありません。

ママ、赤ちゃんへの影響

もともと膣にある常在菌であるためママへの影響はないことがほとんどです。ママがこのGBSをもっている場合、出産時に赤ちゃんに産道感染することがありますが、ほとんどの場合は発症せず約1%の赤ちゃんに肺炎や敗血症、髄膜炎が起こります。

このようにGBSに感染していても赤ちゃんが発症することは稀ですが万が一発症してしまった場合は抗菌薬を投与し治療を行います。

トキソプラズマ原虫

具体的な症状

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トキソプラズマに感染しても症状が出ないことが多いですが、中には風邪のような症状がでたり、リンパ節腫脹や筋肉痛や発熱などが起こったりすることがあります。

ママ、赤ちゃんへの影響

妊婦さんの場合もほとんど症状が出ないことの方が多く、感染しても気が付かないことも多いです。ですが妊娠中に感染すると赤ちゃんに影響が出ることがあります。

妊娠中のトキソプラズマ感染は、初期よりも後期になるほど感染率は高くなりますが、初期に感染するほど症状は重くなります。

特に妊娠初期に感染すると流産の原因になることがあります。また胎児に感染し、先天性トキソプラズマ症で生まれた場合、低体重や水頭症、脳室拡大、脳性麻痺、痙攣、黄疸、発疹、貧血、リンパ節腫脹などの症状が現れます。

リステリア菌

具体的な症状

リステリア菌に感染すると、倦怠感、悪寒、発熱、筋肉痛、嘔吐、下痢などの症状がでます。重症化すると敗血症や髄膜炎、意識障害や痙攣などが起こることもあります。

ママ、赤ちゃんへの影響

妊娠中に感染すると免疫力の落ちているママは重症化しやすくなります。治療には抗生物質が使われ、早期に使用することで胎児への感染を防ぐことができるとも言われています。

赤ちゃんへは胎盤を介して感染するとがあり、感染すると早産や流産の原因になります。また、新生児の敗血症や髄膜炎の原因にもなり重症な場合は胎児死亡や死産になることもあります。

このリステリア菌による感染を防ぐためには、手をしっかり洗う、食品は十分に加熱して食べる、調理器具は清潔に保つ、食品の長期保存は避けるなどに気を付けましょう。

まとめ

いかがでしたか?妊娠中には気を付けたい病気がたくさんあります。ですが妊婦健診で必ず感染症の抗体検査をしますし、妊娠前に予防接種をすることも可能です。気になる症状がある時はまずかかりつけの医師に相談してみてくださいね。

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